父の信念と義父の臨終の瞬間一妻の詩⑺

明日は髙橋史朗塾第3期生のオリエンテーションで、18人の3期生全員が妻の詩集『ありがとうの音色を響かせて』(MOKU選書)の中から好きな詩を選んで朗読し、その詩を選んだ理由を述べて心の対話をする。
 私の好きな詩は次の詩である。

  信念

私がコロンブスだったら
最後まで「地球はまるい」と言い通すでしょうか

凄まじい反対の嵐の中でも
主張しつづける勇気があるでしょうか
信ずるところが ぐらつくことはないでしょうか

あの温かく優しく包んでくれた義父がよく言っていました
「正しいと信じたら 千万人といえども我往かん」
そして 淡々とそう生きてきました

おとうさん
あなたの息子も
あなたの教えのように生きています


 また会おうね

今でも 思い出すと
涙が出そうになります
二十三年も前のことなのに

父の臨終の枕辺
父がにこっと笑った瞬間
先生が
「十二時十六分です」
えっ! 何! 何!
「十二時十六分?」

父がにこっと笑ったので
昏睡に入った父が目覚めたと
私は思ったのです
でも それが臨終の瞬間だったのです

そして 息を引き取った父に
主人が言いました
「また 会おうね」

「また 会おうね」
本当に また 会うのですよね

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