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青史探究

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街道と関連する都市にまつわるコラムを集めました。週二回の掲載を予定しています。
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#太陰太陽暦

【歴史小話】江戸時代の暦

江戸時代の町人の年収の計算を求める際に354日という日数が出てきた。 最初は記載ミスかと思ったのだが、調べてみると江戸時代の暦が関係することが分った。 裏を返せば、150年前は当たり前だったことが今は分からなくなっているということが、また一つ出てきたということで、江戸時代の暦を改めて調べてみた。 太陰太陽暦 江戸時代の暦は太陰太陽暦といって、月の運行によって1ヶ月の長さを決めていた。 月は平均29.53日で地球を1周することから、一ヶ月には大の月の30日と小の月の29日

【江戸小景】高輪の景色と二十六夜待

高輪と言えば最近だと、2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅が記憶に新しいが、私の子供の頃だと記者会見が開かれる会場として高輪プリンスホテルをよく耳にした記憶がある。 畦道の長い道? 高輪は現在の港区南東部で、北と西は芝、南は品川と隣接する地域だそうだ。 地名の由来は、「高い縄手(畦道)の略」など諸説あるそうだ。 縄手とは「一本の縄のように真っすぐ伸びた道」を意味するそうだ。 松岡芭蕉の俳句に出てくる「天津縄手」が私にとっては馴染み道だが、天津縄手は周囲一面に田んぼが

【歴史小話】江戸時代の時刻「不定時法」と時を刻んだ「和時計」

七つ立ち 民謡「お江戸日本橋」では、「お江戸日本橋七つ立ち」という歌詞が登場する。 これは、旅人が江戸を出立する時刻のことを歌っており、暁七つの時刻に出発していたというのことなのだそうだ。 暁七つというと現代の時刻の考え方だと午前4時ということになるが、江戸時代までの日本の時刻の刻み方はそうではない。 不定時法 江戸時代の日本では、不定時法と呼ばれる時刻制度が使われていた。 不定時法では1日を昼と夜に分けてそれぞれを6等分にし、その一つの長さを1刻(いっとき)と呼んでい