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毎日手を動かしてみたら - Daily Coding Challenge に参加してみて

4/1から5/16までの45日間、Daily Coding Challenge と称して毎日コードで絵を描き、SNSに投稿するということを続けていました。以下のようなものです。

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↑ Twitterモーメントにもまとめました。

このnoteでは、取り組みをする中で感じたことをまとめてみたいと思います。先に言っておきますと、毎日なにかを続けるDaily Workは、とてもオススメです。

◎ なぜ始めたか

今年の目標の1つに「まとめてやらない、毎日やる」ということを掲げていたからです。

この記事の中にも書いていますが、「ひとつひとつは粗くてもそれを続けることで個になる」というムーブメントがSNSを通じて増えているように感じていました(SNSによってそれが見えやすくなっただけかもしれません)。ただ、もともと興味が拡散する性格で、あれもやりたい、これもやりたいと考えているうちに時間が過ぎていく。

そんな中、目にしたのが、Processing Community Day Tokyo(以下、PCD)の取り組みとして、4月からDaily Coding Challengeをやろう!というツイートです。

敷居が高くちょっと手が出せていなかったDaily Codingも、皆で取り組めばできるのでは、と直感的に思いました。これを続けるとどうなるんだろう、続けた先の感覚はどう変わっていくんだろう、と少し未来の自分にワクワクしていたことも大きいです。

ここで始めなかったら今年ずっとやらないだろうな、自分の目標に言い訳したくないなーという感覚もあったので、とりあえず始めることにしました。


◎ TouchDesigner

前述のPCDはProcessingp5.js発祥のコミュニティですが、広くクリエイティブコーディングを啓蒙していて、今回のチャレンジにツールは問わないとのことでした(すばらしい…)。

そこでTouchDesignerを使うことにしました。スクリプトでコードを書いていくのではなく、「オペレータ」と呼ばれる箱を線でつないでいくことで記述していく環境です(Pyhtonで拡張することも可能)。

しっかり向き合ったことがなかったので、これを機会に習得したいと考えました。それに加え、これがいまの自分にとって、最大限モチベーションを維持できる環境と思ったのが選んだ理由として大きいです。


◎ はじめはとにかく続けることだけ

そこまで触れたことのない環境ということもあり、クオリティで納得いかなかったり落ち込むことが絶対にあるだろうと容易に想像できました。なので、当初から「目的は、あくまで続けることだけ」ということを意識するようにしていました。

毎日しごとや他の取り組みもある中で、続けるだけでもすごい(と思い込む)。その代わり、続けることにはとにかく優先順位をあげる、というように。

続けるために工夫することも大事だと思います。自分の場合、続けるためにネックとなるのはたいてい「始めること」でした。その障壁をなくすために、はじめはゼロから作らずチュートリアルを改変していくことに決めました。

よく見ていたのは、bileam tschepeさんのチュートリアルです。本当にすごくて、これに沿っていくだけで良い感じの絵ができていきます。これをひたすらやっていく。

ただ、いざ取り組みはじめると、ここもっとこうしたいとか、ここ前に使ったあれ使うとよくなるのでは?という欲が出てきます。その欲がオリジナリティに繋がると信じて続けていると、チュートリアルとは違う絵が作れていきました。


◎ いろんな制約を設けると捗る

とはいえ、Daily Work に割ける時間には限りがあります。時間がない中で、納得できるポイントに落とし込むには、あらかじめ枠を決めておくことが重要だと思いました。

あるフレームの中で頭を使うことで、発散しすぎず、集中して表現を詰めていくことができます(締切ドリブンにもちょっと近いですね)。

今回のDaily Coding Challenge では、毎日のお題・テーマが設けられていることがかなり大きかったです。これがあることで、制作のイメージがつき、作業をはじめやすくなります。最終的な落とし所の判断にもなります。

加えて自分なりの制約として、9:16の縦長の作品にする、ということを途中から決めていました。当初は決めずに横長で進めていたのですが、表現によっては正方形の方が映えます。アスペクト比で見え方が大きく変わる、作り方も変わると気づいてからは、あえて、そこに拘るのは一旦やめようと思いました。「目的は、あくまで続けることだけ」です。

ポスター作品が好きなことや(最近よく見ていたサイトは STAY SANE, STAY SAFE です)、Takuma Nakataさんの縦長の作品をよく拝見していたことからも影響を受けました。


◎ 遅れは取り戻さなくてもいい、でも準備はしておく

いくら頑張っても、しごとが忙しかったり、思いもよらない事象が発生したり、気持ちが盛り上がらなかったりして、制作が追いつかない日もあると思います。頑張って生きているので、当然ですよね。

そんなとき、翌日や週末に遅れを取り戻そうと意識してしまうと、少しづつヘイトが溜まっていってしまいます。自分もそうでした。「今日は2個作らないと」と思うだけで生活のリズムまで狂ってしまいがちに。そうなると、制作へのモチベーションがどんどん下がっていきます。

1日に複数作ろうとすると、集中力も散漫になり、ひとつの取り組みから得られるものも少なくなってしまう気がしました。

なので、遅れは取り戻さなくてもいい、と思います。遅れたら、最終日をずらせばいい。何なら飛ばしてもいい。「目的は、あくまで続けることだけ」と書きましたが、毎日とは限りません。Daily Work は自分との約束であったり、生活の一部であったりして、強要するものでも、されるものでもないと思っています。

でもやはり、同じペースで取り組むのはそもそも難しいと考えて、あらかじめ準備をしておくと楽になると感じました。時間が取れないだろうことを見越して、先にできることを考えておく。

自分の場合はチュートリアルから始めると決めていましたが、「どのチュートリアルから始めるか」を考えるのにそこそこ時間がかかっていました。その時間を短縮するために、このお題だったらこれから始めると面白いかも、といったことを、比較的時間のとれる週末にまとめて考えていました。


◎ コミュニティからの刺激

毎日、つくった絵は #dailycodingchallenge タグをつけてTwitterに投稿していました。すると、PCDや同じチャレンジに挑戦している方々から「いいね」をいただけます。さらにタグを閲覧すると、同じテーマで別な角度から、ツールから、海外から制作されている作品を観ることができます。自分では思いつかない切り口が多くて、とても刺激になりました(そして自分も「いいね」を押す)。

こういったコミュニティがあることは、毎日続ける上でモチベーションを維持できた大きな要因でした。良し悪しを比較するのではなくて、他の人の切り口や考え方を自分と比較することで、なんとなくの自分の場所が見えてきます。で、きっと自らの制作にも意味があるんだと思えてきます。

自分を変えるには環境を変えるといい、みたいなことがよく言われますが、こういった刺激が必須だからだと思います(なによりひとりだと寂しい)。SNS上でのやり取りには慣れていなかったのですが、そこは一歩踏み込む勇気も少し必要かなと。

4月の中旬には、同じくクリエイティブコーディング環境 vvvvのJapan Communityオンラインイベントがあり、普段Twitterなどで観ている作品についての背景が伺えて、ここからもとても大きな刺激を貰いました。


◎ 『想像に近づける』 から 『想像がつかない』 へ

序盤は「こういった絵にしたい」ということを当日のお題から考えて、できる限りそれに近づけるイメージで制作をしていました。慣れていないツールで始めたことも一因かもしれません。最終的なアウトプットのイメージから、まず青写真程度にまで、チュートリアルなどを参考にガッとつくりあげ、細かな部分を調整してまとめる、といったフローです。

無意識だったのですが、これが途中から、5月くらいから変わっていることに気づきました。イメージから作るのではなくて、だんだんと場当たり的に取り組むようになっていました。

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制作のテクニックが少しずつ増えてくるので、最初のイメージは少なく、常に持ち玉から、どう風呂敷を広げていくかを考えます。こないだのあれを使ったらどうなるだろう、いやこっちじゃないな、じゃあこれでどうだ、と、都度出てくる結果に対してディレクションをしていく感覚です。一手でガラッとイメージが変わることもあります。最終的なアウトプットは、終了ギリギリまでどんな絵になるのか想像がつかない

この状態になって、だんだん大変だという感覚が減っていき、楽しさが優っていったように思います。一方で、「王手」みたいなものを延々と追い求めることができ、制作にかける時間が読めなくなりました…。ある種、手癖に陥っていると言えなくもないですが、成長を実感できた瞬間でもありました。


◎ スケッチを描くことで、自分がわかってくる

ある程度連続して「これで完成です」と落とし所を決めることを続けていると、自分が納得できるポイントの癖が見えてくるように思います。

自分の場合は、ちょっとテクスチャ感を足したり、グラデーションをかけたり、パキッとしすぎないようにしたり、終盤は風景に模したものを作るようになったり、といった具合です。

つくるということは選択の連続なんだと思います。どういう部分に興味を持って、違いに気づいて、選択して、落とし込むか。それの積み重ねがスタイルとか個性っていう類のものなのかもしれません。

ここで少し話が反れますが、昨年の秋、京都の美術館へ東山魁夷という画家の展覧会を観に行きました。日本画家の巨匠として、手の込んだ作品を描くイメージがあったのですが、その展覧会のテーマは「スケッチ」でした。

彼は自信の作品を役割に応じて「本制作」「習作」「スケッチ」と分けて、本制作の前には必ずスケッチを相当数描きためていたいたそうです。

驚いたのは、「スケッチ」の時点で既に東山魁夷とわかる作品になっていたことです。何気ない、構図や色の使い方なのだろうと思います。同様のことを、先日、ソール・ライターという写真家の展示を観に行った際にも感じました。

別段それを目指そうということではなく、なんとなく日常的に繰り返していることが、自分にとっては当たり前だけれど、他の人から見たら特別、ということは大いにあるだろうと思います。何気なさの裏には、何百、何千、何万の試行の繰り返しがあって、うまくいかない、真似できないことも含めて個性になる。それってめちゃくちゃ尊いことだなと思う瞬間が何度かありました。


◎ 終わってみて

終わった〜という実感はあるのですが、やらなくていいの?という不思議な感覚もあります。それだけ日常になっていたということだと思います。なので、毎日とは言わずともゆるくDaily Codingは続けていくつもりです。

Coding に限らずやりたいことがたくさんあります。音楽もやりたいし、ちゃんと仕事も突き詰めたい。そういったことをDaily Workの枠組みに当てはめるのもありかなと感じています。どんな創作であれ、毎日やることの恩恵は変わらないはず。

Processing Community のみなさん、SNSで見てくださった皆さんありがとうございました。Community に貢献できるよう、盛り上げられるよう色々活動したいと思ってるので、今後ともよろしくお願いします。


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