JAPAN’S HOLOCAUSTに官民一体となって反論を!(3)

 昨年11月、国際ジャーナリストの山田敏弘氏は、ブライアン・マーク・リッグ著『日本のホロコースト:第二次世界大戦中の大日本帝国による大量殺人と強姦の歴史』が「日本が南京大虐殺など最低でも3000万人の命を奪い、ヒトラーのナチス・ドイツよりもはるかに多い虐殺を行ったこと」「昭和天皇が南京大虐殺など自軍の犯した暴虐行為を知っていただけでなく、実際に命令していたこと」「大量殺人・レイプ、経済的搾取はこの時期の日本の行動様式であり、昭和天皇の軍はその暴虐行為を公然と、しかも熱狂的に行った」と投稿し、話題を呼んだ。
 山田氏が著者にインタビューした公開動画によれば、同著を執筆した動機は、栗林忠道(第二次世界大戦末期の硫黄島の戦いにおける日本軍守備隊の最高指揮官で陸軍大将)の孫である新藤義孝衆議院議員と「いい関係」にあり、新藤議員の仲介によって日本・南京・ドイツの公文書館に所蔵されている文書をスタッフの特別の協力を得て閲覧することができたことにあるという。
 著者によれば、同著が立脚した「情報源に疑問を呈した人はいない」として、「情報源」とした学者が「嘘をつく理由がない」「学者たちは噓をつくことはしない」と主張しているが、全く根拠が薄弱な感情論に過ぎない。ちなみに、著者がインタビューで言及した『Downfall:帝国日本の終焉』の著者のリチャード・フランクは、「日本のホロコーストは、非常に重要かつ画期的な研究です。リグはまたもや膨大な研究を行った」と絶賛している。

●同書に寄せられた賛辞
 さらに、同著を絶賛する賛辞が次のように寄せられている。

「日本政府と日本軍の完全な堕落の全体性と規模…この特性が帝国陸軍の文化そのものに根付いており、あらゆる場所で、民間人か軍人かを問わず、遭遇する全ての人に対して浸透していることを明らかにしました」(米海兵隊のジョン・ホフマン大佐)
「戦争道徳に不可欠なもの…戦争の倫理についてさらに深く考えるようになった」(米ホロコースト記念博物館で語られるホロコースト研究の著名なマイケル・ベレンバウム教授)
「長年の秘密が暴露された。…彼は壮大な規模の国際的な悲劇を暴露し、その責任を負う国家が記録してきた歴史についての恥ずべき、意図的かつ決定的な無知を暴露している」(『太平洋上:第二次世界大戦の名誉戦闘機エースが語る』の著者・コリン・ヒートン)
「彼の徹底的な研究の中で、この主題に関する決定的な研究を文書化した。読者は、裕仁天皇を絶対の神であると宣言した戦士社会を生み出した20世紀前半の日本の病んだ文化、そして日本民族を世界を支配する運命にある優れた軍国主義民族として学ぶことになるだろう。…日本のホロコーストは、第二次世界大戦を学ぶすべての学生にとって必読書である」(『硫黄島の平和主義者:説教壇から米海兵隊の血みどろの戦いまで』の著者・リー・マンデル大佐)

 著者は同書を日本で出版し、日本で広報宣伝を本格的に行いたいとして、同書を批判する櫻井よしこ氏には「信頼性がなく」「信頼性に対するひどい恥辱」と酷評し、公開討論を申し出て,「6000万人虐殺という数字が間違っている証拠を見せてほしい」と開き直っている。ユネスコ「世界の記憶」に登録された「南京大虐殺」文書はシリーズ本として既に出版されており、これと併せて明確な反論を英語で国際発信しなければ、とんでもない誤解が世界に拡散されてしまう。官民一体となった本格的な取り組みが早急に求められる。

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