雨の中を走り去っていった人一妻の詩(37)

 雨の中
傘をさして歩いている
人達の姿
そう、父が亡くなり
二週間目
電車を降りて
雨の中
傘もささずに
歩いている 私に
後ろから
傘をさして
私に持たせ
走り去っていった
あの男性
電車で隣だったあの人
「かえさなくていいですから」と
名も告げずに走り去っていった人
横顔を覚えている
あっという間に走り去っていた人
あの走り去る姿
胸があの日の事
思い出すと胸がきゅんとする
兄の日のあの方に
心をこめて、今また
御礼をいう


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