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花びらは散らさぬように手を振ってブーゲンビリア空港を発つ/長井めも

2022年3月31日(木)の17時部屋の題「宮崎」の短歌。

宮崎ブーゲンビリア空港では、ブーゲンビリアという濃いピンク色の花が美しく飾られている。2007年に宮崎観光ホテルの駐車場に10本植えたブーゲンビリアが現在は4階まで伸びているという。イベントへの「ブーゲンビリア無料貸し出し」も行っている。この空港では、1年365日、花や緑を楽しむことができるとの触れ込みである。ちなみにブーゲンビリアは5月に咲く花。

花そのものの名前が空港名となっているから、見送る側も作中主体のように飛び立つ側も手には花を持っているかのような気持ちになるのだろうか。

または、作中主体が眼下に見る空港の花々の花びらを散らさないように優しく手を振っているということか。

花びらの「び」とブーゲンビリアの「ブ」と「ビ」という両唇音の響き、花びらの「ら」、「散らさぬ」の「ら」、ブーゲンビリアの「リ」といったラ行音の開放が心地いい。その後の結句「空港を立つ」という終止形で一首全体がしまっている。

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