【本音レビュー】1年半使ってわかった、FUJIFILM X-H2のメリット・デメリット
今回は、約1年半使い続けている富士フイルムのミラーレスカメラ「X-H2」について、レビューしてみようかなと思います。
当方、風景・旅行の写真をメインに撮影してる身ですが、そんな自分視点でのガッツリ機材レビューになります。
今回、機材レビューを行う当方のバックボーン情報は以下です。
富士フイルムのカメラに興味がある方、X-H2とX-T5のどちらを選ぶべきかで迷っている方に向けて、リアルなレビューをお届けできればと思います。
風景やスナップ、ポートレートを撮影している方や、是非みなさんの最適なカメラ選びの参考になれれば幸いです。
今回のレビューの流れですが、
「X-H2の得意なところ」
「X-H2の苦手なところ」
「まとめ
と言った流れになります。
特に苦手なところもガッツリレビューしてますので、購入検討してる方に参考なれば幸いです。
では機材レビューへ続きます。
機材レビュー(X-H2の得意なところ)
1. 機材が非常にコンパクトなところ
APS-Cセンサーのカメラなので、現在主流であるフルサイズセンサーのカメラに比べて、全体的に小さく、持ち運びやすいです。
特に超望遠レンズ(100-400mm)が顕著で、フルサイズ換算で150-600mmとなり、通常だったらこのクラスの機材は、カメラバッグに収まりません。
なので、カメラバッグ選びで悩まされるのが超望遠レンズと行ったところです。
他メーカーの70-200mm(もしくは100-400mm)と同じくらいの収まりで運用できるのが、このカメラのマウントかなと思ってます。SONYで言うならばSEL100400GMと同じ位の大きさがXF100-400mm(150-600mm)です。
2. 画素数の優位性
X-H2は4000万画素あり、しかもセンサーサイズはAPS-Cセンサーという富士フイルムだけの特別な規格です。
他メーカーだと2000万画素クラスが限界だった気がします。
自分は4000万画素のサイズで現像作業からプリントまで一環してずっと続けているので、そこを維持できつつ、サイズダウンができたのはホント理想でした。
以前、使っていたSONY α7R3から乗り換えて2年近く経ちますが、今もなお使い続けてる次第です。
3. 連続撮影枚数がそこそこ優れている
一般的にはカメラの「撮影バッファー」と呼ばれるものが存在しており、要はどれだけ連続で撮影出来る枚数があるかと言った話です。
具体的には以下のような仕組みで、撮影バッファー枚数が決まります。
フラグシップ機材のカメラなんかは、カメラの性能で頑張るケースが多いのですが、この富士フイルムのX-H2は性能の良い記憶媒体を用いて、連続撮影枚数を稼いでるパターンです。
具体的に、X-H2ではCF Express Bと呼ばれるタイプの記憶媒体を利用できるため、カード側の処理が非常に優れています。つまりボディで足りてない性能の部分を、優秀な記憶媒体の力を借りて、対応できるようになるわけです。
これは非常に合理的で、素晴らしい物だなと改めて納得できました。
肝心の連射枚数は、
これだけ連射撮影できれば十分対応できるので、ほんとにオススメです。
ちなみに同条件でX-T5の場合は15枚くらいまでしか撮れません\(^o^)/オワタ
連射をしたい方はX-H2を選びましょう。
4. バリアングルモニター採用で動画撮影もGood
X-H2ではバリアングルモニターを採用しております。
特に動画撮影で使うジンバルとの相性が抜群で、撮影の幅が一気に広がります。
バリアングルモニターだとジンバルとの干渉がないので、非常にスムーズ。
今のカメラの大多数がバリアングルを採用してるのも、納得いく理由です。
5. 画質のバランスが程よい
X-H2は「APS-C」と呼ばれるセンサーサイズを採用しております。
このセンサー毎の大きさは6~7種類位存在するのですが、大きいセンサーほど、光を取り入れる面積が多いです。
光を如何に綺麗に取りれられるかが、画質を考える部分で重要な点なんですが、センサーサイズが大きいほど、手軽さは失います。なのでここはバランスが重要かなと思ってます。
肝心の画質ですが、フルサイズセンサーのカメラを使っていた身としては、ガチの夜景撮影でなければ十分な画質です。
特にカメラ内の画像処理である、「フイルムシミュレーション」の性能が非常に高く、撮って出しで完結できる場面もちらほら。
また長秒露光もバルブなしで、最長15分まで可能です。
カメラによっては30秒までとか縛りがあるので、ここの発想はGood。
あとカメラ液晶の調整もカメラでできるので、PCモニターとある程度揃えることができるのはいいですね。
6. 仕事撮影(人物メイン)でも場面次第では優位性アリ
たまにカメラマン業務を受ける時があるのですが、多いのはイベント撮影。
イベント撮影ではクォリティよりも、納品のスピード感と提出枚数を求められます。
そのため、一定のクォリティを維持しつつ、如何にクライアントが喜ぶ写真をどれだけ提供できるかが鍵です。
つまりは、あまり大きく伸ばさない前提で、イメージ通りの絵が出てくるかどうかが重要なのです。
富士フイルムは特にそこら辺をクリアしてきてくれます。
肌や色味の表現は非常に優秀で、自分レベルの感覚で言ったら肌の調子は非常にいいです。
以前利用していたカメラである、「α7R3」や「α9」ではひと手間かかっていた部分だったので、「X-H2」には非常に助けられてます。
そしてこの感覚で納品しても反応は良かったりするので、改めて良い印象です。
7. プリントでのサイズ選択肢も悪くない
X-H2は画素数で言うと、4000万画素を採用しております。
過去使い続けていた「SONY α7R3」も4200万画素あったのですが、それと同等レベルの4000万画素。
大きな紙への印刷にも十分適応できて、かつトリミングも可能です。そのため印刷前提の作品撮りを行っている自分の用途にはバランスが良いです。
去年SONYギャラリー銀座での展示作品も何点か富士フイルムのカメラで撮ったケースがありました。
B1サイズの展示だったため、画素数を増やす作業もトライしてますが、元データが良くないといい結果には繋がりません。また当時展示をご覧になった、お客様からも非常に反応良かったです。
自分の普段の作品撮りにも十分活躍してくれるのが、富士フイルム X-H2のカメラかなと。
色々と語りましたが、まぁまぁ良いところ多かった。文字にするとめちゃ多い 笑
ここからは、X-H2の苦手なところを具体的にレビューしていきます。
機材レビュー(X-H2の苦手なところ)
1. 暗所撮影でのノイズ耐性がダメな場面もある
フルサイズセンサーに比べるとノイズ耐性が劣ります。特にガチの暗所撮影では、ノイズが画像データ内に目立ち、頼りない部分があります。
なので、そこを補うべく、光量を稼ぐという観点で動く必要があります。
具体的には、
など、フルサイズのカメラに比べて、一手間を加える必要があります。
ちなみに上記のツールが使えないとなると、そこそこストレスです。
特に、夜景のタイムラプス撮影では、シャッタースピードも大事な要素になるため、「センサーサイズが小さいのに、ISOを上げて大量に撮影する」という場面が多かったストレスを感じました。
センサーサイズの優位性について、いっときSNSで議論が起きてましたが、結論言うと、「暗闇で動くものを撮るかどうか」次第です。
この部分が自分の撮影シーンにどれだけ多いかで、センサーサイズへの評価変わるかなぁと。
2. 暗所でのオートフォーカスに迷いがある
暗所でのオートフォーカスでは迷う場面が多く、AF-Cでの撮影は少し頼りない場面がありました。
こういうときはシングルオートフォーカスか、マニュアルフォーカスで撮影してます。
なので、ピント合わせに関しては、ガッツリX-H2に頼るという撮り方はできないかなぁという印象です。
日中のスナップやポートレートでは、特に問題ないと思います。
SONY機とオートフォーカスの性能を比較するならば、
といった感じ。
3. バリアングルモニターと静止画の相性
購入前に、「バリアングルモニターのがチルト式よりオススメです」と店員さんに言われて気になりながら購入した当時。
あれから約2年近く使い続けましたが、結論言うと
と言った感じです。Lプレートをカメラに装着すると、確実にバリアングルモニターが干渉するのと、可動域が大幅に狭くなります。一番厳しかったのは、三脚で縦構図をしようとしたときですね。
実質、真横にカメラ傾けるスタイルになるので、三脚は不安定になりやすいというね。
静止画(特に三脚利用前提の撮影)だけで言うならば、3軸チルトが至高だと思っていて、そこを踏襲しているX-T5の方が三脚運用前提の撮影において、圧倒的に使いやすいです。
なので、X-H2とX-T5で悩んでる人が、風景メインの方だったら、間違いなく自分はX-T5を進めます。
4. フイルムシミュレーションが足枷になる場面もある
富士フイルムが売りにしているピクチャーエフェクトである「フイルムシミュレーション」
これは、本格的な画像処理になると、足枷となることがあります。
具体的に説明すると、フイルムシミュレーションを維持しながらRaw現像を行うとなると、AdobeLightroomでの自由度がかなり減ることになります。
富士フイルムが売りにしているフイルムシミュレーションはあくまでカメラ本体と連携しているFUJIFILM X RAW Studioを使うしか再現性はありません。
色味の再現だけなら、富士フイルムのRawデータ限定にはなりますが、Adobeのプロファイルでフイルムシミュレーションが選択できます。
そして富士フイルムのカメラの本当の醍醐味は、色味だけではなく、フイルムの再現性です。そこを理解して購入するのが理想です。
ここで言うフイルムシミュレーション再現性というのは、「色味」だけでなく、「粒子再現」「ノイズ処理」「シャープネス」なども指します。
またTIFFファイル前提でデータを受け渡しながらの現像作業になったりと、非常にワークフロー的に手間がかかります。
あと決定的な理由としては、富士フイルムのフイルムシミュレーションはあくまでメーカーが理想とする絵作りなので、写真家としてどこまで乗っかれるかという話です。
自分の場合は、フイルムシミュレーションの活用としては、
といったところです。
特に後者のジャンルは色かぶりの好みが分かれるジャンルになるので、原則、色被りがあるフイルムシミュレーションは扱いにくいのが正直なところ。
自分の絵作りのイメージが出来上がってれば、出来上がってるほど、フイルムシミュレーションは足枷になるでしょう。
5. メインで使いたいレンズが全体的に微妙な設計
これはもうカタログデータ追いかければわかりますが、とにかく主軸のレンズの設計が古い。
風景勢が使うのはズームレンズが多いと思いますが、広角から標準域のズームレンズは物足りないです。
大三元レンズと呼ばれるレンズ郡は特に顕著で、XF16-55mm F2.8なんかは2015年2月発売のレンズなので、もう8年前のレンズになります。
それが標準ズームレンズのハイパフォーマンスのレンズとして、出張っているので、恐ろしいです。
乗り換え前に続けてきたSONYのGMレンズと比べると、明るさボケが劣ると感じます。
APS-Cセンサーサイズの影響かもしれませんが、GMレンズの優れた性能が際立っています。
まぁ価格の違いや大きさの違いも顕著にあるので、冷静に考えたらGMレンズのがいいよねっていう結論に至るのは自然かもしれません。
なので、両手離しでべた褒めしている富士フイルムユーザーのレビューは、あくまで信者の意見なんだろうなぁ程度に捉えるのがいいかもしれません。
撮る写真のジャンル次第では、「富士フイルムだと厳しいぞ」ってのが自分の意見です。
過去使っていたフルサイズセンサーのカメラと、X-T5と比較しながら、得意な点、苦手な点を書いてみました。
とはいえね、X-H2は良いカメラであるのは事実です。
自分はフジ信者でもなんでもないので、富士フイルムへのこだわりは特に無いですが、そんな自分が今も使い続けてるのは、このプロダクトの良さが少なくともあるからだと思ってます。
そしてX-H2とX-T5の2種類の同スペックのカメラを同時期に出したのも、各機種ある程度Target層を絞ってるのも、このX-H2の特徴なのかなと思ってます。
非常に、いいブランディングだと思います。
ではまとめへ続きます。
まとめ
まとめると以下3つに落ち着きました。
改めて、X-H2は、動画と静止画の両方をバランス良く撮影したい人にはオススメです。
どちらも一定のレベルの画質で撮影できます。ただし、プロレベルのクオリティ(これでお金を生みたいレベル)を求めるなら、より上位の機材を検討すべきだと思います。
また、軽量化を重視する人向けのカメラなので、画質を最優先する方にはおすすめできません。
画質を重視するなら、X-H2より優れたカメラは他にもあるからです。
結局のところ、何を撮りたいか、どのように表現したいかによって、その時々でベストな機材は変わります。
そこの部分も踏まえたうえで、この記事を通じて、X-H2の魅力が届けば幸いです。
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