LGBT理解増進法成立に当って思うこと

 明日の参議院内閣委員会でLGBT理解増進法案が採決され、明後日の参議院本会議で成立する見通しとなったが、そもそもLGBTに特化した法律を一体なぜ作る必要があるのか?
 憲法第14条に「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と明記されており、性別による差別は今でも許されない。

読売社説の本質を衝いた鋭い指摘

 昨日の読売新聞社説は「首相と自民の見識が問われる」と題して、「この法案の内容で、女性の安全を守れるのか。教育現場は混乱しないのか。様々な懸念を残したまま、拙速に法整備を図ることは許されない」「新たに性的少数者に特化した法律を、内容も曖昧なまま制定する必要はあるまい。各党は、新法がもたらす影響を真剣に考えるべきだ」と警告している。
 さらに、「法案に、LGBTに関する教育を『家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ行う』と記したことも問題だ。過激な主張を掲げる団体が学校に圧力をかけ、発育を無視した性教育を迫る事態が外国では起きている」「新法を契機に恣意的な解釈が横行し、性や結婚に関する民法などの規定を巡って違憲訴訟が相次ぐ恐れは否定できない」と指摘している。
  「その他の関係者」とは一体何を指しているのか?わが国で「過激な主張を掲げる団体」とはどのような団体なのか?「その他の関係者」には当然「LGBT支援団体」が含まれ、「過激な主張を掲げる団体」の代表格は、道徳教育を全面否定する「包括的性教育」を推進する「”人間と性”教育研究協議会(略称”性教協”)」である。

●「実子誘拐」と関連のあるLGBT支援団体

 性教協はコンドーム業界から1000万円の寄付を得て創立した性教育団体であり、その過激な主張の詳細については、拙著『間違いだらけの急進的性教育』(黎明書房)を参照されたい。
 LGBT支援団体には、複数の書籍や月刊誌論文で「実子誘拐ビズネス」とのかかわりが指摘されている反日団体の事務所である、東京都文京区本郷1-35-28-302に事務所(住所)がある「共生社会をつくるセクシャル・マイノリティ支援全国ネットワーク」や、10年前まで事務所があった「社会的包摂サポートセンター」等が含まれている。
 ちなみに前者は7年間で東京都区から1314万円の補助金・業務委託を受けており、後者は8年間で74億4624万円もの補助金を内閣府・厚労省・東京都庁等から受けており、遠藤智子事務局長は「実子誘拐」に関係の深い全国シェルターネットの事務局長でもあり、両団体の深い関係性を物語っている。

櫻井よしこと竹田恒泰の「言論テレビ」対談
 
 櫻井よしこと竹田恒泰が5月26日の言論テレビで、「日本にLGBT特化法は必要なのか?一LGBT法案は皇位継承問題に飛び火する一」をテーマに対談した。竹田によれば、女性皇族がトランスジェンダー(自称「男性」)を主張すれば、「男系男子」という皇位継承の伝統が崩壊する。
 また、古事記には随所にLGBの原型が見られ、性道徳・性規範として、親子や同母兄弟間の結婚などは厳禁したが、「性的指向」は自由でおおらかで、性的少数者を排除していないという。
 西洋には女性蔑視の文化があったが、日本の神話・歌舞伎・宝塚歌劇等の伝統文化には男女差別はなく、性に対して実におおらかであった。
 ニュース報道によれば、東急歌舞伎町タワーのジェンダーレストイレが売春のプレイルームになっているという。「性的指向」は自由であるが、女性の人権など他者の人権を侵害しない、公共の福祉に反しないことが当然求められる。

欧米の教育現場の惨状と混乱に学べ

 アメリカでは49州で反LGBTQ法が制定ないし審議されている。その背景には、性道徳・性規範を全面否定する「包括的性教育」による学校と親の対立、子供の自己決定権と親の養育権の対立の深刻化による訴訟の急増などがある。
 「日本が遅れている」というのは、とんでもない認識不足であり、性に関する寛容さの伝統を尊重しつつ、欧米の教育現場の惨状と混乱が起きないように、学習指導要領に明記された「性教育の歯止め規定」を継承する、日本社会に根差した日本独自の「正しいLGBT理解」についてのガイドラインを科学的研究の成果を踏まえて明記することが重要である。
  国や自治体による「民間団体への支援」(10条)は削除されたので、過激なジェンダーフリー教育の推進団体への公的資金の投入はできなくなったが、国(政府)には「施策を策定し実施する」努力義務(4条)が課せられているので、性道徳・性規範を全面否定する過激な「包括的性教育」が行われないように、指針(ガイドライン)を作成し、事前に歯止めをかけなければならない。


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