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LIVE LIFE #002 ジャニーズ問題と開戦前夜の日本メディアの同義性

少しだけメディアに関わる人間として、この件に触れてみる。
私は、メディアに出演していた側の人間でもあり、メディアを演出していた側の人間でもある。

どちらの立場から見ても、この問題は根深い。
今回のジャニーズ事務所の会見について、一般的なビジネスや経済に携わる人には不可解極まりない。

社長なんてお飾りでしかなく、株式も取締役も従来のジャニー家が保持しているので、実態は何も変わらない。(ということを表明した最低の会見だった)

NHK NEWS WEB参照

サントリー取締役社長であり、経済同友会の新浪氏の会見に、私は賛同する。経団連会長の会見は、微妙かな。

様々な見解はあれど、芸能やメディアに関わったことがある人なら、大なり小なり似たようなセクハラやパワハラを経験したことがあるはずだ。(個人的見解です)
そして、何よりメディアと大手事務所の癒着なんて当たり前だし、その中でどう戦うかが勝負師として重要だ。成功するには、才能と運と癒着が必要なのが、メディア業界の必勝ルールだ。

この延長線上の論点については、多くの識者の方々が発信しているので、そちらに譲ります。
納得感があり、深い考察があるのは、下記3名。

柳瀬博一氏 (元日経記者、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)
瀬尾傑氏 (ジャーナリスト、スローニュース代表取締役)
Atsushi Fukuda氏 (ソニー・デジタルエンタテインメント創業者、株式会社スピーディ 代表取締役社長)


私が危惧するのは、メディアの力学だ。
現在の日本メディアは、開戦前夜のメディアと同じ力学が働いている。
つまり、危機的な状況だ。

戦前は、逓信省つまり国とメディアが手を組んでいた。
今は、大手広告代理店や大手芸能事務所とメディアが手を組んでいる。

毎日新聞 太平洋戦争開戦(1941年12月8日)当日の記事

「主」が違うだけで、構造は酷似している。
戦争礼賛したメディアは、自己反省し、ガバナンス強化をしたのではなかったのか?

戦争が起こった際、
クーデターが起こった際、
独裁政権が発足する際、
軍隊とメディアを支配下に置くことが常套手段だ。
武器とペンを同時に手に入れないとクーデターも独裁も成功しない。

現在の日本メディアは、大手広告代理店や大手芸能事務所に支配されてないか?(他にも財務省とか!)
戦後70年以上も経過し、また戦前と同じ構造になっている。
日本メディアは成熟していない。

あまちゃんで一世風靡した能年玲奈さんは、本名である能年玲奈の名前を使用できずに、今はのんとして活動している。彼女は類稀なる才能と精神の持ち主だったので、今も活躍できている。
しかし、多くの弱者や一般人は、そうはいかない。
日本メディアは、能年玲奈さんの事件を黙殺し、疑義も発信しない。

週刊女性PRIME 記事

何人ものジャーナリストや言論人が、真っ当な意見をテレビで発言し、メディアから干されるのも、ジャニーズ問題と同じ構造だろう。
みんな知っているけど、慣習であり、暗黙の了解であり、業界のルールである。
あの会社、あの業界、あのことに、触れてはいけない。
テレビやラジオに出演するとは、そういうことなのだ。

先日モンゴルに行った際、ウクライナのゼレンスキー氏に対する評判が悪かった。ロシアのプーチン氏への批判は少ない印象だ。つまり国も違い、力学も変われば、善悪も世論も変わる。
それくらいメディアは、重要な役割を担っている。
メディアは、世論をいくらでも操作することが可能だ。

私は、若い頃にテレビ出演したり、自身のラジオ番組のパーソナリティも経験し、メディアの影響力を少しだが知っている。
テレビやラジオ出演の際には、放送コードがあり、よく注意され、編集でカットされることも多かった。
この放送コードは、適宜更新される。
放送コードより、現在のメディアの暗黙ルールを更新するべきだ。

更に、失われた30年の一要因に、私はメディアが加担していると確信している。
日々、安くて大盛りな料理が紹介され、値上げをネガティブに報道し、くだらない不倫報道に時間を割き、日本礼賛を報道する。

安くて大盛り料理の裏には、安く買い叩かれた農家や畜産・漁業者、深夜にトラックを走らせる運転手、商品を箱詰めする主婦のパート、店舗で働く給仕のアルバイト、そしてそこで働くパパとママの子供達。なぜ、安くて大盛りの料理が素晴らしいのか、私には理解できない。

ジャニーズ事務所は、圧倒的な権力を振りかざし、性的虐待を繰り返していた。その裏には、多くの被害者となった若者、夢を追いかけた若者、有名になる為に耐えた若者、メディアから抹殺された人、見て見ぬふりをしてきたメディア、ジャニーズ批判をした人を排除したメディアがいる。

内向きな組織は、必ず腐敗し、崩壊する。
日本のメディアは、着実に崩壊しかけている。

現在、世界中で戦争の足音が聞こえ始めている中、日本のメディアが開戦前夜と同じ力学で存在していることに、違和感と最大限の危惧を表明する。


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