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【ラノベ新人賞】コロウの空戦日記/プロット分析,抽出

●全体の特徴
・日記体小説
・主人公はミステリアスで優秀な人物と紹介される
・微妙に自己実現(依存の世界→愛を獲得。※失敗すれば死んでいた)
・定石は少なめ、三幕まではエピソード集に近い

・枷は「人質がいる」
・付きまとう不安「目的が死ぬこと」

●ちょっと感想
・コロウが可愛い。可哀そうな女の子が幸せになっていく過程好き。

・日記体なので好みがわかれる。さらにエンタメ(というかラノベ)にしては説明が多すぎる気はしたけど、個人的にはかなり好き。地の分は普通に上手いし、キャラクターにも嘘くささがなく楽しめた。

・万人受けしない感じが銀賞って評価なんだろうけど、別の賞だったらもっと良い賞貰ってたんじゃないかな。
消費されるだけの物語ではないストーリーテラー、今後に期待の作家さん。

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※●はメインプロット、Sはサブプロット

●セットアップ
・特殊部隊のような場所に新星のごとく現れる謎の人物(主人公)。その場所にはとても適応できないようなキャラだが、有能。(軍隊だが貧弱)
・そのキャラには不可解な行動がある(危険で、興味をそそるようなもの)
・それを絶対にさせない信念の持ち主がそばにいる(以下上官)。この作品の場合は上官(そのキャラより偉い人物か、近しい人物でもよさそう)
・有能さやミステリアスなキャラを見せていく

●インサイティングイベント、死の臭い1、門番
・ここまでの主人公の行動に何度かあった不可解な行動(死に急ぐような行為)が達成されそうなとき、上官がそれを必死に止める。上官が巻き添えになるので、主人公は一旦目的遂行を止める

●食らいつく、プロットポイント1
・主人公の目的(枷でもある)が判明した今、その後二人は自分の信念のぶつけ合いになる。目的の遂行(自殺)とその阻止が、作戦を交えて展開されることになる。

二幕へ

●セットアップ2
・主人公の過去紹介。今の組織に来るまでの話。
賢者キャラから今身に付けている能力を得てきたことや、正体を隠す理由(枷)、大事なもののために信念があることなど。冒頭の主人公の謎が読者に提示される(国家元首の隠し事、母を救うために過酷な場所でなんでも働いていた。だが国家元首を恨む者に騙され、母が人質に。死に場所は選べる。働いていて、空で戦いのなかで死にたいと思った)
・上司の家族や、仲間との絆が深まるエピソード
・クライマックスへの伏線も張られていく

大体50%

●忍び寄る悪者、輝きの発覚
・正体がひょんなことからバレる。(新聞に掲載される)
・それとは別に組織がピンチにも陥る(今までの作戦が通用しなくなる)
・味方と仲が深まる良いことと、敵の脅威が増す嫌なことが交互に起こっていく。
・上司の強い信念なども逸話で感じていく。
・主人公は組織にもなければならない存在になっていく

●ピンチポイント
主人公が上層部に利用され、環境から迫害を受ける(捏造された戦争謳歌記事で賞金首になってしまう)

75% 3幕へ

●クライマックスへの準備
・敵の大規模作戦を知り、Xデーが迫る(これがクライマックス)
・それとは別に、とあるイベントで上司が主人公の秘密を知る(前の国家元首の隠し子)。上司はその秘密の関係者で、この環境の原因であるものを倒す作戦を立てていると主人公は知る(戦争を終わらせるクーデター)。
・これが成功すれば主人公の枷はなくなる。希望と不安が同時にクライマックスへ迫る展開。

【S1 インサイティングイベント】
・内通者がいる伏線があり、その伏線回収と共にクライマックスの成功がよりハッピーエンドの鍵になることがわかる。(日記調の文体を利用した見せ方)

【S1 死の臭い1】
このことで主人公の枷がなくなり(死ななくて良い)、戦いに参加する必要がなくなったため、上司が騙して戦闘から外す。知らぬうちに戦闘が始まる。

【S1 食らいつく】
戦いが始まり、途中で起きた主人公は駆けつけようと食らいつく。たどり着くまでの手段がなく、その方法を主人公に最初ノウハウを教えた賢者キャラが持っている。その手段が完成しそうだった伏線は以前からあった。

【S1 プロットポイント1】
主人公しか扱える人物がおらず、それをもらう。じゃじゃ馬かつぶっつけ本番で使う。
※主人公は遅れてやってくる

●クライマックス
・乗るには成功したが生存者がいない報告。残った敵を敵討ちに、環境の混乱を終らせに(終戦のため)向かう。
・手こずるが、仲間たちが削っていたおかげで勝てる(途中で気を失う)

●エピローグ
・上司のみは生きていて、主人公たちが勝ったことを告げる。枷や対立要因は完全になくなる(母はそもそも亡くなっていて、人質は嘘で、利用されていた)。
残りの仲間は行方不明だが、生きていればまた会えるかもしれないと上司は励ます。

・最後、『真のラスボス』として環境からの攻撃がある(国家元首が戦犯に祭り上げようとする)。上司が主人公を守り抜くことを決め、主人公は欲しかったものを手に入れる(家族になる)。


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