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#396 青春のスピードは時速40キロ

夕方までは部屋にいたような気がするのだけど、娘の気配が消えた。妻に聞くと、「逃亡」という答えが返ってきた。

"7時くらいに戻る"
"いいとこ、見つけた"
"やっぱり9時くらいかも"

ラインで逐一報告&連絡をしてくる健全な逃亡。生真面目な娘なので、法定速度をぴったり守りながら疾走しているのだと思う。

高校3年生。18歳。受験真っただ中。寒空の日曜日。薄明の町。夜の国道。かじかむ指。バイク。独り。ただ走るだけ。

きっと、幾つになっても思い出せる、なんでもない日。

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