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日本共産党への電話質問時の応答(書き起こし・前半)

今回の件について結論と皆さんにお伝えしたい事についての記事ができました。

どうぞご覧ください。※追記 2021/10/30 15:56



はじめに

今回の件で皆さんが確認したい事は多々あるはずだ。
誰があの政策項目をどのように作ったのか、党員個々と党の方針のすれ違いの状況、結局何を求めているかなど。
それらを開陳されていたなら誰も何も困ることは無かっただろう。
それらが明らかな政党の方がよほど市民と近いと私は思う。


あの音声を聞いた多くの人は「応答が成立してない」という結論で終わってはいないはずだ。憶測を根拠とした「排除すべき表現」の提唱とみて、そこから「排除の対象が何に及ぶかわからない」という警戒心を抱いたというのが自然なまとめ方と言えるだろう。

予告していたにも関わらず大変遅くなってしまい心からお詫び申し上げたい。
以下、応答をまとめつつ書いていきたい。

・高橋: 担当: で記述する。音声ママの部分は「」でくくる。
・録音記録のタイムスタンプも併記する
なお録音記録開始は応答の始まりの数分後からとなった。

応答開始

22日15時頃、党本部に電話し受付の方からある部署へと取り次がれる。
担当者に「政策集7の表現規制に関する部分について」伝え応答開始。

質問・政策の引用元と「法規制か否か」

高橋:政策集7の「児童ポルノ」の部分に2019年発行の議定書に対するガイドラインとの酷似がある。引用や言い回しを変えた部分が見受けられるがその事を把握しているか。また作成者を教えていただきたい。

担当:2016年のものではないか? また、作成は別の部局。担当者は答えかねる。

(音声記録開始。ボイスメモが起動せず、録画に切り替える)

0:00
高橋:ガイドラインに法的拘束力が無い国連と政府間で確認済みのため、"立法趣旨"として提示された事に危惧がある。法規制が前提になっているが作成した部局はその辺りを把握しているか。

担当:児童ポルノと非実在児童ポルノは別の話。そして立法趣旨は児童ポルノの定義の問題である。

4;20
少し噛み合わず、文面の範囲や意味のつながりと段落の確認の話に。

それぞれまとめると
高橋の質問の主旨:立法府の選挙→立法趣旨→「対象ではないが〜適切に規制を」の文章などから、文脈が「法改正を軸にした規制を取り巻くもの」になっていると指摘。

担当の回答の主旨:「児童ポルノの定義変更の立法趣旨」と「非実在児童ポルノに対する社会的合意を高めていく」はあくまで別。

高橋は「担当部署の見解の確認が必要のようだ」と受け取る。

質問・社会的合意とは何か

6:00
高橋:その「社会的合意」は現段階で法規制の対象ではなく、実在人物に加害行為を行ってもない表現者、つまり罪なき人が「社会的合意」の中で少数派に追いやられる話なのでは。

担当:少数か多数かは書いていない。"子供を性的に虐待し搾取するということについては許さない" という社会的な合意ということである。

高橋:それは当然の話では。現在の法律でも許されていない。
担当:今はそうなってない。法律的にではなく社会的な合意という意味で。
高橋:個々の意思がある以上「全体がこう」と断言できるものではない。
担当:法規制とは別に、野放しにするのはよろしくない。

 全体に向けて「法規制されてないのを野放しにしない」としている事から高橋は「法規制を求める?」と尋ねるが「今はそう言ってない」と担当。

8:00
担当者の名前を尋ねるも名乗らないようにしているとの事。質問を取り次ぎ担当部局より電話で返答するという担当からの提案に、高橋が「他に質問は3つ」と伝えると、メールで送るようにという指示に。

電話質問が終わる雰囲気になり、最後に一つだけ質問したいと高橋が切り出す。

ジェンダー理論と共産主義理論の話


高橋:ジェンダー思想や理論と共産思想との理論の異なる部分について、党内で精査は行われてきたのか。

10:00
担当:具体的にどういう質問か把握しきれないが、「行政の男女の平等」の言い方が80年代以降ジェンダーに切り替わった。男女の平等をジェンダー平等というようになったので、私達の考え方からすれば当然引き継いでいくものと考えている。

高橋:社会学の中でマルクス主義フェミニズムやラディカル・フェミニズムなど、その背景に唯物史観がある事はご存知かと思うが、

担当:はい。

高橋:その理論の展開の中で、人権に対し性別性を前提に持ち込むような過程があった事はご存知か。

担当:詳しくは知らない。以前からある男女平等は「人として」という考え方であるため、それは最初から考え方としてあるものと思う。

人権観についての話になる。
担当はジェンダー理論的な人権観を詳しく知らないとの事だが、基本的な人権観は高橋も同意するものであった。

高橋「これまで人が資本主義や自由主義など選択していく中で差別性が生まれる。そこに『人として平等であるべき』という人権の基本的な部分を、共産党は守ってこられたという認識でいる」
担当「はい」
高橋「その上で表現規制に対しても『権力が人権である表現の自由などを規制しない』『権力的な規制には反対する』という事で、石原都政の非実在人物の表現規制に共産党は反対しておられたと私は存じている」
担当「仰る通りです」

13:00
高橋:先程の "全体がどう思っているか" と仰った部分に関連するが、社会学から発信された理論や論法では、反対する人を「女性の加害を容認する人」という断定がよく行われている。
実際に人に加害行為を働いていない人も性別を根拠として断定されたり、女性の表現者であっても「男性目線を肯定している」といった、男女二元的な判断が行われたりしている。

担当:そういった男女二元論は克服すべき課題になっている。
高橋:(???)……そうなんですけれども。「女性を描いたもの」という前提で、社会学の方も共産党の方からの指摘がよく行われている。

担当:ここの部分は「児童ポルノ」なので女性に限らない。
高橋:それは仰る通り(※注「児童ポルノ」と明言しているので)
担当:幼児、子供の話である。それとは別にというか、同一線上にはなるが……
高橋:ええ。

児童ポルノと非実在児童ポルノ間の揺れ


14:43
担当:女性に対する性加害や性虐待、ドメスティック・バイオレンスなど厳然とした被害が存在する。
高橋:男女問わずだが被害の存在は承知している。
担当:女性の方が圧倒的被害がある。
高橋:「女性」に関していえば性被害が多いかもしれないが、児童については性別問わず虐待が存在する。
担当:男児も性的被害はあるが圧倒的に女性が多い。

 担当の「児童ポルノ」の話が、「女性カテゴライズ」と「児童カテゴライズ」を行き来し始め、その主語の揺れに高橋は困惑する。
 多い少ないについて具体的な資料を元にしているのか、あるとすれば何を元にしているのかと高橋は尋ねるが、担当からは「今手元にはないが元にしている」「無数にある」という返答が繰り返される。

担当:警察白書や痴漢件数などに出ている。
高橋:「児童ポルノ」の話だったのでは?。
担当:「子供の性被害とは延長線上だけれども、女性の性被害とはちょっと違う話ですよね?」

一旦高橋は論点整理を試みる。

16:40
高橋:表現物に対し社会的合意を作って「許さないようにしていく」と話だったのでは?
担当:この話は「子供を性的な対象としたり子供を性虐待の対象としたりすることは基本的には許されない」ということである。
高橋:非実在児童ポルノの項目についての話のはずが、今「子供に性加害しないことに反対なのか」と、論法的に置き換えられている。
担当:それは男女問題の話をしたからそういう話をしたのだ。
高橋:「この項目の話です」
(非実在児童ポルノの項目と言った直後もあり、モニターを指差しながら「この」と言ってしまった)
担当:児童ポルノの話か?

 話の整理を目的とした質問をする高橋
高橋「実際の児童の被害の中で、女の子が多いとする資料はあるのか」
担当:児童ポルノの話か。
高橋:子供の被害についての言及が先程あったが、その女の子の被害については具体的な資料が参考にされたのか。
担当:資料は今手元にないが、流通しているものでは女の子、女性が多い。
高橋:資料を元にしているのかを尋ねている。
担当:今手元にはない。
高橋:今そこにではなく、具体的な資料を元にしているのかと尋ねている。
担当:あなたが男女どうこうの話をしたから女性の被害が多いと言った。
高橋:話が逸れてしまう

非実在児童ポルノは表現物

18:56
高橋:非実在児童ポルノを作るのは男女問わないものであり、それは表現物である。
担当:そうだ。
高橋:この文章(政策集7の質問部分)はその表現に批判的になっている。

「私達は批判的ですよ」
「基本的には社会的に公然と流通することは許されない事だと思っています」と担当。

高橋:非実在児童ポルノとして共産党が定義するものも、公然として流通を許さないとするものか。
担当:法規制には反対。さっきも言ったように法的に規制するのは間違っていると思う。
高橋:共産党としては非実在児童ポルノとして定義するものがあるのか、定義していないと書けない文章(政策)になっているが。
担当:暴力的な子どもポルノを描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等(政策集中の文章を読み上げる)
高橋:共産党の中で、その項目に対し具体的な範囲は定めていないのか。
担当:これ以上の定義があるかという事か。
高橋:そう。
担当:私の知る限りでは存在しない。
高橋:例えば子供達が異世界に行ってしまい沢山殺されたり女の子が狙われたりする話など、そのような表現物さえも次々に範囲の中に含まれてしまう話ではないのか。
担当:個別具体的な問題では検討が必要になる。

21:00
高橋:個別具体性に対して判断する主体、判断する存在とは一体何か。
担当:それは議論していかなければならない。

 そこで担当は例として70年代の作品『風と木の詩』を挙げ、「性的な描写があったが、だからといって一律に極端に暴力的なポルノかなど言い切れないものだ」という。

「性的かどうか」は主観的な判断

高橋:言い切る言い切らないを判断するものは…
担当:主観的な判断になる。
高橋:そう。性的かどうかは主観的なものになる。
担当:「だから法的規制はまずいんですよ」
お互い盛り上がる

22:25
担当:ただ、少なくとも子供を性的に搾取する目的とした漫画が現に存在する。
高橋:現実を描写したものでさえそうなる。
担当:現実の被害者の場合は、児童ポルノなので法で対応可能である。
高橋:戦争などの実際にあった被害を漫画として描いた場合などは。
担当:この電話でこれがいい悪いを決めることはできない。
高橋:決める事を目的に聞いているのではなく、誰が決めるのかなどこの文章からは…
担当:だから社会的合意が必要だと書かれている。単純にこの問題を線引するのは不可能だ。
高橋:それを許す許さないは…

社会的合意の具体例の話


担当:では具体的に言うなら、この前コンビニからポルノ雑誌が一掃された。ああいったものを指す。
高橋:……排除?

担当:最終的にはコンビニ営業者の自立的な判断として置かなくなった。その前提は社会的な意見が大きいものだった。
別の週刊誌等で女性の裸などが売り物にされているものはあり、コンビニに置かれている。これが良くてこれが悪いというのは決めきれないが、これが社会的な合意である。
女性の性を売り物にするということを、あくまでも前提条件として出しているかという違いが出てくると思われるが、「この雑誌を置くのか置かないのか」というところはそこで決まっている。
このように社会的な議論と合意の上で作られてきた。

高橋:社会的な議論や合意に基づいて人は意志的な判断するわけではないのでは。(注. 世間体ばっかで人は判断するものではないでしょという意味)

女性性と排除される「性的」の範囲の話

担当:現にポルノ雑誌についてはそうなった。
高橋:合意ができたからというが、表現者や女性が自身の身体的な女性性を用いて経済活動を行う場であっても、奪うのは "合意であるから" OKというということか。
担当:今女性の話をしているわけではない。
高橋:コンビニから排除されたことについての話だ。
担当:ポルノ雑誌についての話だ。

高橋:ポルノ雑誌、成人向けといわれ排除されるものの中には、女性が奴隷的にではなく、女性の個人の意思に基づいて女性性の表現を行っている人の、経済活動の場となっていたものもあるはずだ。
担当:あるだろう。ただそれは議論の外にこの問題では置かれている。社会的に…
高橋:議論はそっちこっちと左右しているが、社会的な合意で排除されたからOKということをご担当者様は仰っている。その中で排除された中にはそういった女性もいる。……私は今そう話を整理する。

担当;それはこういうこと。売春は認められてない。売春をしないと生活できない女性を排除するのかと言えば排除する。
高橋:ん?
担当;なぜなら、そういう世界であってはならないから。あなたの議論で言えば、春をせず生活できない人がいるから売春認めろというのと同じことだ。

高橋:そうではない。レースクイーンなど、海外では水着を含め女性的な身体性などを用いて表現する人が排除される動きがある。
担当;ある。
高橋:今回雑誌が一掃されたということについてであれば、完全に(担当が今話したような)性的な仕事だけが排除されたのではない。雑誌のグラビアに出る人も性的な行為を売り物にしている人もいれば水着専門のモデルなど、グラデーションのように幅がある。
担当:(排除される性的なものとは)それは社会的、政治的、時代的背景によって変わってくる。

高橋:売春というが、性ということだけで括れば、売春から自分の身体を写真に撮って売るというところや、自分の個性を出さずに商品のモデルとして自分の身体性を使う人もいる。

担当:それは日本では否定されてない。少なくとも、具体的に言えばコンビニの雑誌コーナーで売られてないかと言われれば売られている。

排除されている・排除されてない

高橋:排除されたものもあったり、売られているものもあると。
担当;所謂成人誌、ポルノ雑誌のようなものは排除されている。水着写真については一般の書店でもコンビニでも売られている。

高橋:水着だけではない。売春を含めての女性性に関するもので言うなら幅広いものがある。排除された雑誌に関わる女性は非常に多い。
売春している人が雑誌に出ているとは限らない。グラビアアイドルや身体のみのモデルなど幅広い人が雑誌に仕事を受けたりしていた。それらが一斉に排除されたことになるでしょう。

担当:「今の日本では排除されてないですよね」
高橋:一部だけを挙げて、排除された経済活動はなかったとするのは、実際に生活している私たちにとっては、権力側の勝手な言い分……
担当:そういうならば、あなたは排除されていることを証明しなければならない。

30:00
高橋:「もちろんしますよ」
担当:ええ。
高橋:(??)
担当:そのことを抜きに電話で議論しても仕方がない。こう写真を使ってる、こういう事で家族や友人を含めて生計を成り立たせている等を証明できないならそれは別の議論になるだろう。

高橋:法規制はそれを根拠として排除されるのだから、関連する人たちは影響を受ける…

担当:法規制は私たちは反対している。法で規制すべきではない。

高橋:社会的合意があるからと排除された人たちは明らかに……。
お話しできる方と思うから言うが、明らかに被害者ではない人の表現も排除され経済的な損害を受けた。それについては…

担当:被害者ではないとはどういう事か、写真を撮ったからということか。

合意による被害者

高橋:写真を撮られたとしても、例えば水着だとか奴隷的な労働をしていない人。自分の意志できちんとした契約をし尊厳を損なうことなく仕事をしていた人も、社会的な合意によって排除された場合は、その合意による被害者ではないか。

担当:それは勿論そうだ。
先程も挙げたが国や時代や社会によって状況は変わる。別の例で恐縮だが例えばたばこは非常に沢山あった。しかし今たばこは法的には規制されていない。20歳以下は別だが、社会的には吸っちゃいけないのがルールになっている。
高橋:そこには具体的な身体への影響の科学的な根拠がある。
担当;被写体も含めて性を売り物にする。健全な社会ではあってはならないという一定の合意がある。

高橋:ちょっと不思議なのだが……性に関する規定とは、アプリオリに、根源的に良くないものであるということは言えないものだろう。今までの話の中でも。

担当:勿論。そうだが、例えば女性の裸を売り物にするという問題はジェンダー平等の視点からあってはならない。そういう合意が社会的にはできつつある。

共産主義と、排除すべき"性的"を定める「ジェンダー」

高橋:共産党……共産主義的な議論と性を前提にした議論は……
担当:「共産主義とは関係ないですね」
高橋:「ですよね。関係ないですよね」

高橋:では社会的合意に党として賛同したということか。
担当:質問の趣旨が分からないが。
高橋:共産党とは違う思想に対して、共産党として賛同している状況ということか。
担当:いや、性を売り物にするということについて私たちは非常に批判的。あってはならないことだと思っている。

高橋:今の質問は、性別の表現に対していけないというそれはいわば保守性ではないか。
担当:そうは思わない。
高橋:虐待などに限定したならまた話が違う所へ行くが、非実在児童ポルノは表現ということで「性的であるか」は個々人の判断で異なると先程確認できたと思う。
担当:ええ。
高橋:"性的であることがよくない" とは、ジェンダーの風潮だから今社会的合意ができつつあると仰った。
担当:ええ。
高橋:「それは共産党の共産主義的な理念とは別と仰いましたよね」
担当:共産主義かどうかとは別に人間としてあってはならないものだ。ジェンダー平等の観点から考えてもそういう事は許されない。
子供を性的に虐待、性的に搾取する。この問題だと言っている。

言及

高橋:それは絵を描いてる人であろうと基本的な市民は誰しも(※虐待や搾取を問題とするのは)そうだ。根本的には。
しかし、そうではないという断言も無理な話。市民色々な人がいて……

担当:だからッ、だから一律に規制しないで社会的な合意を、どこが悪いかってことを大いに議論しようという風に言っている。
高橋:「"批判的に" 合意をしていくんですねこれは」
担当:「共産党は批判的です。あなたみたいに表現の自由だという人もいますよ」
高橋:「断定できない、これは懐疑の態度、懐疑論の態度だ」

※ここから音声公開部分

担当:「それでも結構ですが。普通と言っては語弊がありますけどもね、要するに5歳10歳と見えるような子供を漫画として扱って、それをその性的に虐待する、性的に搾取する漫画やアニメあるわけですよね現に」
高橋:「その、個別具体的なもの、話ではなかったのかなと思うのですが」
担当:「個別具体的な話です。それはね」
高橋:「それは具体的な対象があると。規制を求めるべき対象があると」
担当:「ええ」
高橋:「それは…」
担当:「コミケにいっぱい売られたりしてますよね?」
高橋:「え、どこにですか?」
担当:「コミックマーケットです」
高橋:「コミックマーケットですか?」
担当:「ええ」


※後半へ続く

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