少女援助 (第二話)

第二話 「正と性」

大学二年生の女子大生ゆかり(20)が染めた現代的な援助交際をめぐる人生の転換期…そこで彼女がみたオトナの世界とは。

【前回のストーリー】
大学二年生のゆかりがバイトで接客した30代の男「慎吾」と出会い、言われるがままにLINEを交換してしまう。その繋がりを経てゆかりは人生観を変える出会いを果たす第一歩となった。

【本編】

ゆかりのバイト終わる15分前。
慎吾からLINEが入っていた

「ゆかりちゃん、バイトお疲れ様。今日は出会えて良かったよ。早速なんだけどまもなく就活が始まるのかな? 何かあったら相談にのるよ。」

バイト終わりにLINEに気づいたゆかりだったが、すぐには返信しなかった。
自宅まで50分弱の道のり。
疲れもあっと着いてからすぐお風呂へ向おうとしたが、ゆかりが慎吾のLINEを返信していないことに気づく。

「慎吾さん、お気遣いいただきありがとうございます。はい、来年から本格的にESを書いて就活が始まります。ご縁があればよろしくお願いします。」

ゆかりにしてみたら頑張った返信内容だが、どこかそっけない気持ちにある。

すると慎吾から直ぐに既読がついて返信がくる。

「返信ありがとう。よろしくね。ちなみにどういった業界を受けるのかな?」

話が続きそうな予感だ。
ゆかりは連絡不精で、友人とのやり取りでも一日に数通程度しか返さない。

ゆかりは敢えて"未読スルー"で、お風呂に向かい趣味である映画鑑賞、それらを終えて早く寝た。

明日は朝からバイトが入っている。
バイト仲間の圭介が体調を崩したらしい。
それで入れ替わりに入る事になった。

「よし、今日は疲れたし、明日も早いからもう寝よう…」

翌日。

バイト先に着いたゆかり。何気ない朝でまたいつもの客が来ている。

ちょうどゆかりが勤務し3時間して休憩に入る時のことだった。

「ゆかりちゃん。」

この声は。

そう慎吾だ。

(えっ、何で慎吾さんが?)

心の中で驚きが隠せなかった。

「あっ、慎吾さん。今日も来てくれたのですね。ありがとうございます。昨日はLINEしてくださりったのにすみませんでした。」

ビジネストーク調で慎吾に言葉を返す。
慎吾は

「昨日は寝ちゃったのかな? 今日時間があったらまた話そう。」

ゆかりへの慎吾の押しが強い。

「えっ、あっ、時間があったら是非。」

いつものトーンで返す。

バイトが終わった時に、慎吾の前を通らなければ家路に向かうことは出来ない。

案の定、慎吾はゆかりのバイト終わりまで待っていた。

ゆかりは正直不安になってきた。

(慎吾さんってまさかストーカーなのかな。。怖いなぁ、、)

慎吾がゆかりを発見し、

「お疲れ様、ゆかりちゃん。こっちこっち。」

彼に手招きされ、致し方なく向かった。

「お疲れ様です。まだいらしたのですね。」

言葉が次第に冷たくなっていく。

慎吾は空気が読めないのか

「LINEでも聞いたのだけど、ゆかりちゃんってどんな企業に勤めたいと思っているの?」

ゆかりは答えた。

「えっ、あっ、私はホテル業界に勤めたいと思っています」

慎吾「どんなホテル?」

ゆかり「ニュー大島ホテルやエクセレントホテルですかね。」

慎吾「そうなんだ、素敵なホテルを選んだね。それなら青山にあるパールホテルはどう?」

ゆかり「青山パールホテルってあの青山パールホテルですか?行ったことはありませんが分かりますよ。」

慎吾「僕はあのホテルをよく使っていてね、マネージャー達をよく知っているんだ。」

ゆかり「えっ、そうなんですか?」

内心本当かどうかは疑問だったが、青山パールホテルの名前が出た事で親近感を感じたように思えた。

ゆかり「一度は行ってみたいと思ってますけど、なかなか…」

慎吾はすかさず。

「ゆかりちゃんが行きたいなら連れていくよ」

ゆかりは驚いた。

「えっ、本当ですか。」

彼女はホテル業に勤めたいと気持ちはあったが、実際にホテル巡りをしたわけでもなく、よく知らなかった。
そこでゆかりはこう思ったのだ。

(慎吾さんって強引な所はあるけど、私の為に時間作ってくれると言ってるし、悪い人ではないかも。)

「是非連れてってください!」

ゆかりは慎吾に伝えた。

「よし、なら来週の水曜日11時に武蔵大橋駅で待ち合わせしようか」

彼女はリードしてくれる慎吾の事を楽な存在と少しずつ感じるようになる。
そしてこれを機に毎日連絡を欠かさない仲になっていった。

第二話・終。

【次回(第三話)「ふたりきり」は、慎吾からの誘いで青山パールホテルへ。ゆかりは慎吾の人脈や経済力を目の当たりにし、慎吾に擦り寄るようになっていく。二人の関係はいかに…】


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