デスバレーに着く前に、すでに心が折れてすべてを投げ出したくなったドライブの話
「ヘリから機銃掃射」などという、砂漠でフルオート実弾射撃ができる街・ラスベガスの常識をも超えてくるブッ飛びアクティビティを終えまして。
これまでのnoteは1記事が1日分だったけど、前回の記事はまだお昼前。
ここから、この旅で最後の目的地に向けて、最長となる400kmオーバーのロングドライブが始まります!
実は、ラスベガスから射撃場までのルートのラスト5kmは砂利道。
他のお客さんでマスタングに乗ってきた人がいるぐらいだから、まぁ乗用車でも走れるんだけど、行こうとしてる人は気をつけてくださいw
で、射撃場のスタッフさんから事前に言われていたのが、「Googleマップだと砂利道が長いルートを案内することがあるから、Wazeアプリを使ってね!」ということ。
事前にGoogleで調べておいたルートもWazeのルートも変わらなかったから、あまり気に留めていなかったのですが…。
射撃場を出て、30km/hも出さないぐらいで砂利道をノロノロ走りながら、「5km先を右方向です」…はいよ!
Googleマップをアテにした結果、帰り道に悲劇は起きた。再び。
そう、サンフランシスコでレンタカーを借りたときも、わざわざシンプルなルートで市街地を抜けられる場所を選んだのに、Googleマップをアテにした結果、市街地をクネクネ最短ルートで行くハメになったわけですが…。
ナビに言われたとおり5km走って、右折。
「この先7km、道なりです」
ラスベガスから来た時の道は舗装されてたけど、その道の反対方向は砂利道だった…。
いま思えば、この時点で異変に気づくべきだったんだけど、不幸にもあの日は特に疑うこともなく、「まぁ5km走ってきたし、もう7kmぐらい行けるやろ」と、クルマを進める。
たま〜に対向車も通るけど、ピックアップトラックやトラックを改造したキャンピングカーで、みなさん車高が高め。中には哀れみの視線?を送ってくるドライバーもw
写真は割と路面状態がいい方で、時にはまたげないサイズの石が転がってたり、まっすぐ突っ込むとバンパー擦りそうな窪みや轍(わだち)があったり。
「段差にはタイヤを乗せて、溝はまたぐ」がオフロード走行の基本だと何かで読んだ記憶があって、それに忠実に、ゆっくりと。
「800m先、右方向です」
ようやく、次の交差点が近づいてきた。
ようやくだよ。右折ね…。
「この先12km、道なりです」
アハハ、大きい…サボテンかな?
いや、違う、違うな。サボテンはもっとびよ〜んって形してるもんな…。
「心が折れる」というのは、こういうことを言うんでしょう。
よもや、海外ドライブ中にそんなことを感じようとは。
1分ぐらい、全てを投げ出してもうやめようかと思った。マジでw
まぁ、さすがにそれじゃなんの解決にもならないと我にかえり、ここで判断を迫られる。進むか、戻るか。
7kmちょっと戻れば、確実に舗装路に戻ることができる。
でも、これまでの苦労がムダになる。
一方、このまま進めば、途中から舗装路になるかもしれない。
でも、12km先の道もまた砂利道かもしれない。
とはいえ、今日のルートがずっと砂利道ということはあり得ない。
「そんなんスマホで調べればいいじゃん」と思うでしょうが、こんな一面の荒野は当然圏外。広い道路があれば必ず電波がつながる日本とはワケが違うのです…。Starlinkほちい。
今になって考えると、僕の性格からしてここは戻るのが普通のはず。
しかし、精神崩壊を起こしていたためか、単にここまでの7kmをムダにすることを受け入れられなかったのか…進むことを選択。
ここまで、路面が比較的きれいなところで30km/h、いちばん荒れてるところは徐行…という感じで、平均速度は15km/hぐらい。
ということで、12km先まではあと50分。
アメリカドライブ中はダウンロード済みのポッドキャストとAudibleをひたすら聞いてたから、幸いにして気分は紛れるものの…。
すでにここまで1時間、そしてさらに1時間。
ひょっとするとその先もかもしれないし、手前から舗装路かもしれない。
そんな心理状態の中、油断すると荒れた路面でクルマにダメージを与えるかもしれないから、しっかり路面を観察しながら運転を続ける必要がある。
「お、路面がちょっと良くなった!舗装路になる!?」などと、路面の変化に一喜一憂しながら、結局12kmはずっと砂利道。
「800m先、左方向です」
見える!私にも高速を走る車が見えるぞ!!
もう、心の中は「ラ〜♪」と教会で鳴り響く讃美歌とパイプオルガン。
天使たちが舞い降りた。セリフと全然マッチしないけど。
すごいよねGoogleマップ。
今回も見事に「最短」ルートを案内してくれましたよ!
距離にして60kmぐらいショートカットかな!めっちゃ短縮!
時間もひょっとしたら5分ぐらいは短縮できると思ったのかな??
カローラではなく、SUVならそうだったかもね…。
でも実際は、約20kmを平均15km/h、つまり1時間強かけて走ったのに対して、高速ルートだったら約80kmを平均90km/h、1時間弱で走れたでしょう。
当然、人生を投げ出したり、精神崩壊を起こすこともなくwww
Googleマップには気を付けよう。
おそらくこの失敗の原因は、射撃場も圏外だからGoogleマップがオフラインモードになってて、限られたデータでルート検索をした結果、距離を優先したんだと思う。
オンライン環境で検索すると遠回り高速ルートが出てくるから、事前に調べておいて、そのルートを選びましょう…。
めっちゃ美化して言えば、実に1時間以上にわたり砂利道をドライブするという初めての経験をしたあと、25kmを15分で走り抜け、最寄りのパランプという町で休憩。
まさかこんなことになるとは思っておらず、そしてヘリで酔うリスクも想定してたから、ご飯は射撃の後にテキトーに…と考えてたから腹ペコ。
ちなみに、ここまで食事の話がほとんど登場してなかったけど、それはお食事総集編として別記事にまとめます!
ずっとここでのんびりしてたい気分だったものの、すでに1時過ぎ、そして目的地は300km以上先ということで、休憩もそこそこに再出発。
これから向かう先は、デスバレー国立公園。
直訳すれば「死の谷」で、荒野の中の山と谷…規模とか知名度で言えばグランドキャニオンの方が大物な気はするけど、ここもなかなかのものらしい。
今回のアメリカ旅、主役はエアショーや軍事博物館で、ついでにドライブ…ではあるけども、「アメリカらしい壮大な風景も味わいたい」ということで、ルートに組み込んだわけです。
パランプの町を出ると、ルート上にある次の町は、実に200km以上先。
これぞアメリカという感じ!
国立公園といえども基本は荒野なわけで、片側1車線とはいえカーブの少ない広い道をひたすら走り。
1時間ほどでデスバレーの入口に到着し、「ここから有料。金払え」という看板が出てたから、そこのパーキングに。
建物の裏にクレカ専用の券売機があって、国立公園への入場料は30ドル。
当時のレートだと4500円近いから、一瞬ウッとなるも、公園内を100km以上走るわけだし、施設の整備もするんだろうし、妥当か…というわけでお支払い。もちろん、妥当じゃなくても払わなきゃダメですw
印字されるレシートをダッシュボード上に置いておくルールながら、果たしてチェックされてるのかは最後まで謎。
で、有料ならばとここのトイレを使うと…(以下、自主規制)
基本、アメリカはエアコン付きの建物以外はダメな気がしてきたw
少し走ると、有名な展望スポット「ザブリスキー・ポイント」に到着。
ここは大きな駐車場や整備された展望台があるものの、それでも充分過ぎるほどの壮大な光景。
超広角で写真を撮ってもまったく雰囲気は伝わらず、ぐるっと動画撮影してなんとか伝わるかどうか…という感じ。
これほどの「自然の無音空間」って、日本にあるのかな?
とりあえず、水辺ではなく、草木も少なく、鳥や虫もいない、もちろん車や人もいない場所で、風がない…というのが最低条件。
どこか高い山?しかも人気のない。
そう考えると、日本ではかなりハードルが高そうだけど、アメリカなら高速道路脇の展望台からそれを味わえちゃうんだから、やっぱスケールが違うなーと。
それから15分ほど走ると、立派なビジターセンターらしきものが見えてきたから、ここにも止めてみる。
というのも、入場料のレシートを見せるとパンフレットをもらえるらしいから、お土産がてら頂いておこうという魂胆もw
(トイレに行くなら、間違いなくこっちがオススメ)
それにしても、10月中旬だというのに日差しがすごいな〜、と思ってたら。
40度www
ただ、日差しは強烈だったものの、湿度が低いせいか、40度という数字から想像するほどの暑さでもなかったような。
ここは標高-58m。
そう、マイナス。つまり盆地でもある。
標高が100m高くなると気温は0.6度下がるということは、標高が低い分、気温は高まるということ。もっとも、その分は0.3度ぐらいのはずだけど…。
ビジターセンターでパークレンジャーからパンフレットをもらうやり取りをしたとき、「何か質問ある?」と聞かれたので、「西に抜ける道は開通してるよね?」と確認。
というのも、この夏にデスバレーは「前例のない大雨」に見舞われて洪水が発生。あちこちで道路が寸断されて、いまだに復旧工事中。
ちなみに、その「大雨」は24時間で37mm ←間違ってないよ
日本のゲリラ豪雨なら1時間で降ってもおかしくない雨量だけど、年間降水量が平均50mmというデスバレーでは1日で8ヶ月分降ったわけで、たぶん荒野の土砂が流されて、えらいことになったんでしょう…。
これが原因で、旅の直前まで東西を結ぶルートが途切れていて、今回は行けないかな…と思ってたものの、前日に確認した最新情報では迂回路を通じて行けることになってたから、やってきたわけです。
レ:「どんな車で来てますか?」
た:「カローラ」
レ:「なら通れますが、砂利道の区間が2kmほどあります。道が細いし、ドンキーが飛び出してくるから、ゆっくり走ってくださいね」
た:「え、ドンキー??」
レ:「そう、ドンキー」
ちなみに、このとき僕の頭に浮かんでいたのはコレ:
実際は…
ドンキーって、ずっと「モンキーとはちょっと違うサル」的な生き物だと思ってた…。このnoteを書きながら、念のため確認したら発覚www
というわけで、Googleマップにもきっちり迂回路をルート設定。
ビジターセンター周辺は電波があるから問題なし。
安くはないものの、このあたりにはちゃんとしたホテルもあるから、いつか泊まってみるのもいいなーと。
というのも、アメリカ(の比較的容易に行ける場所)では最も隔絶されたエリアなわけで、星空とかとんでもなくキレイらしいのです。しかも、ほぼ100%晴れだし。
そして、出発。
ところどころ展望スポットがあるものの、だいたい同じような景色だし、まだ先も長いから割とスルーしつつ。
こちらはメスキート砂丘。
石がゴロゴロしてる「荒野」が多くを占めつつも、ここみたいに完全に砂の「砂漠」エリアもあり。
こういうアメリカの砂漠に合わせて開発された米軍の砂漠用迷彩服が、湾岸戦争の時にイラクで結構目立ってしまい、中東向けの迷彩服をあらためて開発したというのは有名な話(※ただしミリオタに限る)。
砂丘から1時間ちょっと走ったどこかで撮った写真はこちら。
(まさかの、ついこの前までカメラアプリに位置情報を許可してなかった)
写真をくまなく探しても、道路と自分の車以外に人工物が見当たらないという、すごい状況。一体、何十km先まで見えてるんだろう…??
実はこの時が究極の「無音空間」で、本当に自分の鼓動…よりも、持病?の耳鳴りしか聞こえない、もはや神秘的とすらいってもいい体験だった。
迂回路の砂利道は教えてもらったとおり2kmほどで、対向車やドンキーが登場することもなく、昼に25kmを走破した僕にとってはもはや雑魚キャラ。
…嘘です。「あぁ、またか」って思いました。
そんな迂回路も無事に抜けて、ここがまだ国立公園内なのかどうかもよく分からない中で迎えた日没。
写真のとおりで、たしかに日は沈んでいるんだけど、それほど暗くなった感じはせず。
ここから先は、写真撮ったり休憩することもなく、目的地のモハべに向けてひた走る。残り100kmちょっと。
あ、そういえば途中でチャイナ・レイクを通過したっけ。
ここはアメリカ海軍の開発センターが置かれている基地で、さっきwikiで調べたら、なんと海軍が全世界に保有する施設の総面積の38%をここが占めるそうで(飛行空域とか、見た目はただの荒野な部分も含め)。
映画「トップガン・マーベリック」の冒頭で、ダークスターの飛行試験が行われていたのもココという設定。
まぁ、日本の自衛隊基地と違って、広大な敷地を持つアメリカの基地は、外からワクワクする何かが見えるようなことはまずないんだけどね。
そんなこんなで、19時過ぎにモハべの宿に到着。
(そういえば、macOS 10.14がMojave)
ここは荒野/砂漠エリアの片隅にある小さな町…。
というか、ロサンゼルス→郊外→さらに郊外→モハベ→砂漠、みたいな。
なぜそんなところに来たかって?
それは、今回の旅の主目的である2つ目のエアショーが開催される、エドワーズ空軍基地の最寄りの町だからです!
砂漠エリアということで、快晴の確率が約9割、予報はもちろん晴れ!
次回から、いよいよ最後のお楽しみ2Daysの始まりです!!
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