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深海魚を簡単に捕まえるデバイスが開発される

イノカチームでは海外の魚にまつわる研究を日々調査しております。

今回はそんな中から、

こちらの論文を紹介します。

「深海魚を簡単に捕まえられるデバイスを開発した」

という研究になります。

未知の領域トワイライトゾーン

まずは今回の舞台となる「トワイライトゾーン」について。

海洋研究というと、多くの研究者は海底や浅瀬を研究しがちなのですが、トワイライトゾーンと呼ばれる、あまり研究者が立ち入らない領域があります。

そこでは過去のサンゴ礁と新しいサンゴたちが混ざり合い、独自の生態系が築かれています。

研究者にとっては魅力的なトワイライトゾーンですが、ではなぜ、あまり研究が進んでいなかったのでしょうか?

理由はシンプルで、トワイライトゾーンの研究が非常に難しいものだったからです。

というのも、ここにいる魚は深海魚に近い体のつくりをしていて、地上に連れてくるのは、非常に困難なのです。

深海魚は取るのが難しい

深海は地上と比べてものすごく水圧がかかっています。

深海魚はその圧力に押しつぶされないよう、身体の中から強い圧力で押しているんですね。そのため、深海魚をそのまま地上に持ってきてしまうと、周りからかかる圧力が小さくなり、内臓が体の外に出てしまう、なんてことが起きます。

一方、魚の体内の空気も問題です。

飛行機に乗った時、ポテトチップスの袋がパンパンにふくれていたということを経験されたことがあるかもしれませんが、空気は周りの圧力が弱くなると膨張する性質があります。

そのため、深海魚の中に入っていた空気が、地上に近づくに連れ圧力が弱くなり、膨張した結果、内臓が破裂するといったことも起きています。

じゃあ、水族館に展示されている深海魚は?というと、水圧の影響をあまり受けない子供のころに採集したり、大掛かりな装置をつかって圧力を保ったまま水上に持ってきています。

これらの方法は、多額の費用や特殊な装置が必要なもの。

研究者が気軽に採集できる方法は、今までになかったのです。

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深海魚をはこぶ「水筒」

そこで登場するのが、今回紹介するこのデバイスです。

このデバイスは、ダイバーが筒に魚を入れた後、きっちりと密閉をすることで地上まで筒の中の圧力を一定にたもちます。そしてその後、2-3日かけてゆっくり圧力をさげることができるデバイスです。

従来の大掛かりな装置に比べ、軽量で、持ち運びのしやすい形。水筒のようなサイズ感で、気軽に深海魚を採集することができます。

また、透明であるため、ダイバーが常に魚の様子を見ることができ、
途中で筒の中に加圧することもできます。逆に、ダイバーが誤って減圧してしまわないような仕組みもついています。

このデバイスが開発されたことにより、今後さらにトワイライトゾーンの研究が進むと考えられています。

また、このデバイスが広く普及するようになれば、いずれは自宅で深海魚を飼える時代がくるかもしれませんね。

いつの時代も、新しい技術は僕たちをワクワクさせてくれます。
海洋技術者がもっと増えることを願っています。


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