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「こいつ、動くぞ…」 イベントでもないのに航空博物館で飛び交う大戦中の戦闘機、そして荒野を無休憩で疾走して砂漠の不夜城へ

ロングビーチで一般公開されている、太平洋戦争中のアメリカ軍の戦艦「アイオワ」をがっつり見学し、標高2000m級の山々を縫って100km以上続く絶景ワインディングロード「Angel's Crest Highway」を堪能。

そして、宿を取っていた街・サンバーなディーノは、カリフォルニアで最も危険な街でした…というのが昨日のお話。

万が一、不審者がやってきた場合まで想定しつつの夜だったけど、特に何も起きず。宿のレビューとしては問題ない(というか高評価)なんだから、中にいる限り、そりゃ大丈夫だろって話ですがw



さて、気付けば旅も折り返し地点を過ぎて、今日もまたミリタリー×ドライブな1日の始まりです!

そそくさと危険な街から逃げ出し、向かったのは40kmほど先にあるチノという街。ここにあるのはPlanes of Fame航空博物館。

ミリオタ的には、企業が大戦中の戦闘機のプラモを開発するとか、ゲーム用の音源を収録するとかで、よく実機取材が行われる場所として有名。

でも、まさかそれがロサンゼルス近郊にあったとは知らず、ここに気付けたのはGoogleマップでの綿密なリサーチの賜物。

ここは第2次世界大戦前後の軍用機を中心に、実に150機以上を展示する博物館なのですが…なんと、そのうちの約30機は今でも飛行可能!



たとえば、世界で唯一、オリジナルのエンジンを搭載している、飛行可能なゼロ戦とか。

映画「トップガン・マーベリック」で、主人公が趣味で保有してることになってる、P-51Dマスタングもこちらで保管。

なんとこのマスタング、実際の所有者も本当にトム・クルーズ!

彼は1994年から航空機の操縦を始めて、数機の航空機を所有し、このマスタングは2001年に購入したそうで。

マジメな博物館だというのに、「年収2000万そこらの海軍大佐(勤続30年以上)であるマーベリックは、一体どうやって何億もするマスタングを所有できたのでしょう?」なんていう、大喜利企画までやってるw

大喜利の詳細は右の黄色いパネルに



で、来ておいてなんなんだけど、実のところ僕は、博物館に置かれている機体を見ること自体にはそれほど興味がない(昨日の戦艦もそう)。

今やネットでいくらでも写真を見ることができて、肉眼で見るより細かく見られたりするし、ただ置いてあるだけだと「本物の迫力」というのも今ひとつ感じられず。パッと見だと精巧なレプリカでも違い分からないし…。

解説文にしても、Wikipediaを見れば博物館の解説以上のことが書いてある。

では、なぜそれでも来るのかというと…。



敢えてその機体を展示する意図とか、限られたスペースでどんな解説をするかという、「博物館がキュレーションした情報」を見たいから。

ネットの情報は「敢えてそれを調べてる人」がターゲットなのに対して、博物館には子供も来るし、あんま興味のない同行者も来るわけで、そういう人にも関心を持ってもらう工夫をしてると思うんだよね。

山ほどある情報のうち、何をどう見せるのか。

その工夫と、そのアウトプットを見たい…ということな気がする。


そういう観点から印象に残ったのがこの機体。P-26ピーシューター。
1931年に開発された、米軍初の全金属製の単葉戦闘機。

解説を読むまで、まったく知らなかった機体。

太平洋戦争が勃発した時にはフィリピンに配備されていて、圧倒的多数の日本海軍機を相手に果敢に戦い、零戦や一式陸攻の撃墜記録もあるんだとか。

太平洋戦争中の戦闘機なら名前はほとんど知ってるつもりだったけど、まさかこんな機体もあったとは…という発見が楽しい。

当時でもすでに時代遅れだったからフィリピンなんていう辺境(当時はアメリカの植民地)に配備されていて、開戦数日で壊滅してしまったから戦局にはほとんど寄与してないんだけども。



日本の機体も何機か展示されていて、一番メジャーなゼロ戦は詳細解説ボードつき。

日本のエースパイロット・坂井三郎の話で、

  • コクピットの中でソーダを開栓したら吹き出して、窓もゴーグルもベタベタになったけどその後の空戦で敵機撃墜

  • 上空12000mで気を失って、6000mで回復した後に敵機撃墜

  • 敵機の後部銃座の射撃で右目を撃たれたけど800km先の基地に生還

といったエピソードが紹介されてた(真偽は知らない)。

他にも、世界でここにしかない雷電(飛べはしない)、99式艦爆(復元中)といった、日本にはもう残ってない日本機も所蔵されてます。


こちらは、屋外に展示されてるB-17爆撃機。

週末限定で機内公開をしていて、この日は木曜日だったのですが…。

たくさん子供を連れてる8人組のファミリーに対して、スタッフのおじいちゃんがいろいろ説明しつつ、機内にご案内してたので…。

た:「ぼくも見ていい?」
爺:「いま乗ってる人が降りたらな」
た:「てんきゅー」

「展示機を見ることには興味ない」と言いつつも、乗れるとなると話は別w

というのも、ご覧の通りB-17はエンジンが4基ついた重爆撃機。そして4発機といえば、どうしてもジャンボジェットを想像してしまうわけですよ。

でも、機内はこんな感じ。

これは胴体中央部で前を向いてるところ。
内装も何もなく、底面に立ってる状態でギリギリ頭がつかないぐらい。

それこそ、プロペラ旅客機のDHC-8あたりの方が大きいんじゃないの…と感じるほどのサイズ感。

爆弾倉を見たときも「え、縦に積んでるの??」と思ったよね。

もちろん、このぐらいのことは調べれば分かることだけど、別にわざわざ調べようと思わないわけで。

外から見ることに興味はなくても、中を見るというのは貴重な体験!!



この博物館はチノ空港に隣接していて、地方空港とはいえ多少の離着陸はあり、エンジン音も聞こえてくるんだけど…。

え…??

P-47サンダーボルト。
ガチの大戦機がエンジン回してる…。

さすが飛行可能状態で維持してる博物館。
イベントとかなくても、たまにはエンジン回して手入れしてるんだな〜。
すご。


…などと感心しながら、また別の格納庫で1時間ほど展示を眺めてくると。


おいまじか。

しかもエンジン回すどころか、そのまま滑走路から離陸していきましたww

キミたち、さっきまで格納庫で普通に展示されてたじゃんよw

しばらくするとマスタングも動き出し。
文字どおり博物館級の大戦機が、トータル6機も飛行!

これがここの日常なのかは分からないけど、少なくともこの日はイベントでもなんでもない、普通の平日。

写真のように、格納庫内のチェーンで仕切られていないところに展示されてる機体があったら、その日飛ぶ可能性があるということは覚えておこう。
(つぎ来るのいつだよw)



そんなこんなで、じっくり見て回ること実に4時間。

ただ機体を眺めて回るだけだったら2時間弱もあれば充分だろうけど、やっぱり解説コーナーを読んでるとこれぐらいの時間はかかってて、なんならもっといたかったぐらい。

いくつかの解説は写真に撮って、後でじっくり読んだりも。

そして、ここからは一気に大移動。

目的地は砂漠の不夜城、ラスベガス!



到着!(ぇ

すいません!
決して手抜きをしたわけじゃないんです!!

でも、博物館から15分ほどのところでガソリン入れてから、370kmを無休憩で走破しちゃったから、間のストーリーがほとんどないw

今回の旅プランで一番強引だったのがこの区間で、翌日の予定のためにはラスベガスに泊まる必要があり、でも博物館もじっくり見ると出発は夕方。

となると、途中でドライブが楽しそうな回り道をするとか、観光するといった時間は取れず、最短高速ルートで行くしかない…となったわけです。

ちなみにかかった時間も4時間ほどで、平均時速がほぼ100km。
アメリカの長距離移動は快適!

50kmおきぐらいにちょっとした街はあるものの、基本的には「荒野の中を一直線」という道がひたすら続く。制限速度は75マイル(120km/h)。

クルーズコントロールをセットして、あとはひたすらAudibleを聴きながら。

退屈して眠くなるかと思いきや、案外そうでもなく。

一口に荒野といっても多少は表情が変わったり、「ここで休憩しとく…?まぁいいか」といった判断をしてたり、だんだんと日が落ちてマジックアワーになったりと、そういうのを楽しんでたのかな。



そういえば、唯一のネタっぽい話があった。

カリフォルニア州からネバダ州に入るところで、遠くにひときわ明るい街。
でも、ラスベガスまではまだしばらくある。

あとで調べたら、ここはPrimmという人口600人ほどの街。

ラスベガスまでカジノが待ちきれない人や、ネバダ州を出る前に最後に一発当てたい人のためにカジノを中心としたリゾートが作られたとかww

街が州をまたいでるから、州ごとに違う宝クジを買えるのも魅力なんだそうで、どんだけギャンブル好きなのかとww



ぼくは基本的にギャンブルはやらないんだけど…。

ラスベガスには2009年のネリス基地エアショーの時に来ていて、その時は5セントのスロットマシンで遊んでたら、100ドル当てたことがあるのです(つまり2000倍)

今回も同じホテルだし、その時のご縁にあやかって20ドルほど遊んでみたものの、見事にスって終わりましたとさw



そんなわけで、昨日は戦艦、今日は航空機。
2日連続で第2次世界大戦に想いをはせるアクティビティでした!

実物といえども、動かないものを外から見るだけの博物館は面白くないけど、博物館のキュレーションの仕方や、その工夫を凝らした解説を見るのは面白いものです。

そして、「中に入る」というのはまだまだオンラインでは体験しにくいし、運が良ければ実際に動いてるモノも見れちゃったりと、アメリカの軍事博物館は思った以上に奥が深かった…。


ここからの明日は、まさにアメリカ・ラスベガスでしかできない、ミリタリーな体験型アクティビティ!

「そんなことできるんかいww」となること必至、どうぞお楽しみに!


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