革命的飲酒主義宣言

 坪内祐三・福田和也著「革命的飲酒主義宣言 ノンストップ時評50選!」を読みました。著者お二人による対談の6冊中の4冊目、私は順番がバラバラで読んでしまったので6冊目、とうとうコンプリートしてしまいました。残念ながら私にとって最後となる本書はタイトルから秀逸です。「飲酒主義」なんて言葉、私が思いつきたかった、、、。

 福田氏が坪内氏に「権力欲ある?」と問われて「めんどくさいからなあ。(中略)権力を握るって『身を正す』ってことだから。それだったら酒飲んでた方がいいもんなあ。」との答えに、「タイトル通り!」と笑ってしまいましたが、「権力を握るって『身を正す』ってことだから。」というコメントは流石です。この辺りを理解せずに権力を持ってしまっている方、結構いらっしゃるように思います。

 坪内氏が相撲好きで相撲の話は度々登場しますが、今回はタニマチについて話してくれました。大阪市内に「谷町筋」という通りがあり、そこに相撲の支援者が多かったことが現在の「タニマチ」の由来だということでした。そこから「あの辺って、山口組系の事務所があるでしょ。」「相撲は興行だからね。どうしようもないよ。」なんて話しておりましたが、お二人とも飲酒主義状態ですから、どこまで本当なのやら、でもそんな放談が面白いわけです。

 先日読んだ「旧皇族の宗家・伏見宮家に生まれて」の中で、学習院大学について「宮内庁管轄で『皇室を扶翼すべき家族の子孫の教育を目的とする』」と書かれていたのが印象的でしたが、福田氏によればそうした学校になったのは1877年からで、しかも初期のころは、皇族はほとんど通っておらず、明治天皇は1868年に即位されており、大正天皇は中等科1年の時に発達の遅れから途中退学、昭和天皇は初等科だけで、学習院大学を出ているのは上皇陛下と天皇陛下、秋篠宮様と愛子様くらいのようです。だからどうこういうわけではありませんが、「学習院=皇族が通う学校」という印象がさらに薄くなりました。

 JALの破綻や民主党についても言及しており、その対談が2009年末くらいのものでした。ですので、もしかしたら稲盛塾長についての話が出るかもしれないと、ワクワクしていましたが、残念ながら登場しませんでした。

 ほかにも、昨今話題の辺野古移設や、「『アルプスの少女ハイジ』はドイツ統一のためのプロパガンダなんです。」とか本当に多岐にわたる対談で、その中に様々な本が紹介され、さらに本書のみですが、今まで対談の会場となったお店まで掲載されていました。読みたい本と行きたいお店がますます増えた1冊でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?