【映画エッセイ】オキナワサントス
普段どちらかというとフィクションが好きなのでドキュメンタリーはあまり見ないけれども、偶然「沖縄×ブラジル」が関わるものを見たくなった。その理由は…長くなるので飛ばしていけれど、今回の映画エッセイは、わけあって(文中に記載)そんなに書けないので、期待しないでね。
8月7日、拙企画「ヤンバルクイナのチムの物語」のプロデューサーでもある大朝夫妻が映画を届けるために世界旅行に旅立った。その初上映の地が「ブラジル」だったのだ。
話はそれるけれども。大朝プロデューサーズのヤンバル愛はすごい。ヤンバルの素晴らしさを伝えたいという気持ちで手探りで映画制作をし岸本司監督ともにコロナ禍もあったなか、映画を完成させ劇場公開もして、さらに世界を訪ねて(有名映画祭ということでなく)沖縄と縁のありそうな場所に、一般の人たちをターゲットに、直で映画を届けに足を運ぶという試みをしている。そんな映画プロデューサーを…私は未だかつてみたことがない。あ!それこそ私がドキュメンタリストだったら密着したのに…!そういう発想がでてこないからやっぱり私はドキュメンタリー向きな人ではないと感じる。
本作を見たくなったきっかけは、他にも2つの興味が重なったから。
第一に、ブラジル政府が戦中戦後日系移民に強制退去を強いたことを認め正式謝罪した記事が新聞に大きく掲載されたこと。二つ目は、過去にラインマンガで読んだ「その女、ジルバ」で描かれていたブラジル日系移民たちの中で描かれる負け組勝ち組の話を詳しくしりたかったこと。
そして、映画鑑賞の背中を押したのがコザの映画館シアタードーナツ。予感はしてたけど、この新聞掲載をきっかけに即、再上映を決めてくれた。(ミニシアターは、そうでなくちゃ!と心のなかで拍手喝采した)
にも関わらず、私の自宅からはさすがに高速のって飛ばしていく場所にあるのであろうことか開始時間に間に合わず10分ほど遅れてしまった。無念。(はっきりと書けない理由はそこにある)
なのでここでは本映画のパンフレットに記載されてる研究者の文章のように本映画を語れないし、語るつもりはない。
ただ、私は目の当たりにした涙を忘れないだろう。
日系移民社会を守るためでもある、さまざまな「圧」のなかで、悲しいという感情さえも押し殺していて、カメラの前で、初めてこのことを語ることが許されたように、当時のいえなかった感情を今吐き出すかのように、静かに涙を流すその姿を。
戦後も、日本が負けたことを認めない「勝ち組」のテロ的な行為のせいで多くの人が踏み絵的な尋問により無実の罪で牢獄に追いやられてしまった。戦争が終わったのにも関わらず、である。なんて酷いことだろうか。
この映画の出演者は映画の完成にも間に合わず鬼籍に入られた方もいらっしゃるようだった。せめて生きている間にブラジル政府の正式謝罪を知ることができていたら…と思うと切ないが、劇場主の宮島さんによると、監督が再びブラジルを訪ねているらしい。再び沖縄にその後のお話をする機会もあるかも・・・?期待してまっていましょう!機会があればぜひ見てくださいね。
サポートをいただきありがとうございます。宮平の創作の糧となります。誰かの心に届くよう、書き続けたいと思います。