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学びにおける中級者の罠から抜け出す

どんな分野においても、スタート地点は初心者から始まり、初級者、中級者、上級者とステップアップしていくのが世界の理。それぞれのステップに様々な定義はあれど、ここでは初級者を「教えてもらいながら1つの解法で問題解決ができる段階」、中級者を「学んだ1つの解法で自分の力で問題解決ができる段階」、上級者を「複数の解法からベストなものを選択して問題解決ができる段階」としよう。

この定義の時、初心者から中級者にたどり着くのはそこまで難しくない。アプリケーションの開発で例えれば、アーキテクチャが決められていてそれに沿って作れば良い。一度作ればある程度その周辺知識が身につくし、同じアーキテクチャで再度アプリケーション作る際は1回目に比べてつまづくことも少ないはず。

ただ、罠はこの次のステップを目指すところにある。中級者が上級者になるにはこの罠を飛び越える必要がある。どんな罠か。罠は2つある。

コンフォートゾーンの罠

コンフォートゾーン、ラーニングゾーン、パニックゾーンと呼ばれる学習モデルの考え方がある。コンフォートゾーンとは既知の領域で、自分が学習・経験したことのあるエリアを指し、名前の通り居心地が良い。ラーニングゾーンはそのコンフォートゾーンの少し外側、自分が名前は知ってるけど中身はよく知らないような既知と未知の間の領域。そして、パニックゾーンはその更に外側に位置する、完全に未知の領域で足を踏み入れても何もわからずパニックになってしまう。

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名前の通り、人はコンフォートゾーンが最も居心地よく、ついつい居着いてしまう。だがそれは自分が知っている物事の範疇だからであり、当然新たな学びがあるわけではない。学びは自分が知っていることの延長線上の未知にあり、この未知に触れられるゾーンこそがラーニングゾーンと呼ばれる。未知なものには当然不安がつきまとう。やったことがないので正解が解らないからだ。でも踏み出さないと成長ができないのはジレンマであり、罠なのだ。

ラーニングカーブの罠

もう1つの罠は、ラーニングカーブ(学習曲線)の罠だ。学ぶ内容によって多少の違いはあっても、そのカーブの曲がり具合は基本的に以下のように辿る。

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何も解らない地点から準備期を経て、基礎を理解してからは発展期で成長を遂げ、やがて高原期と呼ばれる成長の鈍化を迎える。この高原期を迎えると、発展期にあるような「やればやるだけ成長するフェーズ」から「やっても成長が感じにくいフェーズ」に移ってしまう。この高原期がどんな学びごとにも存在することを知らないと、上達しない状況に嫌気が生まれ、努力が減り、余計に上達しないという悪循環に陥りやすい。これがラーニングカーブの罠だ。

2つの罠から抜け出すために

まずはコンフォートゾーンの罠とラーニングカーブの罠が存在することを認識しよう。そういった状況に陥ったとしても、それは人間としてあたり前のことなので恥じることも悩みすぎる必要もない。次に大切なのは罠から抜け出すために取らなければいけない行動を取れること。

コンフォートゾーンとラーニングカーブの図は組み合わせると次のような図になる。

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図にある様に、高原期は発展期を経て自分のコンフォートゾーンが広がったタイミングだ。だからその位置に留まることは楽だが、学習効率は悪くなる。もう答えは明確だろうが、自分が高原期にいることを感じたら、ラーニングゾーンに身を置くこと、つまり新たな分野に飛び込むことこそが次のラーニングカーブへ向かうための唯一のアクションだと思う。

私もプログラミングで最初にしっくりと理解できたのがJavaScriptで、次いでそのフレームワークのVueを気に入り、そこでしばらく足踏みしていた。当然JavaScriptやVueだけでも学ぶことはたくさんある。だけど、その外を知らずに1年くらい過ごした時に自分に停滞を感じていた。そんな時にReactに触れたり、Pythonに触れたりして、目の前が開けていく感覚があった。今思えばあれがラーニングゾーンであり、次のラーニングカーブに入ったタイミングだったんだろうなと思う。

アジャイルにおいてもスクラムだけでは見えていなかった世界がSAFeを知って見えるようになった。例えば経営者が気にすべきビジネスのアジリティなんて観点はスクラムをやっているだけでは中々たどり着けないが、SAFeでは投資のリーンポートフォリオマネジメントなんかも教えてくれる。

この記事が誰かにとって次は何を学ぼうかな、というフロー状態に入るきっかけになったら嬉しい。

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