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営業人生を激変させる「気づき」があった、15年前の話

2020年は、昨年の『無敗営業』に引き続き、『無敗営業チーム戦略』を出版させて頂き、感慨深い1年でした。沢山の方々に支えて頂いているおかげで今があります。いつもありがとうございますm(_ _)m

このnoteでは、営業人生を激変させる気づきがあった、15年前の話を書きたいと思います。特に、若手で営業をやっている方に、「仕事が楽しくなった!!」と思って頂くきっかけになればいいなあ・・・と思いますし、若手の育成に悩まれているマネジャーの皆さんには、この記事を社内の若手にご紹介頂き、ランチのネタにでもして頂けたら嬉しいです。

今回の内容は『営業AdventCalendar2020』の21日目の記事として投稿しています(Twitterハッシュタグは#営業アドベント)

最初は気合と根性100%

私は25歳の頃、新卒から勤めていた会社を円満退職し、起業しました。商品も実績もない自分たちが会社を創って最初にやることと言えば、お客様になって頂けそうな会社にひたすらアプローチすることでした。とにかく毎日が「営業」です。

来る日も来る日も、アポとプレゼンを繰り返しながら、まったく受注に結びつかず私は焦っていました。

当初自分がやっていたことは、お恥ずかしながら知性のカケラもない「気合いと根性100%」です。

まず、大学のOB名簿を見て、「20歳ぐらい年上のOBなら、役職者にもなっているだろうし、権限もあるだろう」と、お会いしたことのない先輩にも、名簿の上から順番にメールしました

私はあなたの後輩で、会社を起ち上げたばかりです、お客様を紹介頂けませんか?

こんな趣旨の文章を大量に送りつけました。しかし、「もっと会社が軌道に乗ってきたら話しましょう」など、返事は芳しくありませんでした。身近な先輩はご飯に誘ってくれたりしましたが、私が特にコンタクトしたかったのは、20歳ぐらい上の「役職者になっているであろう」方々です。しかし、顔も知らない後輩から会社のメールに飛び込んできた勝手なお願いメール。何をやっている会社かもまったくわからなかったのでしょう。若気の至りですが、ホームページを作る前に、ノリと勢いでメールを送ってしまっていましたw

でも、当時はそういったことを冷静に考える余裕はありませんでした。

次に、携帯のアドレス帳の「あ」から順番に友人へ電話しました(上から順番にやっていくのが好きな自分)。電話でつながった友人に次々と、「お客様を紹介してほしい」と切実な訴えをしていました。「な」行までいったとき、とある友人に、「なんかあんた、変なことして噂になってるよ。そんな恥ずかしいことはやめた方がいいよ」と言われました。

そもそも、営業ってどうやるのか?そんな次元で悩んでいるうちに、貯金がみるみる減っていきました。何しろ、売上が立たないのです。

要するに、営業を始めた当初は、あまりにも売れなくて、このままいったらどうしよう・・・と思い悩む日々でした。

そんなとき、「あのできごと」が起こったのです。

フィナンシャル・アドバイザーAさんとの面談

ある日、私は、友人から紹介されて、あるフィナンシャル・アドバイザーの方(Aさん)とお会いしました。
受注もない状況で時間だけはあったので、何かの参考になるかと他人の営業を受けてみたわけです。

今思い返すと、起業直後でお金なんかスッカラカンでした。食費と食事の時間を節約するために、パスタを3日分茹でて冷蔵庫に保存していたような25歳の貧乏な若者が、プロの方からお金のアドバイスをホテルのラウンジで受けている図柄はかなりシュールだったと思います。

商談が始まって少し雑談をした後、Aさんから奇妙なことを言われました。この台詞は、今でも覚えています。

「高橋さん、毎日、仕事に人生に100%打ち込んでいらっしゃって、順風満帆な人生ですね」

私は当然、「いえいえ、そんなことないですよw」と答えます。すると、

「えっ、そうなんですね。どういうことですか?」

と、その方は聞いてこられました。

私は「会社を起ち上げたばかりで、本当に大変で・・・将来のことなんか、考える時間もないです」と答えました。そこで、Aさんは、

「高橋さんがお考えになっている”将来”がどういうものか、少し聴かせて頂けませんか?」

と聞いてこられました。私は、その場での見栄から、お金がスッカラカンなことはそれとなく隠しながら(初対面の人に、資本金を捻出するために数百万円の借金をしているとは言えない・・・)、「理想の30代、40代の人生の状態」について話し始めました。

Aさんは、にこにことした笑顔で、私の話に耳を傾けてくれました。妄想癖の強い私は、気がつくと、「人生のビジョン」について語っていました。

ひとしきり話を聞いてくれたあと、Aさんは言いました。

「では、その理想に近づくために今からできることを、お財布の傷まない範囲で考えてみませんか?」

この台詞を聞いたときに、頭の中で電撃が走りました。会話が進むうちに、気がつくと提案を受けるモードに入っていたのです。
これまで、私は自分が訪問した先に対して、提案へたどり着くまでに大変な思いをしていました。何回も打ち合わせをして、それでも途中で断られ、数あるアポのうちからプレゼンまでさせて頂けるのはほんの一握り。

しかし、まさに今自分の目の前で、初対面から数分で、いとも簡単に提案へこぎつけた”営業”がいる。
Aさんの行動を見て、「これは、勝つやり方が行動としてインストールされている」と感じました。
もちろん会社として教育がされているのでしょうが、だったら、自分がこの人から学ぶこともできるはずだ。
私は、徹底的にAさんの台詞や行動をものすごい勢いでメモし始めました(結局、契約はしなかったのですが・・・)。

そうして、翌日から、試行錯誤の日々が始まったのです。

「質問型」に切り替えることで起こった変化

Aさんは質問の仕方がうまかったので、自分もそれまでの説明型・プレゼン型から「質問型」に切り替えてみよう。

まずはそこからのスタートでした。質問型にシフトすると、「お客様から自分はどう見えているのだろう?」「お客様はどうやったらプロセスを前に進めてくれるのだろうか?」のように、お客様の視点に立った問いをより深く考えるようになります。
私は、自分の話し方やノートの取り方をどんどん変えていきました。

今までは何も考えずに自社の商品やサービスの説明をしていたのが、一つ一つの行動について、「お客様はいったい、どういう風に営業を選ぶのだろうか?」「どういう営業だったら断り、どんな営業なら提案を前向きに受けてくれるのか?」という観点に寄っていったのです。

さっそく、お客様の反応が変わっていく感触がありました。
それまでは初回訪問のときに、私は「御社の課題は何ですか?何かお悩みがありますか?」と聞いていました。

当然、いきなり初めて会った営業マンに対して会社の深刻な悩みをベラベラ話す大企業の担当者なんていません。「それほど困っていません」と追い返されるのがオチでした。

しかし、Aさんのトークを思い出し、こう変えてみました。

「御社のような、規模も大きくて就職活動の人気ランキングも高い会社さんだったら、優秀な方がたくさん入ってくるわけですから、人のスキルや組織の悩みなんて全く無いのではないでしょうか?」

もちろん、お客様の答えはこうです。

「いえいえ、何をおっしゃいますか高橋さん。弊社なんて悩みだらけですよ」
そして、私はこう返します。
「え、そうなんですか?意外ですねー」
そうすると、お客様は「聞いてくださいよー」とばかりに、どんどん課題をしゃべってくれます。

今までガードが堅く当社の悩みなんて話してもらえなかった日々から、いきなり、会社の悩みをすらすらと頂けるようになり、商談の展開がガラッと変わったのです。

誰だってみな悩んでいます。お客様ももちろん悩んでいるわけです。以前の私は、「自分の話をどうやって聞いてもらうか」ばかり考えていましたが、徐々に、「お客様はどんな風に質問されたら悩みを話しやすいのか?」といった角度から考えるようになりました。

感触を得てきた私は、情報収集、実験、検証のモードに入りました。とにかく色々と取り入れ、考え、試してみる毎日です。

いま思い返すと、この聞き続けるプロセスを通して、私は一つの問いをしていたのだと言えます。それは、「お客様がある会社の営業を選ぶのは、一体なぜなのか?」ということです。その営業を選ぶ理由が何かしらあるからこそ、お客様は話をもっと聴いてみようと思うわけですし、営業を選ぶ理由につながる材料があれば簡単には追い返されません。

このあたりで、何かのスイッチが入りました。

踏み込んで聞いても、お客様は意外と怒らない

私は、「お客様に怒られるまで聞いてみよう」と思うようになり、本当に、「怒られるまで踏み込んで聞いてみた」のです。

これをお読みの皆さんは、
「そんなことしたら、お客様を怒らせてしまうんじゃないの?」
「うっとうしい営業と思われて、お客様との関係性を悪くするのでは?」
こんな風に思われるかもしれません。しかし、まったく売れなかった私には、文字通り、後がなかったのです。

激怒されても、前に進むんだったらよしとしよう。最初はそんな気持ちでした。

実際にやってみてどうだったのか。

結論から言うと、激怒するお客様はいらっしゃいませんでした。
きちんとしたビジネスマナーや人としての丁寧な物腰さえきちんとしていれば、
お客様としては「当社のことを理解しようという営業の姿勢に好感をもつ」
ということがわかってきたのです。

要するに、お客様のことを理解せずにズレたことを繰り返すから怒らせてしまうのであって、お客様のことを理解して貢献しよう、という姿勢さえ保っていれば、相手にとっては逆にありがたいのだということに気づきました。

これが、営業人生を激変させる気づきがあった、15年前の話です。

気合と根性100%丸出しだった当時の質問スタイルは、かなり不格好ではありましたが、それから色々な試行錯誤や改善を重ねて、今では「核心質問」として色々な方にお伝えしています↓

たぶん、私はフィナンシャル・アドバイザーのAさんに出会っていなかったら、違った人生を歩んでいたかもしれません。そう考えると、つくづく、「人とのご縁は素敵だなあ」と思います。

この記事を読んで頂いている皆さんとの「ご縁」に感謝をしつつ、筆を置きたいと思います。

ご感想など、twitterでリプライやDM頂けると嬉しいですm(_ _)m

P.S. 『無敗営業チーム戦略』も、おかげさまで発売から2日で増刷とご好評を頂いております。本当にありがとうございます!

#営業アドベント

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