トランスジェンダーになりたい少女たち

 アビゲイル・シュライアー著、岩波昭監訳、村山美雪・高橋知子・寺尾まち子共訳「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」を読みました。著者はアメリカのジャーナリストで、本書は各新聞社から「今年最高の1冊」と評され、世界9ヶ国で翻訳されています。しかし日本では、KADOKAWAから出版予定だったものが、抗議活動によって出版停止となり、産経新聞出版が出版に踏み切った曰く付きの本です。著者が実際にたくさんのトランスジェンダー当事者らに綿密な取材をして本書が完成されました。

 著者がトランスジェンダーの取材に至ったのは「言論の自由」を守りたいという強い思いにかられたからだそうです。カリフォルニア州では患者が申請した人称代名詞の使用を拒んだ医療従事者に懲役を科す法律が制定され、ニューヨーク州でも、雇用主、家主、事業主を対象とする同様の法案が可決されおり、著者曰くそのどちらも違憲。いや、私もアメリカ憲法をよく知っているはずはありませんが、これは違憲のように思えます。いや、違憲うんぬん以上におかしな話だと思います。そうした状況に危機感を感じた著者が書いた記事に、トランスジェンダー当事者の母親である弁護士から反響があったことから、著者の取材活動が始まりました。

 細かい数字は省きますが、ここ10~15年で十代の女性の不安症やうつ病の患者数が記録的に増加しているとありました。著者が取材した有名なMCジョー・ローガンはその原因を「SNSだ」と断じているとありました。MCがそう言っていると言っても、若干説得力に欠ける気がしますが、自分がSNSを始めたのは25歳くらいで、適度に使わせて頂いているつもりですが、自分が十代の頃にこうしたものがあったとしたら、、、うーん、ちょっといろいろ気にし過ぎておかしくなってしまうような気がしないでもありません。いや、良い年齢になってもSNSの使い方については考えさせられますから、十代だったら尚更でしょう。

 そうした多感な年代の多くがSNSでつながり、不安な気持ちを「性別違和」だとして煽るインフルエンサーがいるのだそうです。SNSのコミュニティ内ではそうしたことが伝播しやすくなっており、トランスジェンダーを自認しようとする少女が増加しているということでした。

 長くなりましたので、明日に続きます。

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