大谷翔平を育てた原田隆史の「奇跡が起きる目標の立て方」

 大谷翔平を育てたカリスマ体育教師の原田隆史が日本一のビジネス誌『プレジデント』(5月5日)に寄稿した「奇跡が起きる目標の立て方」の内容のエッセンスを紹介したい。
 目標や夢を言葉にする。それが夢をかなえる第一歩。「社会のあらゆる事象は人が言葉にすることで初めて認識される。人は言葉によって行動し、言葉によって世の中と繋がっている」という考え方である。
 自分は何をしたいのか、どんな理想に向かいたいのか一一頭の中でぼんやりと考えているだけでは、具体的な行動にならない。言葉にして紙に書き出すことで、夢や理想は具体化し、動き出す力になる。
 大谷翔平が花巻高校1年生の時に書いた「目標達成シート」(正式名称は「オープンウィンドウ64」)には、目標に至るまでに実践すべき習慣を64マスに書き込んだ。
 大谷選手の影響で最近「自分もやってみよう」と、いきなり64マスに目標を書いて張り出す人がいるが、前段階で「長期目標設定用紙」が必要であり、実践するには習慣形成のための「ルーティーンチェック表」や日々の振り返りを行うための「日誌」も欠かせない。

●「長期目標達成用紙」の4つの観点

 まず「長期目標設定用紙」の中の「4つの観点」をつくり、用紙に十字線を引いて縦軸に「有形(上)一無形(下)」、横軸に「自分(右)一社会・他者(左)」を置き、「自分の有形」「自分の無形」「社会・他者の有形」「社会・他者の無形」という4観点を創出する。
 夢や目標として多くの人が掲げるのは売り上げなどの「自分の有形」の目標である。しかし、人は自分の欲求を満たすためだけに、頑張り続けられない。喜んでくれる人たちの期待に応えるために、挫けずにやり抜くことができる。「社会・他者の無形」の目標を書くことが、夢への原動力になる。
 さらに達成力を高めるために「自分の無形」(自分自身の目に見えない目標や達成した時の気持ち)の目標と「社会・他者の有形(社会や他者に対する目に見える貢献)の目標を書き出す。夢や目標を実現した時のイメージが、よりリアルに意識される。
 夢や目標を現実にするのは「やる気や動機」ではなく、本当の原動力は「目標を達成する理由」である。理由を確かにすることが目標を高めることに繋がる。「長期目標設定用紙」で4観点を書くことで夢や目標が確かになり強化される。
 中心に長期目標を書き、周囲の8マスに目標達成に必要な心・技・体・生活をはじめとする「基礎思考」を設定し、その外欄に、具体的に習慣化する「実践思考」で行動を設定する。
 大事なのは自分を信じる気持ち、「自己肯定感」「自己効力感」である。そこで、「ルーティンチェック表」で自分がやると決めた日課が達成できたかを○×で記し、○が蓄積されると根拠のある自信がつく。

●「マインドフルネス」効果を高める日誌

 ×が並ぶなら、目標を見直す。大切なことは自己効力感を伴う自信を積み上げ、「日誌」をつけることである。「原田メソッド」の実践者は、A4用紙1枚に日誌を書き、1年で365枚になるが、日誌には日々の良かったことに注目するのがポイントである。
 日々の良かった行動、頑張れた行動を振り返れば、自分の行動で世界が変わっていくのが感じられる。日誌を通じて日々自分と向き合って対話をすることになる。1日の終わりに気持ちを整え、意識を”今・ここ”に持ってくる時間をつくる。日誌を書くことは瞑想やヨガや写経などに通じる「マインドフルネス」の効果がある。
 「マインドフルネス」とは、今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに捕らわれのない状態で、ただ観ることで、瞑想その他の訓練を通じて発達させることができる、とされている。
 夢や目標はただ心の中に抱いているだけでは実現しない。書き出すことで意識され、具体的な行動に繋がり、習慣化することで確実になる。夢や目標に挑戦し、達成する喜びを一人でも多くの人に味わってほしい。

髙橋塾の「祈りプロジェクト

 原田隆史氏が学んだ「師範塾」の教育理念を継承発展させるために開塾した髙橋史朗塾では、この夢や目標を立てる「志」を立て、「道」の文化を継承し、文化の多様性に通底する価値を探る対話を通して、異なるものの調和、すなわち「和」を成して、「幸福」を感じる「志道和幸」教育を目指している。
 SDGsを「常若」と捉え直し、「日本社会に根差したウェルビーイング」を内外に発信していく「祈りプロジェクト(石清水八幡宮の田中朋清権宮司の発案)」を、髙橋塾第3期塾生である木村善幸氏の和太鼓(東久邇宮国際文化褒章を受章し、世界観客動員数は15万人を超える)演奏を中心にして、国連や全国の神社で展開していきたい。

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