生活の中のケルト文化

 人間といういきものは高い知性を持ち、何十万、何万年の過去から生きてきたから、文字があれば日々の暮らしとか、その民族に迫る厄災までも記されていただろう。その古い伝承で有名なのは、「アーサー王」と「マビノギオン」だろう。
 アイルランドは日本列島の様に広いユーラシア大陸と海で隔てられた環境なので、ケルト文化も長い時間熟成されて、後にキリスト教文化が入ってきても、その文化は色濃く反映されてきた。10月31に行われる〝サワーン“はその日から次の10月31日までの豊作を祈るしきたりであった。また黄泉の国と繋がることで、亡くなった人や先祖を敬う儀式でもあったらしい。
 現代で10月31日と言えばハロウィンが有名だが、その起源はサワーンと紹介してもおかしくはないだろう。

 ケルト人というのは、外見とか仕草とかは北欧の人々とあまり大差がないと思われるけれど、内面的な違いがあるのではないか。
 確かにケルト人が、作り出したものが後世にあまり残っていないという事実もあるし、キリスト教文化に蹂躙されて、表面的なケルト文化は消滅したとされていた。その証拠に先述もしたが「ハロウィン」は派手にアピールするのに、「ザワーン」はまるで報道されない。その違いは何なのか。わたしも『図説ケルト神話物語』作者はイアン・ツァイセック。訳山本史郎と山本泰子。その本で初めて知ったのだ

 ケルトに遺された文学や神話は「オガム文字」で記されたものが後世に伝わっている。ケルト及び北欧の神話は現代につながる様々な芸術、舞台、作品、ゲームに影響を与えている。アーサー王に纏わる伝説は最も有名で、聖杯を巡って争う「fate」シリーズは日本で大きな話題をもたらしたアニメシリーズだ。
 日本では「魔法」と言ったら非現実的で、超能力やオカルトといった不吉な能力と認識されがちだが、ケルト神話等では自然災害を予知して、危険から身を守ることに役立ているし、戦争で負った傷や怪我を治したり、死に直面した人間や動物を蘇らすことに使ったりしているのである。
 
 「イース」はゲームだけじゃなかった

 北欧神話のひとつ。南仏のブリュターヌ地方にあったとされる〈コンヌアイユ〉の王には美しい娘がいた。その娘が
「このカンベルレにいてもつまらないし、治安も住民も悪いから、海の近くに新しい町をつくって欲しいの」
 王はその願いを叶えるべく〈イス〉という町を海岸にほど近い場所につくった。娘(ダユー)はわざと住民たちに優雅な生活を与え、自らの美貌を利用し男たちを虜にしていった。その中の1人は実は悪魔で人間になりすましていたのだ。嵐の夜、巨大な堤防にある水門は解錠された。その男がダユーに水門を開ける鍵を父である王から奪うことが出来たら、わたしと結婚して共に暮らしましょうとそそのかしたのだった。2人は王の枕元に立っていた。
 鍵をダユーが盗んだと知らずに王はダユーと共に町から逃げようとした。従者のゲノルに
「その女は悪魔だ。振り落とすのです」
その助言のお陰でダユーを洪水に沈め、王(グラドロン)はあの夜の出来事に悩まされ続けながらもその後の人生を全うしたのだった。
RPGゲーム「イース」をプレイすると、そのイスの伝説が頭を過ぎるのである。

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