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出産後に起こる腰痛について

(1) 前提条件として

産前、産後の腰痛で悩む一つとしてお腹の赤ちゃんがいることによって前側に重りを担いで過ごしているようなものなのです。
その状態で腰痛にならないと言えるでしょうか?
脊柱起立筋が緊張して腰痛になっているからほぐして改善されるかというとそんなに単純な事ではないのです。
その場では改善されるかと思いますが、また赤ちゃんを抱っこしたりしたら元に戻りますので効果が少ないと思います。

今回は重りを担いでいるから腰痛になるというのを除いてその他の原因を解説していきます。

(2) 産後3大トラブル【痛みについて】

1位 膝痛
2位 腰痛
3位 痔

今回は腰痛に焦点を合わせて解説していきます。

1. 腰痛諸疾患の関連性
・妊娠中に腰痛のあった37%は産後も腰痛を感じる
・妊娠中に腰痛を訴える方は妊娠前から腰痛を訴えることが多い

2. 産後に腰痛や骨盤帯痛を有している方
・産後鬱のリスクが3倍に増える
痛みによるストレスや慢性炎症による不快感などが原因ではないかといわれている。
痛みというのは、骨折や急性痛、擦り傷など以外の慢性痛に関しては自分の感情や時間帯、体温などでも痛みの有無や上限に大きく影響しているというデータがあります。     

・妊娠中に分泌するリラキシンというホルモンが影響が影響している
リラキシンが活発に分泌するのが妊娠3か月~7か月の間です。
このリラキシンホルモンは恥骨結合や仙腸関節等の靭帯を緩める作用があり、仙骨や腸骨をつないでいる靭帯が緩んでしまうことで不安定性が生じてその代償で周囲の筋肉が緊張して炎症を起こしていることも考えられます。

3. 産後女性の仙腸関節痛は76%の方が訴えるというデータが存在する
・仙腸関節痛を訴える方の中の57%の人が恥骨結合部分に痛みを訴えるというケースがあります。
痛みがある方でご自身で的確に仙腸関節が痛いと指摘できるならやはりリラキシンによる靭帯の緩みがあった可能性が高いです。


(3) 仙腸関節とは?

NOTE 産後腰痛 仙腸関節

仙骨と腸骨の間にあるので仙腸関節といいます。
仙腸関節は2~3°程可動性があり歩行時には20~30mm程動くと言われています。
この周囲には靭帯がたくさんあり、後仙腸靭帯、前仙腸靭帯、仙結節靭帯、仙棘靭帯などがありますので通常は仙腸関節が大きく動くという事はないですが、リラキシンのホルモンの関係で靭帯が緩んで大きく可動してしまう可能性はあります。
仙結節靭帯や仙棘靭帯は仙骨の後傾を促してしまい、逆に前傾方向に作用する靭帯は後仙腸靭帯しかないので靭帯の数をみても仙骨は後傾方向になりやすいです。

仙骨の動きで前側に傾くことを前傾=ニューテーションといいます。この状態では仙骨が前傾しながら腸骨が閉じながら動作していきます。締まりの姿位とも言い安定性が高い状態です。
仙骨後傾=カウンターニューテーションといいます。この状態では仙骨が後傾しながら腸骨が開いていきます。緩みの姿位とも言います。
仙骨後傾の状態はあまり望ましくない状態です。

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