悲願へ 25

 続きです。

 著者のお話しから江戸時代が良い時代だったので、そこに戻っていく方がよいのかという質問が出ました。これに対して著者は、「時間を戻すことは出来ない。戻そうとすると間違う。江戸時代の根源的に良かったものは何かということを捉えて、未来に向かうべき。江戸時代の一番良かったことは人間に弁えがあり、家族主義、循環思想があり、その結果として真の平和があること。」と言っていました。一方で、江戸時代は不自由で差別なども存在しましたが、それが平和の代償として必要なことだとありました。この辺りは物議を醸しそうな言い回しですし、私自身ももっと勉強しなければ理解しきれないところでしょう。盲従的に「江戸時代が良かった」なんて言わないように気をつけなければいけません。

 「自由とは抑圧された中から生まれた創意工夫だ」という著者自身の言葉を質問者が紹介していました。この言葉は深いですね。著者はピアニストのグレン・グルードを例に挙げています。彼は鍵盤が八十八鍵に制約されている中に無限の宇宙があり、その宇宙の面白さに挑戦したのが自分の人生だったと話しているのだそうです。ギターにしても、楽器にしてもそれぞれ制約がありますが、それがあってこその無限であり、自由ということでしょう。と、いいながら、理解できているわけではありません。

 そこから日露戦争以降の日本を痛烈に批判しています。第一次世界大戦ではヨーロッパが塗炭の苦しみを味わっている中で、その弱みに付け込んで儲け主義に走ったとありました。また、そうした状況だから第二次世界大戦で負けてよかったと質問者が問うと、「英米に負けたのではなく神罰だ」と答えています。国の魅力で軍隊を動かしたのは日露戦争までで、それ以降は暴力で締め付けたともあり、大東亜共栄圏についても「全部が嘘だった」といっています。かなり残念な話で、同意できないところですが、「嘘だった」とされる根拠をどこかでお聞かせ頂ける機会があると良いなと思います。

 最後に「人間はすべて自分の人生を貫き通さなければなりません。(中略)皆、宇宙の生成発展のエネルギーが凝縮して生まれて来たんだからね。これは全員だ。私はその力を死ぬまでずっと出し続けようと思って生きているんですよ。それをいつでも「体当たり」と言っている。(中略)「体当たり」をし続けることが出来れば私の人生は成功だし、出来なくなったら自分が人生に負けたんだと思う。」とありました。私自身が体当たりで貫いているのかどうか、、、情けない限りですが、少しでもこの言葉に近づけるように精進したいと思います。

 何とか第一部が終わりました。第二部に続きます。

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