蝉一妻の詩(30)

夏の間 元気に合唱していた蝉たちの
お別れのときがきた
ここ二日の間に 三匹の蝉がベランダで旅立ちをした
姿をとどめたまま 何がぬけていくのだろう

ジージーと激しく啼きながら
その最期を私たちのベランダでおくる蝉に合掌し
旅立ちの清らかなるを祈る
蝉さん どうぞ その旅立ちのとき
私の古き穢れを一緒に流してください

雨の日
私は 三匹の蝉を小さな箱に入れて
住吉神社の境内の木の下に
社の方へ向けてそっと置いた
神様のもとで土に返してやりたくて・・・

そして神様に 蝉の亡骸を置くお許しと
蝉の旅立ちを祈った

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