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⑥第3章-3 『論文書け!って言われても・・ 若手医師のための論文執筆の基本(仮)』

今日3章を書きます。
目次3-3 投稿、査読対応がテーマです。

目次

はじめに

1章 本文の書き方
2章 本文以外の書き方
 2-1表紙  
 2-2アブストラクト
 2-3図表
 2-4レファレンスや謝辞など
3章 投稿と査読対応
 3-1投稿先の選定
 3-2共著への供覧
 3-3投稿、査読対応
4章 なぜ論文を書くのか  
 なぜ論文を書くのか
 業績とは
 テーマの決め方
 必要な道具

論文書け!って言われても・・ 若手医師のための論文執筆の基本(仮) 目次

本文は以下から

第3章 投稿と査読対応

3-3 投稿と査読対応

投稿について
さていよいよ投稿です。

その前にカバーレター Cover letterを準備しましょう
カバーレターとは、雑誌の編集者Editorに向けた手紙で、簡単な論文の要旨や利益相反などを記載して、査読をお願いするための文書です。
ネット上にはカバーレターのサンプルが掲載されていますが、いざ自分で書こうとすると手間取ることもあります。第1章の英文校正で少し述べましたが、英文校正サービスのオプションにカバーレターの作成サービスがあります。私はenagoという校正会社を利用していますが、校正プランによっては無償でカバーレター作成サービスが選択できます。有償の場合は6,000円です。
お金をかけたくない場合はChatGPTでも文章を作成してくれます。「〇〇というタイトルの医学論文をXXという雑誌に投稿するんだけど、編集者にあてたカバーレターをつくってくれない?利益相反がないことも盛り込んで」とお願いしたところ、流用できそうな文章をChatGPTが作成してくれました。ただ、その適否の判断に悩むようであれば、校正サービスのオプションでカバーレターの作成を依頼した方が無難です。

カバーレターも準備ができたら、いよいよ投稿です。

論文の投稿はそれぞれの雑誌のサイトから行います。サイトのトップページに"Submit Manuscript"、あるいはそれに類する項目がありますから、そこから投稿用のページに進みます。
ここでログインが必要になるので、初回投稿であれば新規に登録しましょう。ログインの方法のひとつに、は緑の文字で表示される「iD」を経由することも可能です(下図参照)。

このiDはORCIDと呼ばれるもので、正式名称はOpen Researcher and Contributor IDです。要は研究者ごとに紐づけられた個別のID番号です。これを設定しておくと別の雑誌に投稿する際にもORCID経由でログインできますので、雑誌ごとに個別のユーザー名やパスワードを設定する必要がありません。別の雑誌に投稿する際にも便利な機能ですから、登録しておくことをお勧めします。

投稿画面に進むと、通常4-5つくらいの投稿のためのステップがありますので、ページの案内に従って投稿作業を進めてください。全文英語ですが、Googleなどで日本語に変換してもらいながら作業を進めましょう。

投稿作業自体は慣れてくれば30分程度で可能です。ただ、共著者の登録が煩わしかったり、添付すべきファイルのフォーマットが合わなかったりと、意外に手間取ることも多い作業です。私の経験上は、投稿作業中に時間が経過しても強制的なログオフにはならず、作業過程は維持されていましたから、空き時間などを利用して少しずつ進めれば大丈夫です。心配ならば1時間程度は時間を確保して、一気に投稿しましょう。

投稿の後は野となれ山となれ、もう返事を待つほかありません。投稿する心情は、手塩にかけて育てた我が子が巣立っていくような気持ちに似ています(私の子はまだ小さいので厳密にはわかりませんが)。達者でな、頑張ってねと願いながら原稿を送り出すのです。

ここからは査読結果を待つ期間に入ります。束の間の休息です。しかし、査読に回る前に原稿に不備がある場合は編集者Editorからメールで連絡がありますので、メールは欠かさずチェックしておきましょう。


査読について

投稿後に査読が行われます。通常は2人以上の複数人が担当します。査読の期間は雑誌によって本当に様々で、早いものでは2週間程度、私の最長記録は6か月までありました。ですから、大学院の場合は卒業という制限時間があるので、おおよその査読期間は考慮のうえ投稿先を選定したほうがよさそうです。

査読結果が届いたら、まずは共著者全員に査読結果についてメールでお知らせしましょう。共著者にも査読結果について投稿先から届きますが、得てして英語のメールは埋もれてしまって発見されにくいことがあります。一度論文を投稿するとわかりますが、ウチで論文出さないか?とお誘いの英語メールが毎日届くようになるからです。ですから、簡単でよいので査読結果について共著者にお知らせしたほうが無難です。

さて、その査読の結果は大きく4つに分かれます。良い結果から列挙しますとAccept, Minor Revision, Major Revision, Rejectです。

わかりやすいところから解説します。
まずAcceptです。アクセプト、受理、これは論文がその雑誌に掲載するに足ると認められた状態です。つまり論文を書くという戦いに勝利したことを意味します。ですが期待しないでください。1発でアクセプトされることは通常ありません。ですから、現実的にはこれから説明する3つのどれかで査読結果が返ってきます。

最も残念なのがRejectです。リジェクトは不採択ですから、もうその論文は投稿した雑誌に掲載される見込みはありません。雑誌によっては採択率も明らかにされているものもあり、リジェクトされるのは全く珍しいことではないんです。そうなのですが、分かっていてもやはりリジェクトはガッカリします。凹みます。
しかし大切なのはリジェクトのコメントです。見るのは辛い作業ですが、重要な点が指摘されていることもあるので、修正の必要がありそうなら修正を検討しましょう。それによって論文がより洗練され、次の雑誌でのアクセプトが近づきます。
そして最も大切なのはリジェクトされても心を折られないでください。論文ではリジェクトは付きものです。私はひとつの論文で3誌リジェクトされたこともありますが、捨てる神あれば拾う神あり、論文がきちんと完成していれば必ずどこかの雑誌で採択されます。諦めずに投稿作業を続けましょう。リジェクトされて、別の雑誌に投稿するために体裁を調整する作業は精神的にも苦しいです。ですが、みなさんがせっかくここまで頑張って育ててきた論文です。必ず報われることを信じて、次の雑誌への投稿準備を進めてください!


つづく。
*文字数カウント
①はじめに 1800字
②1章 10000字
③2章前半 2600字
④2章後半 2000字 
⑤3章前半 2800字
⑥3章後半 2300字 ここまで合計21,500字 


書いてみた感想

いよいよ大台の2万字を突破しました。

次回はRevisonふたつと対応について書いていきます。
もう3章も終わりが見えてきました。
ここが終われば、あとはエッセイみたいなものなので気楽に書けるんじゃないかんと思っています。

本を書くのは楽しすぎる!


読んで頂いて誠にありがとうございました。
ご意見やご質問を頂けたらとても嬉しく思います。

髙草木



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