同性愛講演録非難への反論⑶

 松岡宗嗣氏は、WHOは1990年に「同性愛」を精神疾患から、2,019年に「性同一性障害」を精神障害のカテゴリーから除外したというが、楊教授は次のように反論している。
 米国精神医学会が1973年、同性愛を『精神疾患の診断と統計マニュアル』(DSM-Ⅲ)から削除したが、それは科学的根拠によるものではなく、同性愛活動家たちの暴力的な示威によるものであったと楊教授は批判している。
 1977年に再投票が行われ、69%が同性愛は「病理的適応」、18%が「病的ではない」、13%が「不確実」と答えた。また、73%が同性愛者は異性愛者より不幸せであり、60%が同性愛者は成熟した愛の関係を結ぶ能力が不足していると答え,70%が同性愛者の問題は社会の烙印によるものというよりも、解決すべき自分の内面の葛藤が原因であると答えたという。

性同一性障害と同性愛の違い

 楊教授によれば、多くの人は同性愛者とは生まれつき同性に性的に惹かれる性的志向であり、性同一性障害と思っているが、同性愛と性同一性障害は同じではない。
 同性愛者や両性愛者は後天的な環境によって影響された、心理的に形成された性的志向であり、性同一性障害は、先天的な要因があると考えられる障害である。両者は、本質的には異なるものであるので区別しなければならない。
 性同一性障害の原因に関する代表的な研究としては、オランダのスワーブの分界条床核の体積の違いの研究とスウェーデンのランデンの遺伝情報に関する研究があり、性同一性障害の原因は、脳が体と反対の方向で性分化を起こしていることが主たる原因と考えられているが、決定的に確証された説ではない。
 性同一性障害者は同性愛者と異なり、多くの人がホルモン療法や性別適合手術などの医学的療法を求める。医学的治療の対象者となることにより、また、医療保険が適用される必要性があることにより、医学的疾患であるとされている。
 現在日本では、性同一性障害については様々な議論があるが、「病気」や「障害」として扱われている。しかし、同性愛は「病気」や「障害」ではなく、個人の「性的指向」として扱われている(『性同一性障害って何?』(緑風出版、参照)

米国男女同性愛者学会の見解

 松岡氏はアメリカ精神医学会は2007年に「同性愛者への転向治療は効果がない」ことや、むしろ転向療法によって「うつ病、自殺などが増加する」と指摘している点を強調するが、これに対して楊教授は、「回復療法をしたから彼らがこのような状態になるのではなく、もともと彼らは自分たちの内面に様々な問題を抱えていることに起因する」と主張し、次のように反論している。

<同性愛者たちによって構成されている米国男女同性愛者医学会は、同性愛者たちに各種の精神障害があることを認めています。また、同性愛者たちは異性愛者たちに比べて、否定的な自己愛と過大性が強く、自尊感情が低く、その理由は快楽主義に支配され、挫折に対する自己内省が弱いからで、この自己内省を強化することが回復治療の根幹となります。>

LGBT差別禁止法を導入した同性婚合法国一転向治療を法律で禁止

 LGBT差別禁止法を導入した同性婚合法国には、同性愛から離脱したいと相談したり、治療することが基本的に不法行為とみなされている国があり、同性愛から離脱させたり、トランスジェンダーで再びシスジェンダーに戻る治療が困難になっている。
 楊教授によれば、現在、イギリス、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、マルタ、アメリカの16州とワシントンDCが、未成年者の転向治療を法律で禁止している。このように転向治療が禁止法に含まれるようになったのは、多くの同性愛擁護団体によるロビー活動があったからであるという。


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