プロダクトマネジメントを読んで 第Ⅲ部 戦略
3回目になりました、「Melissa Perri氏著・吉羽 龍太郎氏訳の「プロダクトマネジメント - ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」を読んでの感想戦です。第Ⅲ部は「戦略」です。今回もエッセンスだけピックアップして自分の考え方と照らし合わせるので、具体的な例や説明は是非書籍をお読みください。
戦略とは
まず戦略という言葉がどういう意味か調べてみましょう。Googleで検索するとOxford Languagesの定義として以下が表示されます。
戦争・闘争のはかりごと。戦争の総合的な準備・計画・運用の方策。
(https://www.google.com/search?q=戦略)
以上のように元々軍事用語から来ています。上記にあるように「計画」という言葉が含まれていることから「戦略=計画」であることを誤解している人が多いと本書では指摘しています。次にWikipediaでどう定義されているか見てみましょう。
戦略(せんりゃく、英: strategy)は、一般的には特定の目的を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・応用科学である。 (https://ja.wikipedia.org/wiki/戦略 )
Wikipediaの定義で重要なのは「特定の目的を達成するため」という一文です。私も繰り返し「目的論」の重要性を述べていますが、戦略も目的を達成するためにどう行動していくかという指針のようなものであることが見て取れます。本書において戦略は「意思決定のフレームワーク」と呼んでいます。企業活動を進めていく中で下す数多の意思決定の裏付けに戦略が存在するというわけです。
戦略の前にビジョンがあるか
戦略が「意思決定のフレームワーク」であるとするなら、何における意思決定なのかという前提が必要になります。その大前提となるのがビジョンです。ビジョンとは、未来像であり理想像なので、企業であればこういう企業になりたいという思いが込められたビジョンである必要があります。
ビジョンは具体的であれば具体的であるほど、戦略に紐付けやすくなります。というのは、ビジョンがアウトカムに直結すればそのアウトカムを達成するためにどういった段階の設計を行えば良いのかと考えやすくなります。それをプロダクトレベルで行うのがプロダクトビジョンです。
戦略が計画だと何が問題になるのか
戦略が計画になってしまうことの最大の問題は、みんなが計画を達成することばかりに集中してしまうことです。これはまさしくアウトプット重視のビルドトラップに陥っている状態です。計画の達成がどれだけアウトカムにつながるかも大切ですが、計画途中により良い方向に進む方法が分かっても、計画達成がすべての企業ではその方向に舵を倒すのにたくさんのプロセスを経る必要があります。
これがもし「戦略=意思決定のフレームワーク」と皆が認識しているのであれば、最大限のアウトカムを出すためという理由ですんなりと計画変更を行うことができるでしょう。これもアジャイルな考え方と共通していますね。
この記事のヘッダー画像であるチェスで例えるなら、計画に従うことばかり重視している状態は最初に決めた戦術でずっと攻め続けるようなものです。大切なのは、盤上の状況を見ながら柔軟に戦術を変えることです。チェスなら相手に勝つというシンプルなビジョンを実現するために、どう戦っていくか意思決定を繰り返していくことが戦略です。
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