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③第2章-1 『論文書け!って言われても・・ 若手医師のための論文執筆の基本(仮)』

今日は第2章を書いていきます。
1章で本文は書けた(はず)なので、本文以外のパーツの作り方を説明していきます。

目次

はじめに

1章 本文の書き方
2章 本文以外の書き方
2-1表紙  
 2-2アブストラクト
 2-3図表

 2-4レファレンスや謝辞など
3章 なぜ論文を書くのか 
 なぜ論文を書くのか
 業績とは
 テーマの決め方
 必要な道具
4章 投稿と査読対応
 投稿先
 査読対応

論文を書け!って言われても・・ 若手医師のための論文執筆の基本(仮) 目次

では本文はこのあと。


第2章 本文以外の論文の書き方

第1章で本文の書き方を説明しました。
このままでは論文にはならないので、この章では本文以外に必要な論文の構成要素について考えていきましょう。

2-1 表紙 Title page

表紙は本文に先行して作成しても構いません。私は一番最初に表紙を作ることが多いですよ。なぜなら表紙ができると、論文らしくなる気がするからです。

さて、その表紙Title pageに含まれる項目は
Title
Running title
Keywords
Authors
Affiliations
Corresponding author
Total page numbers
です。

具体的な表紙の完成図を示しますね。

Title page

表紙は上図のような形になります。
すべて英語ですね。表紙については日本語で作成する必要はありませんので、最初から英語表記で構いません。
では1項目ずつ説明していきます。

①Title
題名です。自分の研究内容をできるだけ端的に示せるような題名を考えましょう。仮のタイトルでも構いません。
②Running title
タイトルを少し短くしたバージョンがRunning titleです。実際に掲載された論文の上または下の枠外に表示されることが多いです。Titleから適宜英単語を取り除いて、短いタイトルを作りましょう。
③Keywords
キーワードです。自分の論文のキーワードを5つ挙げて記載します。投稿する雑誌によっては数が異なりますが、とりあえず5つあれば通常は十分です。
④Authors
著者です。著者の名前を書き連ねます。この例では投稿先の規定によって全部大文字にしていますが、最初のみ大文字であとは小文字でも構いません。名前のあとに所属番号を振っておきます。
頭を悩ませるのが著者の順位です。通常は初めに筆頭著者(論文を書いた人)、2番目が責任著者Corresponding author、間は若い先生から順に記載して、最後は教授や部門長などの責任者、となることが多いです。ここは指導医と相談しましょう。
⑤Affiliations
所属です。④の著者順に所属を書きましょう。部門、病院名、都道府県、国の順に書いていきます。
⑥Corresponding author
責任著者です。通常は指導医の名前がここに記載されることになります。いつから自分自身で責任著者になれるかは恐らく規定はありませんが、博士号を取得したのち、自主的に研究や論文を進められるようになれば責任著者を名乗るには十分足ると思います。
⑦Total page numbers
ページ数です。本文が日本語の段階では不要です。最終的に全て完成した後にページ数を記載しましょう。

これで表紙 Title pageが完成です。
ここができるだけでも達成感が得られますよ。作業自体は大変ではないはずなので、空き時間等を利用して適宜進めていきましょう。

2-2 アブストラクト Abstract

アブストラクトAbstractとは論文の要旨です。俗にアブストと呼ばれたりすることがあります。
イメージとしては学会の抄録のような書き方です。要旨なので、論文中の重要な部分をまとめることになりますが、投稿先によってアブストラクトの字数制限が異なるため、私は一番最後に仕上げています。反対に、一番最初に書いておけば、論文の大まかな骨組みが完成することは見逃せない利点です。
ですからアブストラクトをいつ書くかはお好みで、と言いたいところですが少し乱暴ですね。まずは日本語で要旨を簡単にまとめておいて、英語の本文が完成したあとに最終的にまとめればよいかと思います。

2-3 表 Tableと図 Figure

表Tableと図Figure。これらは論文を構成する上で非常に重要な要素です。本文を読まなくても、TableやFigureだけで論文の大まかな内容を理解してもらう必要があります。一般的には研究対象や結果の数字を示したい場合にはTableが、生存率を示すようなKaplan-Myer曲線など視覚的に示したい場合にはFigureを選択することになります。

まず表 Tableの作り方です。
Tableはエクセルで作ります。Tableの一例を示します。なお、注意が必要なのは私が執筆した論文の表ではありますが、論文の著作権は著者ではなく掲載雑誌に帰属しているということです。ですから、自分の論文と思っていても、自由に掲載することができません。そのためデータや項目の一部を削除しています。

Table作成例

エクセル上で「表示」から「枠線」のチェックを外すと、よりそれらしいTableになります。以下に枠線の表示のみを解除したTableを載せます。

エクセルの枠線を非表示に切り替え

だいぶすっきりして、Tableらしくなりましたね。ただ、Table作成の際は枠線があったほうが作りやすいので、Tableが完成した時点で枠線を非表示に切り替えましょう。


次にFigureの作り方です。
Figureはパワーポイントで作ります。
似たようなFigureを並べる際にはFigureのサイズを合わせる必要があります。統計ソフト側で表示サイズが調整できるはずですから、全てのFigureを同じサイズで作りましょう。
グラフそのものを修正するのは御法度ですが、グラフの軸の表記などはパワーポイント上で見やすい形に書き直していきます。

ひとつ例を示します。

本来上の図は全生存率のKaplan-Myer曲線を示した図です。曲線自体は非表示にしています。一見なんの変哲もないFigureですが、これを全選択して表示させると

これだけ沢山のパーツにわかれています。
ここでは対象患者数、軸の目盛りの表記、軸の説明書きは別途パワーポイント内で作成しています。このとき、文字のフォントやサイズは必ず揃えましょう。ちなみにこの例では「Arial」というフォントで、文字サイズは16を使用しています。ひとつの目安にしてください。

完成したFigureにはFigure Legendsを付ける必要があります。
レジェンド?なんだそれ?と私は思いましたが、要はFigureの説明文です。2-3文くらいで簡単に説明文を付けましょう。
ポイントは、その説明文だけ見れば本文を読んでいなくても理解できるように書くことです。従って、略語は原則使用しないでください。
最終的に英語化すればいいので、ここも日本語で構いません。しかし、短い文章ですから最初から英語でも大丈夫です。Figure Legendsは「本文」のテキストの一番最後にでも書いておきましょう。


つづく。
*文字数カウント
①1800字
②10000字
③2600字


書いてみた感想

書きながら思ったのですが、著作権的には自分で書いた論文は最早自分のものではないんですよね。
本にするにあたっては注意が必要そうです。

次回はレファレンスや謝辞などの細々とした論文の構成要素について書いていこうと思います。


読んで頂いて誠にありがとうございました。
ご意見やご質問を頂けたら是非お願い致します。

髙草木

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