たか木、

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最近の記事

「新型コロナの今、考えたい学校の学区と社会心理学:ストレスと社会関係資本で考える感動ポルノとキャンセルカルチャー」(『SYNAPSE』2021年6月号,pp.36-41)

コロナで顕在化したキャンセルカルチャー  新型コロナ(以下「コロナ」)でのストレスが1年を越えた。ストレスの蓄積は新しいストレスを感じやすくするし、ストレス性の依存などの別の問題を生むのでコロナ禍の長期化は当初とは別のストレス反応を生じさせている。脅威を感じること(ストレッサー)は瞬間的に「戦うor逃げる」が選択できる緊張をもたらし、この蓄積がストレスとなる(本誌75号本連載「ストレッサー・ストレス反応過程」参照)。緊張に耐えきれず“思わず”戦ったり、逃げたりする問題行動は人

    • 「新型コロナの今、考えたい学校の教育活動と学力:指標となるデータで生産性とエビデンスに付き合う難しさ」(『SYNAPSE』2021年3月号pp.28-33.)

      Society5.0時代の学校の課題  新型コロナ(以下「コロナ」)は情報コミュニケーション技術(ICT技術)の発展と「エビデンス」という言葉の普及を加速している。概ね平成28(2016)年の第5期科学技術基本計画で示されたSociety5.0の方向性どおりといえる。ここでの4.0社会は「情報化社会」としてICTとクラウド(ネットワーク上のデータ保管とその活用体制)を発展させている現在で、5.0社会はまだその全貌がはっきりしない汎用人工知能(AI)とビックデータの活用により変

      • 「新型コロナの今、考えたい学校の"デフレマインド":新型コロナで働き方改革を忘れてはいけない」(『SYNAPSE』2020年12月号,pp.30-35)

        コロナ前に語られた2つのホラーストーリー  新型コロナ(以下「コロナ」)の付随的影響の一つに経済の冷え込みがよく指摘される。現段階でも主に接客・小売業を中心に厳しい情勢が続き、家計の困難を通して子供にも影響が生じつつある。コロナと世界経済に関してよく参考にされるのが1929年からの世界大恐慌である。恐慌のような景気の急激な悪化はモノ(人の労働・サービスも含めて経済的に売買される対象の総称)が売れず買い叩かれる。つまり、モノと比べてお金の価値が高まるデフレとなる。当時は第一次世

        • 「新型コロナの今、考えたい学びと費用の在り方:学習・学力向上過程には学校コミュニティへの投資も必要」(『SYNAPSE』2020年10月号,pp.30-35)

          コロナ前に煮詰り済みの新しい学習課題  新型コロナ(以下「コロナ」)は長引きそうである。よく対比される「スペイン風邪」は3年3派にわたり2年目冬の被害が猛烈だった(『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』藤原書店)。懸念される経済危機も決算期ごとに変質し、当初はデフレで回復期にインフレという段階ごとに社会や生活に影響を与えると予測される (『世界大恐慌』講談社学術文庫)。食料やエネルギーを含めた商品需給は極端に上下しそうで(例えば、マスクのこの数か月間の需要ひっ迫と供給過多が

        「新型コロナの今、考えたい学校の学区と社会心理学:ストレスと社会関係資本で考える感動ポルノとキャンセルカルチャー」(『SYNAPSE』2021年6月号,pp.36-41)

        • 「新型コロナの今、考えたい学校の教育活動と学力:指標となるデータで生産性とエビデンスに付き合う難しさ」(『SYNAPSE』2021年3月号pp.28-33.)

        • 「新型コロナの今、考えたい学校の"デフレマインド":新型コロナで働き方改革を忘れてはいけない」(『SYNAPSE』2020年12月号,pp.30-35)

        • 「新型コロナの今、考えたい学びと費用の在り方:学習・学力向上過程には学校コミュニティへの投資も必要」(『SYNAPSE』2020年10月号,pp.30-35)

          「新型コロナの今、考えたい学校のストレスと危機管理:生活習慣病的危機における学校だからできる貢献」『SYNAPSE』2020年7月号,pp.36-41.

          今までにない生活習慣病的で社会科学的な危機管理  東日本大震災原発事故で「フクシマ50」との美談が語られるが、米軍はこの犠牲を最小限にとどめる発想では対処人員が足りず問題の短期終結を危ぶんだ(『カウントダウン・メルトダウン』文春文庫)。事故や自然災害の中、一時の損失を顧みず人員・物資を投入し危機の根源を断つ米国的発想から学ぶべき部分は多い。しかし、このように喩えるなら外科的危機管理の発想は感染症災害では、かえって空回りする恐れが指摘されていた。外科的危機管理が結束や英雄的貢献

          「新型コロナの今、考えたい学校のストレスと危機管理:生活習慣病的危機における学校だからできる貢献」『SYNAPSE』2020年7月号,pp.36-41.

          「学校制度論」の変更点と質保証を目指す取り組み:大学の規模や地域性、学生の質に応じた教職課程運営の考察(『SYNAPSE』2020年1月号,pp.14-17)

          教職課程コアカリキュラムの影響 いわゆる馳プランの中の一つ『これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について』(中央教育審議会答申平成27年12月)は“学びあい,支えあう,教員育成コミュニティ”や“学び続ける教職員像”,“教員育成協議会による教員育成指針”など教職員のキャリア全体像について“不断の資質向上”を求める仕組みを提示した。その養成段階に関する指摘「大学が教職課程を編成するに当たり参考とする指針(教職課程コアカリキュラム)」の必要性が『教職課程コアカリキュラム』(

          「学校制度論」の変更点と質保証を目指す取り組み:大学の規模や地域性、学生の質に応じた教職課程運営の考察(『SYNAPSE』2020年1月号,pp.14-17)

          COVID-19 Japanese Schools as of May 2020 in the wake of the disaster: Stress and psychology in Japanese schools to be considered now (COVID-19災害を受けた2020年5月現在の日本の学校―今、考えたい日本の学校のストレスと心理―)

          TAKAGI Ryou ,Shujitsu.University(高木亮、就実大学) Introduction(はじめに)  This article was originally published in SYNAPSE 74 (pp.32-), a magazine for elementary and junior high schools and teacher training schools in Japan. It discusses the situatio

          COVID-19 Japanese Schools as of May 2020 in the wake of the disaster: Stress and psychology in Japanese schools to be considered now (COVID-19災害を受けた2020年5月現在の日本の学校―今、考えたい日本の学校のストレスと心理―)