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週刊審判ダイジェスト 第18号(2024年8月20日)


今週のルール

当該プレイ その1

判定

走者なしから打者が一塁線を転がるボテボテのゴロを打ちました。

球審は守備者ではなかった一塁手が打者走者の走塁行為を妨げたとして走塁妨害(オブストラクション)を宣告し、打者走者に一塁を与えました。

ルールの根拠

オブストラクションが生じたときには、審判員は〝オブストラクション〟を宣告するか、またはそのシグナルをしなければならない。
 (1) 走塁を妨げられた走者に対しプレイが行われている場合、または打者走者が一塁に触れる前にその走塁を妨げられた場合には、ボールデッドとし、塁上の各走者はオブストラクションがなければ達しただろうと審判員が推定する塁まで、アウトのおそれなく進塁することが許される。
 走塁を妨げられた走者は、オブストラクション発生当時すでに占有していた塁よりも少なくとも1個先の進塁が許される。
 走塁を妨げられた走者が進塁を許されたために、塁を明け渡さなければならなくなった前位の走者(走塁を妨げられた走者より)は、アウトにされるおそれなく次塁へ進むことが許される。
(中略)
【原注】 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行なわれている場合には、審判員は〝タイム〟を宣告するときと同じ方法で、両手を頭上にあげてオブストラクションのシグナルをしなければならない。オブストラクションのシグナルが行なわれたときは、ただちにボールデッドとなる。(後略)

公認野球規則 6.01 (h) オブストラクション

一塁手を守備者とはみなさない根拠はこちら。

(10) 走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、あるいは送球を故意に妨げた場合。
 ただし、2人以上の野手が接近して、打球を処理しようとしており、走者がそのうち1人か2人以上の野手に接触したときには、審判員はそれらの野手のうちから、本項の適用を受けるのに最もふさわしい位置にあった野手を1人決定して、その野手に触れた場合に限ってアウトを宣告する。(5.09b3参照)

公認野球規則 6.01(a) 打者または走者の妨害

検証

ではこの判定は正しかったのか。

まずは守備者の特定から。

ボテボテのゴロが一塁線を転がっているのに対し、一塁手と投手の二人が守備行為をしようとしましたが、結果的に打球を処理したのは投手(画像↓)。よって、このケースでは守備者は投手となり、「守備者優先」のルールに則り守られるのはこの投手だけということになります。

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