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信仰の父も完璧ではない

創世記12:11-20

エジプトに入ろうとしたとき、妻サライに言った。 「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。 エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。 どうか、わたしの妹だ、と言ってください。そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」

創世記 12:11‭-‬13 新共同訳

アブラム(※1)たちが神様から示された「カナンの地」へ向かっているときのことです。滞在していた地が大飢饉に襲われたため、エジプトに下り滞在することを決めます。そして、エジプトに入ろうとした時に妻であるサライ(※1)に言ったことです。

当時は妻は夫の所有物だったために、夫であるアブラムを殺し妻サライを奪う。そんなことがあり得る時代でした。

アブラムはサライが自分の妻だとわかると、美しい妻サライを奪うために自分の命を奪うものが現れる。そんな恐怖にアブラムは負けてしまいます。

神様を信じ父の家も生まれ故郷も離れたアブラムでしたが、主を信じきれていませんでした。

アブラムがエジプトに入ると、エジプト人はサライを見て、大変美しいと思った。 ファラオの家臣たちも彼女を見て、ファラオに彼女のことを褒めたので、サライはファラオの宮廷に召し入れられた。 アブラムも彼女のゆえに幸いを受け、羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどを与えられた。

創世記 12:14‭-‬16 新共同訳

15節に「サライはファラオの宮廷に召し入れられた。」とあります。サライがどのような形で召し入れられたかは19節に「わたしの妻として召し入れたのだ。」とあります。

サライはエジプトの王の妻(※2)として召し上げられました。

お伽話や作り話ならここで「めでたし、めでたし。」となりますが、聖書は契約について書かれた書物であり歴史書です。

妻サライは言うまでもなくアブラムの妻です。つまり妻サライは嘘と姦淫(※3)の罪を負うことになります。

神様がそのようなことを放置するはずがありません。

ところが主は、アブラムの妻サライのことで、ファラオと宮廷の人々を恐ろしい病気にかからせた。

創世記 12:17 新共同訳

神様は、エジプトに厄災を起こしファラオにサライがアブラムの妻であることを伝えます。それによりサライもアブラムも罪を重ねずにすみました。

そうしてファラオはアブラムと妻サライに国外への退去を言い渡しています。新共同訳ではお願いのようになっていますが、他の翻訳では命令のように書かれています。

ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。 「あなたはわたしに何ということをしたのか。なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。 なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。」
ファラオは家来たちに命じて、アブラムを、その妻とすべての持ち物と共に送り出させた。

創世記 12:18‭-‬20 新共同訳

王はアブラムを呼び出し、激しく非難しました。「いったい、なんということをしてくれたのだ。サライがおまえの妻だということを、どうして隠していたのか。 妹だなどとうそをついて、彼女が私のものになるのを平気で見ていたとは。さあ、あの女を連れて、この国から出て行ってくれ。」 王は兵士にアブラムと妻をその縁者や財産とともに護送させ、エジプトから追放しました。

創世記 12:18-20 JCB

一部の資料では古代のエジプトで「浮気をしたものは耳や鼻を削ぎ落とされる」と言ったものがあります。

この時代のも同じかはわかりませんが、アブラム、サライにとって寛大な処置です。

こうして事無きを得て再びネゲブ地方に上っていきます。

実はアブラムはもう一度同じような過ちを犯します。

アブラハムは、そこからネゲブ地方へ移り、カデシュとシュルの間に住んだ。 ゲラルに滞在していたとき、 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは使いをやってサラを召し入れた。

創世記 20:1‭-‬2 新共同訳

このときも神様によって救われています。
信仰の父アブラハムでも弱いところがあり、完璧ではありません。しかし、神様は何度も何度も過ちを犯す私達を際限なく赦してくださいます。

そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」 イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。

マタイによる福音書 18:21‭-‬22 新共同訳

そして、他人を赦すことを決してやめてはいけないことを教えてくださっています。

※1 今日の箇所では名前を改める前なので、聖書に従いアブラハムをアブラム、サラをサライとして書いております。
※2 サライの罪で考えた時、ファラオに妻がいたかは考えずに除外しました。
※3 この時代は出エジプト記の前ですので、十戒がない時代です。その当たりになると私にはユダヤ教から引っ張るしかないのですがタルムードにはノアの7つの戒め(ノアの法)があります。その中に性的不品行の禁止があります。

※私が主日礼拝や聖書勉強会で学び、メモをとり、ノートにまとめた内容を清書しています。そのため間違っていることもあるかと存じますのでご了承ください。またタルムードやユダヤ教、古代エジプト等に関しては書籍などからの学びとなり、礼拝や勉強会で学んだものではありません。



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