見出し画像

省察的対話は伝播する ~実習生の指導~

教職大学院で私が担当していた学卒院生が、公立学校の教師になってすでにそこそこの年数が経って、もう実習生を受け入れ指導する立場になっている。
院にいた頃は私がその学生の日誌にコメントを書き込んでおり、修了後、その学生が教職大学院での学びについて某所でしゃべる機会があったときには、大学教員のコメントによっていかに省察が促されたか、そうやって獲得した「省察の習慣化」がいかに今の自分につながっているかを語ってくれていた。
そんな彼女が、今では、実習生の日誌にコメントを書き入れる側だ。

彼女が日誌に書いたコメントを見て(実習生指導の様子をとある場で書いてくれていたので)、あぁこんなふうに順繰りに引き継がれていくのって有難いことだなあと、しみじみ思う。
なお、(大学側の教員と実習校側の教員という違いはあれど)彼女のほうが私よりよほど丁寧にコメントを書いている。それでも、生徒の実態をよく見つめることを促すコメントとか、彼女の院での経験がどこかで作用しているのかなあとも思う。

さらに凄さと面白さを感じたのは、実習生指導において、彼女は実習生から「今日の授業で先生は○○されていたのですが、どうしてそうしているんですか?」みたいな質問を多数受けているそうなのだが、それに関して、

常に、こうやって「どうして?」って問いかけてくれる人が側にいてくれたらなー、と思うくらい

と述べていることだ。
自分でも無意識的にやっていることに関して「どうして?」と尋ねられる場合もあり、それによって自分が思っていたことが言語化されていくのがとても面白いのだそう。
この感覚は、私もよく分かる。教職大学院でティーム・ティーチングで授業を担当してくるなかで、たびたび味わってきた。

省察的対話(by ドナルド・ショーン)は伝播する
その広がりをいかに生み出せるかが、教師教育の要だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?