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10年前とかわらない広報職へのお門違い感

10年間に書いたこととほぼ同じことを、ここに記す。

「広報」と名のつく職種が多くなってきたが、求人で「広報」と職種検索してみると、「教務スタッフ」「企画提案営業」「Webプロデューサー」といったようなとんちんかんな募集名がひっかかってくる。広報業務とは、部分的なものを切り取ればこれらの職種にもあてはまるが、「営業」と同じように、なんでも使い勝手の良い用語としてキーワード化されているとしたら、とんでもない話だと思う。「広報」「パブリックリレーションズ」という意味自体世の中に間違って持たれているという現実を感じる。

もうひとつ感じる問題点は、「広報」と募集している会社のほとんどが、結局はどんな種類の「現場監督」を求めているか、という説明に終始していることだ。中間的な情報管理は、「広報」「パブリックリレーションズ」では、基本的に成立しない。セールスプロモーションの具体例や、プレス対応の傾向など華やかさを感じさせ注目を集めるのはいいことだとは思うが、基礎を知っている者にとっては、そういったことは末節論である。

パブリックリレーションズの定義を知る者ならば、一番重要なことはその会社のビジョンとその会社が提供している商品・サービスの必要性を募集の中で知りたい。この訴えがあれば、「この会社にはどういった情報デザインが適切か」という見立てができるのだが、そんなアプローチで募集をしているところは、ほとんど見かけないのが現状だ。

これらの傾向は、ひとえに広報を担う者、それを操る経営者双方に、広報という仕事自体の意味がそもそも分かっていないという問題がある。

広報の技術とは、編集ができるからとか、Webをプロデュースできるからとか、プレスに知り合いがいるから、というような局地的な技術を誇るものではなく、会社のビジョンをいかにして、「知ってもらいたいパブリック」に伝え、「理解してもらえる」かを総合的に考え・実行し・監理する技術である。そのためには経営者のビジョンと広報部署の意見が一致していることが求められ、その形は必ず「全体的なこと→末節的なこと」というアプローチで表現されるのだが、まちがった広報をベースにした求人はまったく逆で「末節的なこと→全体的なこと」となってしまっている。

最近のお門違いな募集は、こんな感じ。

●●の魅力を伝えるライター募集
…それをパブリックリレーションズと言うのですが、書くだけでいいらしい。

WebメディアのSNSを運用。SNSマーケター募集
…SNSの営業ってことですね。

集客を目的としたマーケティング業務
・オウンドメディアの運用
・SEO対策
・Web広告運用
・オフラインマーケティング)
…いつのまにかマーケティングが販売という大局にすりかわっている。

UI/UXデザイナー募集
…見た目整えればいい感じ。
このくらいのチャンネル数でいいらしい。

いつの時代も横文字ですね。


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