インターンシップ

私が勤めている学校では、1年生全員に就業体験を行わせています。そのノウハウの一部をまとめておきたいと思います。


目的・目標

 実施については総合的な探究の時間を活用して行っています。ただ、実際に体験に行く4日間(体験に行く企業の都合で1〜4日)は他の学年は通常授業(修学旅行などの長期行事と並行すると安心?)となるため、授業のやりくりはポイントの一つになるかもしれません。
 そもそも現任校の目標の中に、地域貢献、地域で活躍する人材などと謳っているため、その一環として最終的に地元地域に就職をする学校を目指しています。実際に就職希望の生徒の多くは地元企業へ就職し、貢献をしてくれています。進学についても地元大学への進学が中心で、最終的に地元企業へ就職するというパターンがかなり多くあります。

現任校の現状

 現任校の実際の進路はというと、大学進学が15%、短大が5%、専門学校が40%、一般企業就職が30%、その他(公務員就職、進学準備、進路未定等)10%という状況です(イメージしやすい数字にしています)。なので、どちらかというと進学希望者が多いということになります。特に多い進路希望は専門学校で、調理系、理美容係、情報系、自動車系(工業系)、アニメーション・声優系と多種多様です。

実施のポイント

 毎年かなりの数の企業に就業体験のお願いをしています。「生徒数」=「お願いする企業数」というお願いをして、実際に受け入れてくださる企業は40%程度です。普段の業務に加えて、受け入れのために担当者をつけてくださるということになるため、どうしてもゆとりのある企業が中心になってしまいます。また、受け入れ体制が整っている教育機関(保育園、幼稚園、小学校など)は毎年多くの人数をお願いしております。現任校には保育関係を希望している生徒も多くいるため、貴重な機会をいただいているということになります。また、保育園、幼稚園もそれぞれの地域に応じた取組、理念を持っているため、学校との連携体制もかなり整っていると感じています。お願いする企業によって、数年後に就職してもらえることを見越して受け入れてくださることもあり、Win-Winの関係性が作れるようにしていくことも重要になってきます。
 実際に受け入れてくださる企業との連絡、調整が密に取れるか、企業側にメリットを提示できるか、学校の目指す学校像とリンクした取組ができるかなどが実施に向けたポイントになると考え、実施をしました。
 1人で全てのやりとりを行う場合は、事務、連絡などが膨大な量になります。そのため、できる限り企業とのやりとりを分担し、主担当は企画立案、情報の集約と判断に注力することで連帯感を醸成し、チームとして取組を行うことがポイントと感じました。今年度は、事務作業については学年全体で分担をし、負担感ができる限り公平になるように進めていくことが望ましいと考え、担任、副担任に業務を割り振りました。分担したことが適性になり、負担軽減することができたこと、クラス横断型で実施したことで担任クラスだけの情報でなく、様々な生徒の情報を知ることができたこともメリットと感じました。

業務スケジュール

 実施に向けたスケジュール感を以下にまとめます。

  • 実施の半年前に依頼文書を送付

  • 1ヶ月程度の回答期間を設定

  • 受け入れ人数が生徒数を超えた場合は体験先を仮組み

  • 担当者へ実際に何人の受け入れが可能か、性別等についても確認

  • 実施2ヶ月前に生徒と企業で連絡を取らせる(体験先によっては保菌検査についても、この時点で確認)

  • 実施3週間前に生徒が事前に訪問し、持ち物や場所、注意事項を確認

 実際の業務量は事務作業と事前指導、事後指導と各場面で相応の時間を要します。

事前指導

目標・目的の確認

 就業体験に向けた最初のガイダンスが、目標・目的の確認です。就職を考えている生徒は比較的モチベーションを高く持った状態で取り組むことができている印象があります。しかし、専門学校への進学を考えている生徒に限って、将来を考えることに対して偏っている傾向が強いというのが、実施しての感触です。専門学校希望者はその分野を学び、職業につなげたいという意志を強く持っているということは喜ばしいことですが、1年生のうちから固定観念を持たせたくないと思っております。周りのことを知ることは思い入れの強さにもつながるという思いから、希望以外にこそ学びはあるということも重要だと考え、生徒たちに伝えるようにしました。

希望集約

 本来であれば、希望の職種の体験ができれば本人にとって気持ちの面で充実したものになるのかもしれません。しかし、どうしても希望通りにいかないという場合は少なくありません。居住地から遠すぎず、そして学びにつながるように場所を設定する必要があるため、希望の取り方、だいたいの見通しなどを正確に伝えつつ、希望通りにならなかった場合のことについても事前に伝えるようにしました。

エリア別指導

 実際に動き出したときは巡回のことも考え、エリアごとに担当者を2名(担任・副担任)をつけて指導をしてもらいました。最終的な集約については主担当が行うにしても、できる限り担当とのやりとりを中心にクラス以外の生徒についても知る機会になるように、そして、生徒たちもクラス以外の生徒とやりとりをすることで交友関係を広め、成長できるように機会を設定しました。最終的には各エリアごとに体験したことや感じたこと、課題感、地域との関わり方などを発表する機会を設け、総合的な探究の時間の評価へとつなげていきました。その際の第1評価者としてもエリア担当をつけ、最終評価者として担任ということに設定をし、成長を観取るという形を作っていきました。

まとめ

 今回はインターンシップについて大雑把ですが、私が行ってきたことについてまとめました。実際に実施したのはだいぶ前のことですが、注意したことや課題などがそれなりにまとめられたと思っております。振り返りの場としてだけでなく、産学(産校?)連携ということで、子どもたちの学びの質を向上させる一助になればと思い今回の企画があり、似た思いを持つ先生方が取組をする際の参考になればと思っております。


 久々の更新でこんな内容ですが、今後ともよろしくお願いいたします。


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