![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74882513/rectangle_large_type_2_410129386b800d438b284e5eb6bb88fd.jpeg?width=800)
Photo by
r0ckfujifab0710
無言とは静かな会話 その視線黙って追えば春のほころび/庄野 酢飯
3月23日(水)の11時部屋の題「言」の短歌。
唯一「無言」で「言」を詠み込んだ歌。「静かな会話」であるから、ここでの「無言」は複数人でいるのに黙っていることを表している。
当該歌は二人でのひとときだろうか。恋愛関係にあるか、パートナー関係にあるか。それとも友人どうしや家族どうしか。
作中主体は相手の視線を追う。主体も無言なので「黙って」追う。「どうしたの?」などといったやぼな言葉は発しない。
相手の無言の視線が教えてくれたのは、「春のほころび」であった。梅や桜だろうか。「ほころぶ」という動詞には、花のつぼみが少し開くという意味がある。
この他に「笑顔になる」「鳥が鳴く」という意味もある。相手の視線の先には、幼い子どもの笑顔があったかもしれないし、ウグイスなどの鳥のさえずる姿があったかもしれない。
「春の」と季節のみの提示で曖昧に言って、「ほころび」と仮名表記にする(ひらく)ことで、解釈の幅を持たせてくれている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?