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22.コールドなホワイト企業は、ホント肌に合わない。

3ヶ月経っても、Z社に馴染む事はなく、K主務以外の社員さんとは世間話すらゼロだった。

コールドなホワイト企業はホント肌に合わない。優良ブラック企業がホント懐かしい。どこか居場所という感覚があった。人が人として居る場所があった。だが、ここでは人は徹底して部品化される。最新だか注目だが知らんが、Z社が提供する部品人間モデルに徹底的に自分を押し込める事を求められる。

先日のフィードバックでは、「問い合わせ率が平均以下です」と注意され、「PR営業であっても説明68件に1件の問い合わせが平均です」という文章の下のリンクをクリックすると、「ブロックの組み立て方」というレクチャーが行われた。

ブロックとは、簡単に言えば、数十文字から数百文字程度の営業トークのスクリプトの事で、具体的には、「若者の場合、○○%がインターネットを入口に求人先を探す傾向があります」といった一文章の事だ。

そのブロックとブロックをつなぐ文章をコネクトと呼び、具体的には「御社も求人については色々お悩みだと思いますが」などといった一文章の事を言う。このパターンと組み合わせが提示され、「文章のつながりがおかしくないようリライトした上で記憶して下さい」と指示される。いやいや、実際に営業をすれば分かるが、コミュニケーションなんてのはその場その場で臨機応変に臨むものであって、こんな機械的なやり方で出来るはずが無い。

こういうのが、どうも合わない。

俺という人間そのものを否定されてる感じがするのだ。ちなみに、俺の問い合わせ率が平均以下なのは、人事担当者への到達率(ご説明率)が高く、さらに先方が「興味ありますね」と言ったら、その場でエリア担当の営業マンにつなげるからであって、俺の場合、受注率という意味では、PRスタッフの中でもトップである。

だが、フィードバックそのものが機械的に行われる上、指標設定上、受注率が計算外な為、なぜか俺はペナルティーでは無いモノの、強化研修を受ける事になった。それも、その指示すら、PC画面上の明朝体の文字だ。

一応、営業所長にも上記のような事情を説明したが、「ルールだから従って下さい」の一言でバサッと切られてしまった。こうなったら仕方無い。PC画面の明朝体の指示通りにするしかない。所詮派遣の身だからね。

当日、都内にあるZ社の本社に訪れた。アホみたいな研修だった。スクリーン上に浮かぶ文字を復唱するだけ。挨拶の角度がどうの、名刺を渡す時の顔がどうの、営業トークのトーンがどうの、それらの講義が全てスクリーン上の映像だけで行われる。

一通り終わるとテストだ。レクチャー内容をキチンと憶えているかどうかをチェックする。5択の問題が30問続き、1問でも間違えると間違えた箇所に該当する映像が再度流れ、追加の設問に回答する。そして、全ての問題をクリアーしたら、座学の研修は終了する。

座学の研修終了後は、サポートスタッフが同行した上で数軒飛び込み営業をし、サポートスタッフがそれを評価し改善策を提案するというもの。その改善策も、直接サポートスタッフがその場で教えるのではなく、後日、フィードバックに送られてくる研修動画を見て、その感想を送るというもの。バカにしてるのだろうか? その場で指導すればいいだろ。

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