キーエンス解剖


 西岡杏著「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」を読みました。著者は日経ビジネスの記者です。キーエンス、あまりよく存じ上げておりませんでしたが、弊社の客先にキーエンスのロゴが入った箱がいくつも置いてあり、電子部品関連の会社なのかなと思っておりました。それくらいのことしか知らなかった会社の社員の平均年収が二千万超と聞いて驚いていたところに、本書の存在を知って手に取りました。

 年収二千万円超に驚いていましたが、本書を読んでみると営業利益55%、粗利8割と信じられないような数字が並んでいました。しかし、そんな数字も「とにかくめちゃめちゃ働く」といわれる社員がいるからこそだそうです。「30代で家が建ち、40代で墓が建つ」とまで言われたこともあるそうですから、想像を絶する働きぶりなのでしょう。

 営業の体制が凄まじく、また営業同士の情報共有もしっかりしています。営業のノウハウとか、客先のキーパーソンとの関係なんて言うのは、例えばスーパースターの営業マンがいたとすれば、他の営業マンに共有するなんて言うことは稀でしょう。しかし、キーエンスでは営業情報がしっかり共有され、客先担当者の移動情報まで把握し、移動先の担当営業所が売り込みに行くとありました。しかし、そんな営業体制ですが、実績の歩合ではなくKPIをこなした量が評価に反映されるとのことでした。

 物流に関することも書かれており、「即納」にこだわっているということでした。しっかりと在庫を持っており、基本は翌日納品、時には10万円のコストをかけても1万円の商品の即納を守るとありました。ちょっと主旨とはずれますが、物流にコストをかけてくれるところに好感を持ってしまいました。

 また、OBのお話で「キーエンスという会社は嘘をついた人が得をすることをものすごく嫌う」とありました。逆に言えば正直にやっている人を正しく評価するということで、例えば激務で「体力的につらくて仮眠をとる場合などは、をれをしっかりと記録すれば問題なかった」そうです。この辺りも大変共感できました。

 色々と印象に残るところはありましたが、一番は「仕組みによって属人生を無くそうとし続けてきたキーエンス。」というところです。徹底した情報共有も、そもそもが属人生を無くそうというのが発端だし、社長自身も「創業当時から自分がいなくても会社が回るように、ずっと考えてきました。」と話しています。

 共感するとこが沢山あったわけですが、私に足りないのは「徹底する」というところだと思いました。もっと頑張らなければと奮い立たせて頂きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?