備忘録(宗教2世の話)
菊池真理子さんの「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜という本を読みました。漫画です。タイトル通り様々な宗教家庭で育った2世の方たちへの取材を元に描かれた本です。
みんなが知ってるアレ
この本についての感想と自分の生い立ちなんかをサラッとツイートしました。著者である菊池真理子さん自身のエピソードは第7話に出てくるのですが、それを読んで一目でわかるほどに「あ、私んちと同じ宗教だ」ったので。新興宗教の中ではだいぶメジャーなやつです。石を投げれば〇〇に当たるというくらい皆さんのそばにもいらっしゃると思います。芸能界にも多くいますね。最近では脱会された元・信徒の方が抗議活動されているのを目にしました。選挙の時期になると家族・親戚・友人・知人などから電話がかかってきて投票のお願いをされた方も多いのではないでしょうか。
※文中にある「先日のこと」については以下にまとめてあります。
おぼえがき
とにかく、この本を読んで「ああ、なんだか自分のことも話したいな」と思いました。辛い体験があったわけではありません。いや、なくもないですがそれはもう少し大人になってから感じるようになります。周りにはあらゆるジャンルの宗教2世がごった煮で存在したので自分含めそれらの子供たちが奇異な目で見られることもありませんでした(他のご家庭の大人たちにとってはそうではなかったかもしれませんが)。
家族仲はわりと良いほうだったと思います。暴力を振るう家族も出てきませんし、宗教活動を強制・強要されることもなかったです。でも私が仏壇の前に正座をし、勤行(ごんぎょう/お経を唱えることです)をすると母は嬉しそうでした。
仲の良かったご家族が脱会されたことがありますが「裏切り者!」「地獄に堕ちるわ!」などといったヒステリックに騒ぐ人も私の観測できる範囲には居ませんでした。「そっかぁ、残念だねぇ」と嘆く姿は見ましたが。脱会理由については自分たちの存在を否定される気がして私は聞けなかったです。
ただ、成長するにつれて家族の活動への熱心さと冷めていく自分の温度差がしんどくなり「もっとこう、宗教とかやってない普通の家が良かったな」と感じるようになりました。そもそも普通とはなんぞやというテーマになると長くなるので割愛しますが、その辺は腐っても漫画家なので漫画で描き残しておきたい。そういうふうに考えました。このnoteはそのための覚書です。
2世じゃなかった?
ところで私も宗教2世ですと呟いてしまいましたがよく考えたら3世のようでした。私の祖父は私が生まれる前に既に亡くなっていましたが、その祖父が入信し、一族もろとも招き入れたようなのです(間違ってたらすみません/親族の方へ)。話に聞くと祖父は明るい性格でコミュ力(りょく)の塊のような人物だったらしいので物凄い勢いで折伏(しゃくぶく/ここでの意味は入信させるようにとにかく説得の限りを尽くして勧誘するという感じです)したのかもしれません。推測の域を出ませんが、とにかく親戚中が〇〇会員です。中には「なんか勢いで入信しちゃったけどあんまやる気しねぇなあ」という、ほぼ幽霊会員のような親族もいて内実は様々です。我が家はその点、家族みんなが熱心な信徒でした。私も子供の頃は会合などに連れて行かれると同世代の子供たちが多く居たこともあり、一緒に遊べるのが楽しく違和感を覚えることはありませんでした。そもそも会合に連れて行かれるどころか我が家が会合会場の役割も果たしていたので(そういう家は『拠点』と呼ばれます)とにかく老若男女、様々な人が常に大勢出入りする、そういう家庭でした。
行けば友達に会える、待てば友達もやってくる。そんな環境だったので私は積極的に参加しました。お菓子も貰えるし。ベビーブーム世代ということもあって、とにかく子供が多かった。もし、学校に居場所がなかったとしても私にはここがある!と強く思えたかもしれません。幸い学校に居場所はありました。ですが、小学生の頃のように無邪気に「うち、〇〇なんだ」と言えない空気を少しずつ感じ取るようになりました。
謎のおじいちゃん
ところで親戚中を巻き込んで熱心に活動していたらしい祖父はそもそもどういうきっかけで入信したのだろう?私はその詳細を知りません。そういうことに触れる前に家族から離れてしまったし経緯を知っていそうな祖母はだいぶ前に亡くなりました。父も鬼籍に入っています。母とは仲が悪い訳ではないのですが、会話をすると衝突も多く結局核心には触れられていません。その母も既に高齢なこともあり、今さらそんなことを尋ねられてもはっきりとした答えが返ってくるかわからない。私は50近い年齢となった今でも家族としっかり向き合えてはいないのだなぁと思います。
なので選挙の時期になると私のLINEには今でも「〇〇さんに投票よろしくね!」「比例は●●で!」などと送られてきます。そこでピシャリと撥ね付けられれば良いのですが何しろ未だ向き合えていない体たらくですから「投票行ってきたよー」と無難な返信をするのが精一杯です(ちなみに頼まれた〇〇さんにも比例は●●にも投票していないので「投票には行った」という事実のみを伝えています)。
そういう家に生まれた子の話
私はエッセイ本を読むのが好きです。何気ない日常やありのままを写しとり、更に面白さでコーティングする作業は本当に難しいことだと思います。
自分が漫画にするなら実体験を元にしたオリジナル要素を入れた物語になるかなと漠然と考えていますが私の母は「小説家は私小説が書けて一人前だ」と言う人でした。「漫画のことはよくわからん」そうです。いずれにせよ私にはまだまだ難しい挑戦です。
志村貴子(2023年3月5日記)
※写真は虚ろな顔をしている飼い猫・しゃもじです。実家のことを考える時の私の心境を表しています。
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