「子ども」表記と「児童の権利条約」について考える
●公文書の「子ども」表記を「子供」に統一した文科省
日教組など「子どもの権利条約」と呼ぶ人たちは、「子供」の「供」は「お供え物」「大人のお供」「家来供」などの従属的、隷属的な差別用語であるというが、平成25年に文部科学省は「子供」に否定的な意味はないとして、公用文中の「子ども」表記を「子供」に統一した。東京都と広島県の教育委員会も同様である。
表記を「子供」に統一したのは、菅政権の木原稔首相補佐官が、「子供に対して『漢字で書きなさい』と言いながら、大人が『子ども』と混ぜ書きにしている。さらに公用文でも混ぜ書きが横行しているのには違和感を覚える」と平成25年3月の自民党の文部科学委員会で指摘した問題提起に基づくものである。
広辞苑には「子供」と書かれているが、「子供と書くべきだ」という校閲部長のコラムを掲載している産経新聞でも「子ども」表記の記事もあり、メディアでは「子ども」表記が多いのが現状である。
●「子ども」表記の契機となった「岩波講座」・羽仁説子の指摘
「子ども」表記を普及したのは、戦後最初の「岩波講座」である『岩波教育講座』第7巻『日本の子ども』(昭和27年)で、同年5月に設立された「日本子どもを守る会」の副会長・羽仁説子氏(翌年、2代目会長に就任)は、次のように証言している。
行政機関における漢字表記の規準は、国語審議会の答申を受けた『常用漢字表』(平成22年内閣告示第2号)に求」められる。同年の内閣訓令第1号『公用文における漢字使用等について』は、「公用文における漢字使用は、『常用漢字表』の本表及び付表によるものとする」とし、同表には「子供」と明記されている。
ここから先は
2,872字
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?