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性格によるマッチングが魚の子孫繁栄に役立つ

こんにちは、イノカの今中です。

イノカチームでは様々な生き物についての研究紹介を行なっています。

本日はその中から、魚の生殖に関する研究を紹介します。

内容は「性格によるマッチングが魚の子孫繁栄に役立つ」というものです。

実験動物としての魚”ゼブラフィッシュ”

研究内容を述べる前に、実験動物として用いられている魚について触れたいと思います。

実験動物といえば、マウスやラットといった哺乳類をイメージされる方が多いと思いますが、実は魚類にも実験動物はいます。

その中で代表的な魚が”ゼブラフィッシュ”で、オイカワや鯉、金魚に近い種類の、体表に紺色の縦縞を持つ魚です。

----------wikipediaより引用---------------

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ゼブラフィッシュは、人間の遺伝子との類似性や飼育コストの安さ、繁殖力、胚や幼生の時に無色透明なため、

「中で何が起こっているか分かりやすい」、といった特徴から研究対象に選ばれて、がん治療法や組織再生といった研究に活用されています。

魚の繁栄にとって重要なのは、外見よりも性格

今回紹介する研究においては、動物の性格や外見が魚の生殖に及ぼす影響を調べるためにゼブラフィッシュが用いられました。

 まず、

「外見◯(good)」=体の模様の色彩が明瞭
「性格◯(good)」=前向き・積極的

と定義した上で、

1. 外見○性格○
2. 外見×性格○
3. 外見○性格×
4. 外見×性格×

という4つのグループを雄雌共に作り、1のオスと4のメスといったように、それぞれのグループをまたいで2匹を掛け合わせました。

そして、生まれた卵の数、卵の生存率、他の魚がいる環境での稚魚の生存率といったパラメーターで、繁殖の成功率を評価しました。

その中で、研究者らは「外見よりも性格の方が種の繁栄に重要だ」という結論に至りました。

ゼブラフィッシュによる恩恵

この研究は、魚をいかに効率的に繁殖させるかという視点から、水産養殖のような産業に対して影響があるのはもちろん、

魚の生態系をどう保存していくか、進化の歴史をどう理解していくか、といった人間と自然との関わり方においても重要であると研究者らは考えています。

さらに、僕が面白いと思ったのは、人間の遺伝子と類似性の高いゼブラフィッシュにおいて、

遺伝子レベルで異性に対する選好があった、という事実です。

「〜〜な人がタイプ」という言葉をよく耳にしますが、「どうして?」と聞かれると「何となくそう」と感じ、明確に答えられない人が多いと思います。

もしかするとこのような遺伝子の影響によるものなのかもしれませんね。

いまの人間が遺伝子的に好む性質は、どういうものなのか?

ゼブラフィッシュと同様に前向き・積極的な性格の異性を好むのか、それとも全く違う選考を持つのか。

いつか人間のマッチングに、魚の研究が活かされるような日が来るかもしれませんね。

他にもAlicaにて、色々な生物研究に関する記事を載せています!ぜひご覧ください!


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