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マンションは何が問題なのか?

マンションはのメリットの多い住まいですが、
デメリットに関してはあまり意識されていない方が多いようです。

鍵一つで管理できる、
外部に接する面積が少ないため断熱性能が良い、
庭の手入れが不要、
利便性のわりに戸建てより割安、
共用部の修繕は自分で管理しなくてよい、などなど。

音の問題などはありますが、居住性としては申し分ないですね。

しかし購入するとなれば、デメリットについてもきちんと知っておかなければ、「こんなはずではなかった!」と後悔することになるかもしれません…

世の中にあふれる無料の情報というのは、
その多くが(いや、ほとんどが)、利害関係によって流されています。
不動産情報は、物件が売れることで何らかの利益がある人たちが流しています。だから、購買意欲を削ぐような内容は、基本的にあまりありません。

不動産情報を見ていると、「マンションて永遠に住めるのかな?」と本気で勘違いしそうなほど、建物の寿命についての深い記述はないですね。
あるとしても、「鉄筋コンクリートの寿命は100年以上ともいわれている」とか、やっぱり本気で勘違いする情報ばかりです。

今、ピッカピカにリフォームされたリノベーション済み中古マンションは売れ行きも好調ですが、これは、
「新築みたいに美しいマンションが、こんなに安く買えるなんて!」
一瞬で欲しくなってもらうための仕掛け、とも言えます。

でも、室内が新品で長く住めそうだと思っても、建物の寿命が先に尽きてしまえば、当然ですが住めなくなります

実は、考えれば考えるほど、現実を直視するほど、マンションというのはなかなか購入を決断できなくなってしまうのです。

というのも、建物(共用部)は全住民の共有財産のため、もし建物が問題を抱えていても、自分の意思だけではどうすることもできないからです。
問題があった場合、それはいつか必ず表面に現れます。
その時に、資産価値が大きく下がるかもしれません。

そんな物件を、最後まで持っていた人の負け、という意味で「ババ抜き」と揶揄されたりしますが、できればババはつかみたくないですよね…

という訳で、本日はマンションが抱える問題について、購入する時に気を付けるべき点や、所有者として解決していく方法について、考えていきましょう。

マンションの資産価値を維持するためには


まず、マンションの資産価値を維持する、つまり建物を長持ちさせる方法は、きちんとメンテナンスし続けるしかありません。

そのために、マンションでは長期修繕計画というものが存在します。
全住民から修繕積立金を強制徴収し、淡々と計画的に修繕を行っていくというシステムです。

ところがこの長期修繕計画が正常に機能していないマンションが、
意外にも多く存在するのです。

そこで、まず第一に調べることは、
長期修繕計画が正常に機能しているかどうかです。

具体的には、
・長期修繕計画があり、計画通りに修繕が実施されていること
・滞納者や修繕費の不足がなく、銀行からの借り入れもないこと

などが調べやすいところです。

滞納金や不足によって銀行から借り入れをすることが恒常的になっているのは、正常な運用とは言えません。積立金の不足は、全住民の負債です。マンションの所有者になるということは、その負債も背負うことになるのです。

これらは購入する仲介業者さんに依頼すれば、売主側で調べてくれることが多いです。事前に必ず押さえておきたいポイントです。

解体して更地にするのにいくらかかるのか?


それからもう一つ考えておきたいのが、終末問題です。
修繕計画通りにしっかりとメンテナンスされていれば、マンションの寿命は70年とも100年とも言われています。

解体なんてまだまだ先の話でしょ?

なんてのんびり構えていては、老後になってから「解体費用なんて払えない!」と慌てることになるかもしれません。

もしメンテナンスが適切になされなければ、40年でも外壁や天井などからコンクリートが崩落し始めることがあります。

馬堀海岸の国有マンション外壁築40年程度 (2)

上の写真はメンテナンスが適切に行われていない例ですが、築40年程度の外壁で、内部の鉄筋が錆びて膨張し、その外側のコンクリートを崩落させてしまっています。
これを放置すればさらに崩落は進み、建物の強度はどんどん失われてしまいます。

このような状態にならないよう、メンテナンスが必要なのです。
放っておいても100年もつ訳ではありません。メンテナンス次第で、マンションの寿命は大きく変わるということです。

なので、終末はいつ訪れるかわかりませんから、「マンションを解体して更地にするにはいくらかかるのか?」を想定しておくことは、資産管理上は重要です。

除却費用は構造や立地条件によって大きく変わるので一概には言えませんが、1戸あたり数百万円~1千万円以上かかる場合もあります。

もし除却費用を払えない住人がいれば、解体への道は困難を極めることになります。敷地の資産価値が除却費用より高ければ、売却益で解体するという選択肢もできますが、敷地の資産価値が低い場合は、危なくて住めないけど除却もできない、という最悪の状況に陥る可能性もあります。

購入前に除却費用まで試算するのは至難の業ですが、立地条件から、土地の資産価値を算出しておくことはできます。せめて最悪の状態になるかどうかの判断材料として、ぜひ知っておきたいところです。

すでに所有している人はどうしたらいいのか?


購入前の心構えとして書かせていただきましたが、実際すでにマンションに住まわれている方は「どうしたらいいの?」と心配になりますよね。

もし、これらの問題についてあまり意識が無かったという場合は、今からでも当事者意識をしっかりもち、修繕が計画通り行われているか、資金計画に問題はないか、解体費用まで積立金で捻出できるか、などと考えてみてください。

問題があれば、先送りしても事態は悪化するだけです。
購入をご検討の方も、すでに所有されている方も、修繕計画を他人事とせず、ぜひ当事者として前向きに取り組んでいただけたらと思います。

世の中にたくさん建てられているマンションが、「負債」でなく「資産」となりますように。

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