キュウリ果実発育の生理、生態(温度、光、水)

キュウリ生理・生態に関して日々勉強。
野菜園芸大百科 1 キュウリ | 農山漁村文化協会 |本 | 通販 | Amazon
今回はこの本から、キュウリ果実発育の生理、生態について、温度、光、水の条件ついてを以下にまとめる。


キュウリは一般的に果実の長さ約20cm、重さ約100gくらいを目標に収穫される。発育の良い場合は開花から5~6日後、ふつうの状態でも10~12日後で収穫される。

キュウリの果実は、主に夕方から夜間にかけて発育し、午後5時~6時の夕方に生長速度が最大となる。
開花時に子房部の大きいものは、開花後伸長、肥大も早く、短期間で収穫されることとなる。

〇果実の発育と温度
・光合成が盛んな(約70%は午前中に行われる)午前中は光合成を増大を促進させるため、25~28度に保ち、午後は呼吸による消耗を抑えるため、20度~25度に保ち、夕方以降4時間は転流を促進させるため、15度~16度に保ち、その後、呼吸による消耗を抑えるため12~13度に保つ。
・30度を超えると、徒長的な生育をして葉の老化が早まり、果梗(へた)が伸び、果形が短くなり、尻すぼみになる。また、果色があせ、肩焼けを生じ、品質が悪くなる。40度では光合成が極端に低下し、収量が激減する。
・夜間の温度が高いと肥大は促進されるが、根に送られる量が少なくなり、養分不足の状態になり、茎葉の生育が貧弱に、側枝の発生、伸長が悪く、着果しにくくなる。日射量が少ない時期に夜温を高くすると呼吸にる消耗ばかりになり、生育が悪くなる。日照に合わせた温度管理が必要となる。
・転流を完了させるまでには、20度で約2時間、16度で約4時間、13度で約6時間要する。
・呼吸による消費は10度と比較し、13度で5倍、16度で8倍、20度で11倍になる。
・地温は最低でも15度以上が必要で、13度以下では生育不良となる。午前中の光合成が盛んな時に早朝から地温を適温(22度~23度)に保つことが望ましい。

〇果実の発育と光
・キュウリの光飽和点は5.5万キロルクスで、露地栽培以外ではどこかの生育期間で日照不足となり得る。冬春は晴れている日でも3~4万キロルクスで、施設内に到達する光は6~7割で光不足の条件で栽培されている。
・光不足となると葉色が薄く、葉肉薄く、茎は細くなる。また、雌花発生率に違いは無いが、側枝発生や開花、肥大に至る雌花が減少し、果実の肥大が遅くなり、減収する。(曲がり果などの奇形果も増加する)
・光合成が盛んな午前中の早いうちからカーテンを開けて、十分な光を与える必要がある。

〇果実の発育と水の条件
・キュウリ果実中には90%以上も水分が含まれ、水分が不足すると肥大が悪くなり、さらに曲がり果、尻細り果などの奇形果の発生要因となり、茎葉の成長が衰え、分化、発育中の花芽の発育不良となる。
・生育初期は1日に株あたり40ml程度が吸収され、収穫が始まるころになると1日に株あたり1.5~2L程度の水が吸収されるようになる。収穫最盛期になるとさらに増加し、1日に株あたり4L以上となる。(天候不良の場合は少ない)
・2日間で同量潅水する場合は、隔日潅水よりも毎日潅水することにより、生育、収量ともに増加する。(土壌の乾湿差により晴天日中に萎凋するためとみられる)
・半促成栽培では潅水するほど地温を低下させ、生育の主茎の伸長、茎葉重など生育量が多くなるが、抑制栽培では、地温の低下が生育低下を招く。
・ハウス内では水のやりすぎにより、葉が必要以上に大きくなり、病害にかかりやすくなったり、収穫管理作業に不便をきたしたりすることもある。
・がいしていえば、定植後からはじめのころまでは潅水をやや少なく、pF2.2~2.3くらいを潅水点とすることが必要以上に茎葉を繁茂させないことから好ましい。収穫が始まってからは、pF2.0くらいを潅水の目標にすることがよいようである。


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