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ふたつの虹🌈

(今回は急いで読んで10分。ゆっくり読んで20分コースです)


ことの始まりは2月4日、大阪・新町にあるHotel It(https://hotelit.jp/)のラウンジだった。

出会ったのはサーファーっぽい柔らかい笑顔のナイスガイ、まーくん。その日が偶然まーくんの誕生日だったこともあって、オメデトー!なんつってたらすぐに仲良くなって、その流れでその夜、神戸のまーくんの自宅で催されるバースデー・パーティに参加する運びとなった。「雑魚寝でよかったら泊まってっていいよ~」な感じで。

大阪から一時間ぐらい車を飛ばして向かった先は、御影(みかげ)。神戸では言わずと知れた超高級住宅街。芦屋よりも本物の金持ちは御影なんて言われるエリア。そこでは町の酒屋も洒落てて名前の読めない1万円以上のシャンパーニュがゴロゴロと。さすが神戸。ちょっと奮発して良さげなのを購入し、まーくん家を探す。ウロウロすること10分。背後を六甲山に抱かれた山から吹き下ろす六甲おろしの丘の中腹に、その家はあった。

本人はHotel Itのミーティングが長引いていて不在だったのだが、まーくんの家の中には勝手知ったるまーくんフレンズがすでに集まって宴を始めていた。「今日、東京からキャンピングカーで旅してる人が家にくるから」と言われ、みんなどんな人が来るのだろうと心配していたようだったが、僕が家の中に入って行くと「あ!知ってる〜!」と第一声。

20年以上ベルリンをベースに活躍してるDJのHITOちゃん、まさかの場所で久しぶりの再会。イビサではリッチー・ホーティンと一緒にDJしてたり、アメリカの人気フェス、コーチェラやバーニングマンでもプレイしている、まさに世界を股にかけて活躍している日本が誇るトップDJのひとり。まーくんとは古い付き合いらしく、今回は偶然日本に帰ってきてるタイミングで、とのことだった。

そしてもうひとりの女史、イタリアのローマでドラ焼きスイーツ(http://www.dorayakidolce.com/)をプロデュースして話題になっているカヨコちゃんも「ン? 前にどっかで会ったよね」なんて話してて一時間ぐらい経ってようやくそれが判明した時には吹き出すように盛り上がった。ああ、あそこか~w なんつって。カヨコちゃんもローマから久しぶりに神戸に帰ってきてるタイミングだったらしく、なんか神戸ってすごいなって思っちゃいました。ふつうにインターナショナルで、そこがこの港町特有のお洒落なムードに繋がってるんだなって思ったら、なんだかもう僕はいま自分が世界のどこにいるのか分からなくなってしまった。さすが神戸。

聞けばまーくんは良家の御子息で、NHKの朝ドラ「べっぴんさん」の主人公はお祖母ちゃんがモデルなんだとか、山崎豊子の「華麗なる一族」のモデルになったのがまーくんの家系だとか、なんかすごい話ばっかり飛び出してくる。思えば僕はまーくんの本名すら知らない。というか、「まーくん」「2月4日生まれ」以外のことをまったく知らなかった。

神戸のホーミーたちとワイワイお酒を飲んでたら、まーくんがようやく帰ってきた。出迎えるみんなも「もう、まーくん遅いわ~、なにやってんの~」な感じでファミリー感満載。長年付き合ってきた地元の仲間たちならではの温かさに迎えられて、まーくん満面の笑みでご帰宅。そこに居られて僕もみんなと同様に温かい気持ちになった。

なんでもまーくんはHotel Itのクリエイティブ・ディレクターをやっているようで、その名前に込めた想いを聞かせてくれた。元々その土地は繊維商社だったから、糸のitだと。糸を紡ぐように人と人とが紡がれて、ここから新たなストーリーが生まれる場所にしたいんだと、そう言ってた。糸とitもそうだけど、まーくんはこういうちょっとした言葉遊びが好きな人で、2月4日は語呂合わせだと2と4で虹だよね? 同じ2月4日が誕生日の友人が徳島にいるから今から電話するね、と。電話が終わるとまーくんは「ホーリーさん、神戸の次は徳島にいこう!」と提案してきた。そこには虹が待っている、と。まーくんの無邪気な笑顔でそう言われるともう悩むことすらできず、わかった、行く。と答えると今度は次の段取りをつけてくれて、明日の夜までに着けば大丈夫だから!とほんわりとした笑顔を浮かべた。

本当は僕は大阪でもっともっと遊ぶつもりだったし、神戸だって1日じゃ全然足りない。その後だって姫路方面に行こうと思ってたのに、まーくんのこの一言で僕は急遽、翌日には5、6時間かけて徳島の南端・宍喰まで出向くことになった。スピードの出ない僕の車で高速に乗るのも気が乗らないし、1日にそんな距離を走ってしまうのも嫌だったが、まーくんのやんわり笑顔で言われると全然拒否なんかできなかった。なんでも宍喰のレキくんが明後日にはオーストラリアに行ってしまうとのことで、急なセッティングとなったようだった。

ガッツリ朝までパーティした翌日、まーくんと一緒に神戸の街を歩いた。行く先々でまーくんが神戸を愛している、その気持ちがいろんな言葉から感じられて、地元愛っていいなと何度も思った。それは祖先への敬意にも似た純粋さで、まっすぐだった。

僕もこの旅の間、自分の祖先を辿ってみたり、自分の育った町、姉貴の家、親父の生まれた町なんかを訪れたりしてBack To The Rootsしてたから、まーくんのストレートな地元愛がより心に響いたのかも知れない。大事なことだよね、自分の祖先や生まれ育った土地をちゃんと愛することって。若い時はそれができなくて地元・豊橋を飛び出して東京、そして世界各国を旅して自分の居場所を探して求めていた。そしてこの歳になってようやく地元愛や両親への感謝が本物になってきたように思う。ずいぶんと時間がかかった。ごめんね、父さん母さん。感謝してます。二人ともこの世に居なくなってしまった今になって初めて素直に言えます。ほんとバカな放蕩息子ですんませんでした。人の優しい街・豊橋で僕を育ててくれて、ありがとう。両親や近所のおじさんやおばさんにもらった優しが今でも僕の肥やしになってます。

こんなふうに殊勝な気持ちになれたのは、きっとまーくんとその会社のネーミングのせい。その名もArigato-Chan。代表取締役まーくん。超越したこのセンス!ヤラれるぜ!

まーくんの事務所が入っている三宮のKiitoは、歴史ある生糸工場の建物が時代を超えてクリエイティヴ・スペースへと変貌を遂げた神戸の創造拠点だ。事務所の大きな窓から見えるのは神戸のランドマーク、ポートタワー。その上のほう、地上80mのところに神戸市内をゆっくりと回って見下ろせる展望フロアがあって、まーくんがそのフロアをお酒のラウンジとしてプロデュースしている(https://www.saketarulounge.com/)。

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このフロアでは六甲の美味しい水で作られる、日本一の酒どころ”灘”の銘品を次々と飲ませてくれる。う〜ん清く美しい、とか、これは澄み切ったキレのある、とかなんとか言いながら神戸の街を見ていると、来たばかりの僕でさえも神戸という街に愛着を感じてくるから不思議なもんだ。隣のまーくんの絶妙な囁き効果もあったのかも知れないが。

上空から見下ろしても神戸港は迫力のある港だ。行き交う大型船に混じって潜水艦まで浮かんでいる。綺麗で面白い街だ。きっとまたすぐに神戸に帰ってこよう。うん、そうしよう!そん時はまた神戸のホーミーたちに連絡して遊んでもらおう。地上80mでそう思い至って、メリケン広場横の駐車場から車を出し、まーくんの指し示す徳島へとキーをイグニッション。


そこにはまーくんと同じく2月4日生まれのサーファー、レキくんが待っている。


着いたのは夜の8時ぐらい。神戸から淡路島を渡って四国の徳島市までは2時間ぐらいなのだが、徳島市を抜けた後が大変だった。延々続く山道と海沿いの道。着いた頃にはヘトヘトになってた。なんせ前日ほぼ寝てない状態で、いや、前々日も大阪で朝まで暴走機関車のように呑んだくれてたからマルッと2日ぐらい寝てない状態で辿り着いた海陽町・宍喰(ししくい)。それまでほぼ暗闇だった視界にいきなり飛び込んできたのは、この町にまったく不似合いなヨーロッパ調の建物、ホテル・リヴィエラ。なんじゃこりゃ!と思ったが、レキくんによればここには温泉もあるし、道の駅にもなってるからトイレもあるし、朝起きたら目の前は海だしってことだったんで、着いてとりあえずドッポーンと温泉に跳び込んだ。

素晴らしかったー!全国各地で温泉に入っている僕ですが、ここはいい!中東っぽいアラビックなデザインにもなにかおもろいものを感じるし、照明もバッチリだし、湯船に浮いてるなにやら丸い物体も愛らしく、めちゃくちゃ気に入った!パーキングにキャンピングカーを停めててもすごく快適で、トイレもきれいだし、もう何日でもいけちゃうぐらい。ここ数日の疲れが全部吹っ飛んでって、癒されて、そのまま気絶するように10時間超えの爆睡モードに突入した。

翌朝、レキくんとは四国最古の禅寺、城満寺(http://jomanji.web.fc2.com/)で待ち合わせた。なにかの入り口のような、ものすごい開けた空間。そこかしこにアートの感覚が融合していて、異様なパワーを感じるお寺だ。出迎えてくれたのは美形の住職、田村航也師。寒い朝だったが、いろいろと世間話をしたり、曹洞宗のことを教えてもらったり、座禅をご指導いただいた。心に残っているのは座禅中は目を開いておくこと。目も耳も鼻も心も自然に開いて、思い浮かんだことを追いかけず、ただ流す。それだけでいいと教わった。今まで何度も座禅をしてきたが航也師の放つ独特のオーラのおかげか、この御堂での座禅は自身の指先まで瑞々しく感じられて格別だった。大阪・神戸での派手な夜遊びが抜けて、まるで生き返ったかのような心持ち。

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そうこうしてる間にレキくんがやって来た。サーファー特有のナイス笑顔、ナイス・ヴァイブス。すぐに打ち解けた。航也さんと奥方と四人でしばらく話した後、僕の車を一旦この城満寺に置いておいて、レキくんの車で24km先の轟の滝へと向かった。2月4日生まれの二人によって導かれるは24km先の虹、、なんてもう僕までまーくん並みに語呂合わせにハマってきちゃって、もう伝染(うつ)るんだよなぁ、このノリ!

運転席と助手席、車中でお互い前を見ながら話をするのは心地いい。これまでのレキくんの話や今の宍喰の話やサーフィンの話。そういえば浜松でこんなサーファーに会ったよ、って言ったらすぐに「達也くんでしょ!」と見破られ、二人で笑った。波乗り仲間たちの繋がりは、ゆるくて強い。みんな繋がってる。神戸のまーくんもレキくんとサーフィンをするために海陽町までやってくる。そういう仲間。

細く険しい山道を走ること30分、ようやく車が停まった場所は、見事なまでに秘境だった。歩を進めると渓流の大きな岩の上に轟神社と書いてある。そしてその奥に目をやってみると、そこにあるのは本殿ではなく、、、

滝!そして虹!もうひとつ上にも虹が!!ダブル・レインボー!!!

光り輝くとても神聖な空間で、滝壺では鵜が一羽、落ちてくる水しぶきと戯れていた。早朝から座禅で精神を研ぎ澄ましていたからか、いま、ここ、僕はものすごいヤバい場所にいるんだと身体中の細胞でビンビンに感じていた。これまでもアフリカのヴィクトリア・フォールスで二重の虹は見たことがあったけど、ここはまったく違う。もっと神の領域だった。この虹はこの日に限ったことではなく、一年中毎朝11寺ぐらいになると二重の虹が出るということだったのだが、まーくんとレキくん。この二人の応援がなかったら絶対に僕はここには辿り着けなかった。ここはまさしく、パラダイスやー!(また言ってる。。)

一緒にいて分かった。レキくんは海陽町の顔役。In Between Bluesというお店も持ってるし、この轟神社の祭りの総代や地元のフェスもやってるし、サーファーやそれ以外の大きなネットワークも持ってる。お年寄りの農業や地元の文化を新解釈し、それを広めようと尽力している。まさにこの次の時代の海陽町を担う若者代表みたいな人だった。

今後、神戸と徳島でなにかイベントやフェスが同時に行われていたら、その裏にはきっとこの2月4日生まれの二人がいるもんだと思って間違いない。地元を愛して、地元の良さを再発見して、この街が好きだとまっすぐ声をあげて若者たちの先頭に立つ。いま地方創生が叫ばれているが、東京から金、人、知恵が入ってるパターンが多すぎる。地方の政治家や役所は東京の権威に憧れ、尻尾を振って地元の金を捻り出す。間違ってる。本当の地方創生は、地元の若い連中が熱い思いで町を誇ること。ただそれだけ。そこを理解し、応援できる体勢を整えた自治体だけが次の時代にも輝くことができる。この二人に出会って、僕はそう確信した。

お洒落でクールな神戸の街で妙な人肌の温もりを感じたら、ラベルの裏を見てみて。きっとArigato-Chanの印が入ってるはず。テレビや雑誌で海陽町が紹介されてたら注意深く見てみて。きっと画面の隅にサーファーっぽいナイス笑顔の人が居るはずだから。


All Right,Man!今日の一曲は地元を愛し、愛された男たちに捧げよう!Mystery JetsでHistory Has Its Eyes On You

<歌詞抜粋>

If the haters kill your vibe
Just smile and blow a kiss

もしヘイターたちがキミのことを悪く言ってたら
いつもの笑顔でキスのひとつでも投げてやればいい

History has its eyes on you
大丈夫、歴史が君を見つめてる

Be who you needed
When you were younger
キミが若かった頃、
キミがお世話になった人のようになればいい

History has its eyes on you
大丈夫、歴史が君を見つめてる




こうして僕の四国がいきなり、ふたりの虹男によってスタートした。あれからもう1ヶ月。今でも僕は四国にいて、

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車には神戸のポートタワーを模ったペットボトルが置かれてる。中の水は、各地の湧水を入れ替えて繰り返し使う。ゴミにせずリサイクルして何度も使えるプラ強度を持ったこの製品の製造元はもちろん、、、Arigato-Chanです!w はい、ありが塔〜!!

読んでくれたみなさんも、ありがとちゃ〜ん❣️



応援を力に変えて良いメッセージを発信することでお返ししたいと思っています。よろしくお願いします!