性の多様性についてー教科書ではどのように記述されているか
LGBT理解増進法が成立した影響で、今春から使用されている小学校の教科書で、「性の多様性」について記述する教科書が増えた。
3・4年の保健では、6点中5点、5・6年では6点中1点(前回の検定では、計10点中2点)、道徳では12点中3点、社会科では3点中1点が「性の多様性」について言及している。
まずLGBTに関する記述が目立つ3・4年の保健の教科書記述の実例について紹介しよう。
●各出版社の記述内容
大日本図書版は初めて「LGBT」の記述を取り入れ、
「生まれたときの体の性と、今、自分が思っている性が違うこともあります。また、気になったり、好きになったりする相手が異性の場合もあれば、同性の場合もあって、『好き』の形もさまざまです」
と説明。
東京書籍版は、
・「異性が気になる」→「ほかの人が気になる」
・「異性と話したいけれど、はずかしい」→「異性や好きな人と話したいけれど、はずかしい」
という表現に変えた。
気になったり好きになったりするのは異性と限らないという観点からである。
さらに、「性と自分らしさ」というコーナーを新設し、
「体の性(生まれたときの体の性)」
「心の性(自分が思う自分の性)」
「好きになる性(性的指向)」
「表現したい性」
と4つの要素から自分らしさが作られていると説明し、
「人には、体の性以外にも、いろいろな性の「ものさし」(気持ちや考え方)があります。それらは、一人一人、少しずつちがっていて、組み合わさって、わたしたちの『自分らしさ』となっています」
と記述している。
これは、出生時に判断される「生物学的な性別(体の性)」が、「心の性」である「性自認」や、服装や言葉遣いなどの「性表現」、あるいは同性愛者か異性愛者かバイセクシャル(両性愛者)かといった「性的指向」と同列であるかのような誤解を与えかねない問題記述といえる。
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