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#392 なにで撮るか、じゃないです。なにを撮りたりか、どう撮るか、です。

雑誌編集者としてヨチヨチ歩き始めた頃、一番お世話になったカメラマンが、よくそう言っていた。そのひとは「レンズが何mmかなんてどうでもいいんです。相手が遠ければ自分が近づけばいいんです」とも言い、被写体にどんどん迫っていった挙句、自分が道路にはみ出していることに気づかず、車にはねられたりもした。今となっては笑い話である。

なにで撮るか。つまり道具で写真の良し悪しが決まるのなら、カメラマンの仕事なんてとっくに無くなっている。その進化によって、プロとアマチュアの差が急激に縮まったとはいえ、その隔たりが失われることは絶対にない。なにをどう撮るか。それを最後に決定づけるのは、個人のセンスだ。

なんだけど。先日、ツイッターに流れていた写真を見て、ちょっとびっくりした。NIKKORのレンズ・Z 600mm f/4 TC VR Sで撮ったのがそれ ↓

なんというか、「永遠」がそこに封じ込められている感じ。レンズの本体価格は、243万2100円。仕事柄、決して道具では埋まらない、プロカメラマンならではのセンスをいつも目の当たりにしている。そんな環境に居てなお、「もしかしてこれなら」とうっかり思ったし、「このクオリティがもれなく手に入るなら高くない」とさらにうっかり思った。欲しいと。あっぶね。

ニコンのHPで見られる撮影サンプルには、それほど感銘を受けなかったので(妙にバイク推しなんだけど、撮ったのが知り合いだったらどうしよ)、やっぱり個人のセンスと腕と嗅覚と経験値と編集と、それらにまつわるノウハウや掛けた時間なんだな、と再確認。やっぱり、カメラマンはすげぇんだって。



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