熱くなれ



 稲盛ライブラリー+講談社「稲盛和夫プロジェクト」共同チーム編著「熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間」を読みました。稲盛ライブラリーは、京セラ本社ビルの隣にある稲盛和夫氏の資料館、その職員の皆様と講談社のプロジェクトチームが、稲盛氏の講話と、稲盛氏の薫陶を受けた方々のインタビューをまとめてくれたのが本書です。しかし、こんなプロジェクトチームがあるなら入れて頂きたかった。


 まさしく「熱くなれ」のタイトル通りの内容でした。「事業というのは、ヒト、モノ、カネとありますが、実はモノ、カネは本当はあまり必要ではなく、問題はヒトだけだと思います。」とありました。こういってしまえるところが本当にすごいです。事業がうまくいかないことに対して、環境が悪い、アレがない、コレがないなどと言っていないで、まずは自分を磨いて仕事に取り組まなければいけないということでしょう。また、一緒に取り組んでくれる社員次第で会社も立派になっていくということでしょう。そもそも、京セラ創業時、創業メンバーは日雇いをしてお金を稼いででも稲盛氏に研究をしてもらおうと集まったと言いますから、まさしくヒトだけです。


 「ヒトというとすぐに才能と思われるのですが、才能ではなくて、その人が持っている情熱だけです。その情熱が凝結したものが業績であり、会社なのです。」ともありました。才能の無い自分には助けられる言葉である一方、情熱が足りないと叱咤される厳しい言葉でもあります。


 稲盛氏の薫陶を受けた13人の方のインタビューは貴重でした。稲盛氏は謙虚さのあまり、ご本人の話だけ聞いていると、自分でもできそうと思ってしまう(そうした狙いもあるのかもしれませんが)こともありますが、13人の方々のインタビューを読ませて頂くと、稲盛氏のすごさが伝わってきます。JALの会長に就任されたころは、盛和塾で怒っている姿なの御ることはできなくなっていましたが、JALの会議では「出ていけ」と怒鳴られた人は数知れずとありました。盛和塾では「かつては塾長に怒られた」なんて言う話を聞いておりましたが、私が入ったときには70台中盤ですから、落ち着いた好々爺になられたと思っておりましたが、JALの会長に就任されたのが私が入れて頂いた二年後です。「おしぼりを投げつけた」なんて言うお話くらいは聴いておりましたが、そんなに厳しく指導されていたとは思いもしませんでした。そして、そうした激務の中でも、盛和塾の例会にはしっかりと出席してくれたのですから、改めて感謝するばかりです。


 ちょっと、長くなりましたが、他のエピソードも続けて紹介したいと思います。

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