梅のそばかす


6月25日、初夏の手しごと最終講座が無事に終えることができました。
毎年、最後は「完熟梅の梅干し」講座です。
梅は、毎年、群馬県高崎市「北斗の森」から送られてきますが、今年は、春先からの気候の激変で、斑点が多い梅でした。
私は、梅のそばかすと呼んでおります。
そばかすについて、今回は書いてみようと思います。
そばかすの原因は、カビの一種の糸状菌によるもの。
雨の多い季節に被害が発生しやすいのです。農家では、「黒星病」といい、
これが発生すると、農協では取引してもらえない場合もあり、
それを防ぐためには、防除、つまり消毒剤を散布するしかありません。
店頭で並ぶ梅がなぜ、キレイなのかは、消毒をまめにしているからなのです。
かびなの?!
病気なの?!
確かに、カビによる、病気とも言えますね。
でも、何十年もそばかすのある梅を漬けてきて、途中で腐敗したことは一度もありません。
だって、麹菌もカビだし、カマンベールチーズもカビ、
カビ=毒 とは言えないと考えます。
そこなんです、全ての根源は、物事を表面しか見ない癖。

梅のそばかすについて、あくまでも私個人の意見ですが、
梅も他の植物と同じく、初夏から強くなる紫外線対策の一つではないかと
思えてなりません。
その理由としては、青梅には、ほぼそばかすはありません。
だんだん成長して、梅雨になり、紫外線も強くなる完熟梅に取っては
ストレスが多くなる。
結果、糸状菌が棲みつきやすい環境になり、そばかす登場。
でもこのそばかすは、中の実までは侵入しないもの。
梅も皮剥くとキレイ。
バナナのシュガーポットみたいなもので、バナナは気にしないのに、
なぜに、梅だけはあんなに気にするんだろうか?
そう思うと、果物で最も見かけを優先にしているのは「梅」だと思う。
だから、梅農家は農薬も消毒剤も大量に使うのが日常化しているだと
私は考えます。同じバラ科のバラもすごい農薬かけますよね。

農家だって、そばかすの多い梅を出す時、いい気持ちであるはずはないです。
少しでも少ないものを選び、
少しでも収穫後、早く出荷しようと 一生懸命。
私は、消費者と農家の関係について、このままではいかんと思うことが
多々あります。

消費者は、オーガニックや無農薬、無化学肥料をめちゃ好みます。
その上、値段はできるだけ安くね。バカ言ってんじゃない。
形も、できれば揃えてほしい。なんだと!
一番美味しい時期に出荷してほしい。 おだまりっ!

バカもん!そんな野菜、この世にありません。
もちろん、土作りができている畑の野菜はキレイ、美しいのだ。
しかし、少しくらい不揃いでも、使い方次第であると思う。
それを指導するのが私の役割。
最終的には、「ベジブロス」に使う。

ウクライナ・ロシア侵攻で小麦やとうもろこしの値段が急騰。
それに伴い、油、小麦粉、果ては家畜飼料が高騰し、肉が高くなるのは
もう時間の問題。
6月なのに、こんなに暑い。東京は、熱帯地方でっか?
ゲリラ豪雨も珍しく無くなっている。

食糧難に備えて、昆虫を食べる練習をすることより、
農家と繋がろう。
農家を大切にしよう。
生産者を理解しよう。

だって、私たち、畑もしないし、醤油も酢も作ってないんですよ。
生産者のお陰で、美味しい料理が作れるわけです。

そばかす梅を見ると、「こんなもん送ってきやがって!」
ではなく、どうしても、農家さんのことが心配になる。
さぞ、困っているだろう。
さぞ、クレームに不安に思っているだろう。

梅のそばかすは、味や品質には影響がありません。
もちろん、ない方がいいに決まっている。
じゃあ、梅がキロ2000円になっても買いますか?

やっぱキレイな梅がいいわという人は、消毒剤済みの梅を買えばいいと
思う。
その代わり、消毒剤の梅は、アクが強いので、アクぬきをきちんとしましょうね。

今年のそばかす梅、アクぬき無し。
追熟の様子見て、早めに下漬けしましょうね。
1回で、100点の梅干ができるわけないでしょ。
梅は年1のもの。何度失敗して、どれほど、泣いたか・・・・・
今のビニール袋に梅と塩と果糖を入れて下漬けるスタイルを確定するまで
何年もかかったんだから。
今年、失敗しても、来年、絶対チャレンジしてほしい。
何が原因で、こうなったのか?を確実に検証してほしい。

私のこの探究心というか、いや、執念深いところが
今のホールフードスクールの全てのレシピの原動力だと思う。


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