科学的根拠に基づくLGBTの「正しい理解」を増進するガイドラインの作成を

5月8日・10日・12日と相次いでLGBT理解増進法案をめぐる自民党特命委員会と内閣第一部会の合同会議が開催され、15日に「LGBT議連」役員会が開催され、自民党議員から修正案の説明が行われ、大要以下のようなやり取りが行われた。

○自民「文言を変更しても法的な意味は変わらない」
○公明「趣旨が変わらないことが確認できれば、今国会で成立させることが重要だ」
〇立民「内容が後退している。議連総会を開き、改めて議論すべきだ」
〇共産「修正案は受け入れられない」
〇維新・国民「議員連盟で合意した法案の内容を変える必要はない」

 同日ネット番組に出演した国民民主党の玉木代表は、「推進派が訴訟リスクはないとしているが本当にそうか。経産省のトイレ訴訟の最高裁判断を受けてからが良いのではないか」「16日に党で自民党案を検討。G7に合わせるのは議論が雑。多くの女性の不安や心配が解消される修正を求めたい」と発言したが、その通りであろう。

 昨日開催された自民党の政調審議会、総務会で修正案が了承されたが納得できない。稲田朋美議員の変節に対する岩盤保守層の批判が、特命委員会の執行部である新藤義孝(政調会長代行、特命委員会幹事長)、城内実(特命委事務局長)、古屋圭司(特命委顧問)に向けられている。
 特命委員会で同法案に慎重・反対意見を述べた議員はのべ58名、推進意見を述べた議員はのべ31名で、慎重・反対意見が倍近いのに、一体なぜ「部会長一任」を強行する必要があったのか?
 玉木代表が指摘したように「G7に合わせる議論は雑」であり、今回の拙速審議・強行突破によって自民離れが加速することは避けられない。前回の本ノートで詳述した安倍元首相の「ジェンダーフリ―」「過激な性教育・ジェンダーフリー教育」への強い懸念が一体なぜ継承されないのか?

 LGBT教育をめぐる学校と親の対立が深刻化し、大混乱が起きている米英と同様の分断・対立が我が国にも生じることは不可避といえる。61の自治体で「性の多様性」を尊重する条例が既に制定されている。
 政府の男女共同参画基本計画に基づく基本計画が地方自治体でも策定されて予算化され実行されているように、LGBT理解増進「基本計画」が全国で策定され、結果的に「性の多様性条例」「ジェンダーフリー教育」を推進する民間のLGBT団体と連携した過激な性教育団体が「研修」や「相談」を担当することになることは明らかである。
 政府の同基本計画を策定する審議会が、LGBT問題に関する学術研究に基づく科学的知見・根拠を踏まえた「正しい理解」を増進するガイドラインを作成する必要がある。
 「ジェンダー平等」に関する本質的論議を踏まえたLGBT問題の「正しい理解」を増進するガイドライン作成に向けた議論を自民党ができなければ、自民党からの大量離反を避けることはできないであろう。性規範・性道徳を真っ向から否定する「研修」や「相談」が全国に広がることは断固阻止しなければならない。
 


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